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「脚を真っすぐ揃える」危険性|土台から関節の位置を整えよう

  • 2019.8.19
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土台から関節の位置を整えよう

ヨガのインストラクターであればほぼ例外なく、ターダーサナ(山のポーズ)やウトゥカターサナ(椅子のポーズ)で、左右の足首と足の親指を合わせようとか、足を真っすぐ揃えて腰の両脇をマットと平行にするよう生徒にアドバイスしている。なかでも解剖学を重視しているインストラクターは、足の第2指を正面に向けて、脛骨の位置を決めることを熱心に説いている。

このような方法で足を揃えることは、特に扁平足や内股の人には良い方法のように思えるが、長期的には膝などの関節や腰を痛める原因になることがある。その理由とそれを回避する方法を紹介したい。

脚部の解剖学的特徴

厳密に言えば、私たちの脚は腰椎の近くにある第12肋骨から始まっている。脚には腰筋や腰方形筋のほか、股関節を動かしたり安定させたりしている骨盤の筋群が付着していている。足を含めた脚部は、蝶ちょう番ばん関節が連なった構造をしていて、単一自由度系の関節と回転関節(多自由度系の関節)が交互に並んでいる。

体の仕組みを学ぼう 土台から関節の位置を整えよう
Illustration by Michele Graham

足先から順に見ていくと、指の付け根には5つの関節があり、つま先で立つと5つの関節が同時に蝶ちょうつがい番のように働く。この関節の次には、足首の下の回転関節がある。回内(かかとが正中線のほうに過度に倒れる)から回外(かかとが外側に倒れる)まで、足を内側と外側に動かしてこの関節を感じてみよう。足首上部の関節も蝶番関節である。立った姿勢から両膝を曲げ、その膝を後ろに引いてみよう。背屈(足とすねが近づく)から底屈(足とすねが遠ざかる)まで、下腿が蝶番によって動くのを感じられる。その上には、膝から足首まで伸びている脛骨と腓骨の間にわずかに回転する関節がある。片方の膝を曲げて指の付け根に体重がかかるように立ち、タバコの火をもみ消すようにかかとを左右に動かして、この関節が回転するのを感じてみよう。さらに上を見ていこう。膝はそれ自体が蝶番になっている。股関節の受け口の部分と球状の部分は、言うまでもなくさまざまな方向に動くことができる。脚部の一連の関節の中で次にくる関節は、仙腸関節である。この関節を確認するためには、腰の最下部のくぼんだ部分に突き出ているいくつかの骨を触ってみよう。仙腸関節も単純な単一自由度系の蝶番関節で、飛び出ている骨の約2.5センチ前から始まっている。腰仙関節は、腰椎と仙骨をつなぐ関節で、若干回ることができる。回転関節では骨の形状、靭帯による制限、筋肉の過度の硬さによって動きが限定される。ただし、回転関節の可動域、相互作用、適応性は、一方向にしか動かない蝶番関節よりも優れている。

足に焦点を合わせるとどうなるか

玄関の扉に使われている蝶番について考えてみよう。ねじがしっかり固定されているかぎり、どの蝶番も自然に問題なく機能する。蝶番は開いては閉じ、屈曲しては伸展して、修理しなくても何年も動き続ける。しかし、蝶番が真っすぐ並んでいなければ、蝶番自体は2、3カ月ももちそうになく、やがて扉は曲がり、ねじは外れ、戸枠は壊れてしまう。

これを脚に当てはめてみよう。両足を真っすぐ揃えると、指の付け根の蝶番と足首の蝶番は、立て付けの良い扉の蝶番のように働く。しかし、足を揃えると、膝と腰が押されてずれる可能性があり、それによって今度は膝、仙腸関節、腰に問題が生じるかもしれない。難度の高いアーサナに挑戦しているときはなおさらである。

この問題を防ぐには、まず腰の下に膝を真っすぐ揃え、足を自然な位置に下ろすといいだろう。両足を揃えたとしても、そのうえで片方または両方の膝がねじれていれば(その確認方法は次ページを参照)、扉の蝶番の位置をずらしているようなもので、長期的には問題が生じる危険がある。

たとえば、歩くときに足を一直線に揃えたら、膝と腰は位置がずれた蝶番のようになって、必要以上に早くすり減り始め、軟骨が骨に不均衡に押されてすり減ってしまうだろう。足を揃えるのではなく、膝蓋骨(膝頭)が正面を向くように両膝の位置を整えよう。こうすると、その上の股関節、骨盤、腰にある重要な蝶番も自ずと真っすぐ揃う。足を揃えても、そのような保証はない。

脚部の関節の並びを確認しよう

もちろん脚、足首、膝、腰、骨盤がほんとうに真っすぐ並んでいれば、解決すべき問題はない。自分がそれに該当するか確認する方法を紹介しよう。

鏡の前に立ち、第2指が正面を向くように両足を真っすぐ揃える。そのほかの点については無理に姿勢を整えずゆったりと立つ。このとき、骨盤が鏡に対して真っすぐになっているだろうか。寛骨の前面に指をおいて確認してみよう。あくまでも自然な姿勢で行おう。

ここで膝に注目しよう。膝蓋骨もヘッドライトのように真っすぐ鏡のほうを向いているだろうか。それとも膝の上と下の関節に比べて、内側または外側を向いているだろうか。

さらに、膝を曲げたときに、膝蓋骨の中心が第2指の真上にくるだろうか、それとも自然にどこかを向いてしまうだろうか。後者であれば、足を揃えることにより、問題が生じるのは確実だろう。

このような場合は足ではなく膝を揃えてから、ポーズをとり始めよう。「そう言われても、私はこれからも足を揃えてから膝が真っすぐになるまで回して、膝が揃っていくようにするわ」と考えているとしたら、やめておこう。内側に回転した膝を揃えようとして引っ張ると、たいてい腰の外旋、足首の回外が引き起こされる。それによりさまざまな問題を抱えることになるため、良い解決法ではない。

インストラクターへのアドバイス

膝の回転をもっと正確に確認するために、生徒の前でしゃがんで、親指と人差し指で生徒の膝頭の両端を軽くつまんでみよう。

次に、反対の手の人差し指を脛骨粗面(脛骨の前面の上端に隆起している部分)の真上にのせる。ここから膝蓋骨の両端までの長さ(つまり、親指までの長さと人差し指までの長さ)は本来等しくなければならない。等しくない場合は(実際、内側の線のほうが外側の線より長くなることが多い)、膝が真っすぐ揃っていないことがわかる。

このような生徒には、皆さん(または理学療法士や整骨医)が膝の位置を戻せるまで、膝頭を正面に向けたうえで練習させるようにしよう。

指導者へのアドバイス
膝の内部にみられる回転を確認するには、まず自分の親指と人差し指で生徒の膝蓋骨の両端を軽くつまみ、次に反対の手の人差し指を脛骨粗面の真上においてみよう。この人差し指の位置から膝蓋骨の両端までの長さは、本来等しくなければならない。

指導●トム・マイヤーズは『アナトミー・トレイン』の著者であり、『Fascial Release for Structural Balance』の共著者である。また、35枚以上のDVDを制作しているほか、視覚的評価、筋膜リリースの手技、筋膜の研究の応用について多数のオンラインセミナーを開催している。統合的な徒手療法を行っているマイヤーズには40年の実績があり、International Association of StructuralIntegratorsと Health Advisory Board for Equinoxの会員でもある。

Photos by Christopher Dougherty
Model by Karin Gurtner
Illustrations by Michele Graham
Translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.63掲載

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