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ボルタンスキー&塩田千春を追いかけて、大地の芸術祭へ。

  • 2019.7.31
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この夏必見の展覧会といえば、塩田千春とクリスチャン・ボルタンスキー。森美術館で開催されている塩田の過去最大規模の個展『塩田千春展:魂がふるえる』は、7月11日には入館者数10万人を突破。同じく六本木の国立新美術館で開催中のボルタンスキーの『Lifetime』も、フランスを代表する現代アーティストの大規模巡回展とあって大きな話題を呼んでいる。この両名のアート作品を観ることができるのが、8月10日より新潟県・越後妻有地域で開催される『「大地の芸術祭」 越後妻有2019夏』だ。

2000年よりスタートした『「大地の芸術祭」 越後妻有アートトリエンナーレ』は、昨年で7回目を迎え、日本での芸術祭の先駆けとして知られている。760k㎡もの広大な田園地帯を舞台に、古い家屋や廃校を使った約200点ものアート作品が点在。3年に一度の本祭以外に毎シーズン開催される季節プログラムでも、通常公開されていないアート作品を観ることができる。

ボルタンスキーの『最後の教室』は、2006年に発表されたもの。照明デザイナーのジャン・カルマンとの共作で、廃校となった旧東川小学校が舞台。電球の弱い光が灯された暗い校内は、この場所の記憶が重く閉じ込められているかのよう。五感が研ぎ澄まされ、体育館に並べられた扇風機の音や理科室に響きわたる心臓音など、音に意識が集中していく。黒い肖像画や学校に残された生徒の忘れものが、人間の不在を強く感じさせる。2018年には、ガイコツやコウモリなどが躍っているような影絵のインスタレーション『影の劇場~愉快なゆうれい達~』も追加された。

クリスチャン・ボルタンスキーとジャン・カルマンの共作『最後の教室』。体育館に無数の扇風機の音が響きわたる。

photo:Keizo Kioku

蛍光灯が棺桶のような箱に入って並び、かつて賑わった教室の現在の静寂を強調する。

2018年に登場した影絵のインスタレーション『影の劇場~愉快なゆうれい達~』。

2009年に発表された塩田の『家の記憶』は、古民家を丸ごと改装している。塩田の特徴ともいえる黒い毛糸が、1階から天井裏まで家中のそこかしこに張り巡らされている。黒い毛糸に編み込まれているのは、地元の人たちから集めた「いらないけれども捨てられないもの」。この町の人たちの記憶が染み込んだ民具や書籍を、塩田は2週間かけて丁寧に編み込んでいったという。

塩田千春『家の記憶』。越後妻有の地域で保管されていた民具が編み込まれている。

天井裏までびっしりと黒い毛糸が張り巡らされている様子は圧巻だ。

『「大地の芸術祭」 越後妻有2019夏』は、ほかにも新たな見どころがたくさん。昨年、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]に、レアンドロ・エルリッヒの『Palimpsest:空の池』が登場。中央にある回廊に囲まれた大きな池の水面に光が反射して、一見、空や建物を鏡のように映しているように見えるが、実は池の底に空や建物の絵が描かれているというもの。レアンドロらしいユニークな発想で、鏡像が複層化している不可思議な現象を生み出している。この池では夏の間立ちこぎボートのSUPといった水遊びもでき、子どもと一緒にアートを楽しめる仕掛けが満載だ。

レアンドロ・エルリッヒ『Palimpsest:空の池』。キナーレ2階より、角度を変えながら鑑賞したい。

磯部行久記念 越後妻有清津倉庫美術館では、現代アーティスト河口龍夫の個展『時の羅針盤』が開催中だ。生命のエネルギーを孕んだ種子を、放射線を遮る鉛で封じ込めた前衛的な作品『関係-種子』や、2003年に同芸術祭で発表された農具に種子を封じ込めた作品『関係-農夫の仕事』など、インスタレーション作品を多数展示。物質や時間の関係をテーマに作品を作り続ける、河口の50年以上にわたる軌跡を堪能したい。また、越後田沢駅のすぐ側に設置された2012年の作品『未来への航海』『水から誕生した心の杖』も必見だ。

河口龍夫『関係-地上の星座・北斗七星』。水が張られた黄色の桶が北斗七星の形状に並ぶ、体育館に置かれたインスタレーション。

河口龍夫『未来への航海』は、アトリエ・ワンによる『船の家』の中に設置されている。

「大地の芸術祭」 越後妻有2019夏』開催期間:8月10日(土)〜8月18日(日)開催会場:越後妻有地域(新潟県十日町市・津南町)料金:一般¥2,500(共通チケット)●問い合わせ先:「大地の芸術祭」の里総合案内所tel:025-761-7767www.echigo-tsumari.jp

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