恋を楽しみたい私。結婚を意識している彼。どうすりゃうまくいく？【ひとみしょうのお悩み解決】

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか？”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「ムナさん 45歳」のお悩み〜

いつも楽しく読ませていただいております。

私(45歳)は16年シングルマザーで、離婚(2度)してからは結婚したいと考えることなく過ごしてきました。それなりにお付き合いした方もいたのですが、「結婚」を考えなくても良い相手を選んでいたため、殆どが既婚者でした。周りからは「そんな未来のない恋愛してどうするの！」などと言われることが多かったのですが、私としては恋愛を楽しめれば良かったので、さほど気にもせず(笑)

現在お付き合いしている方は、10年来友人関係だった方(44歳)です。私の恋愛話を聞いて「なぜ俺じゃない? 俺のことをオトコとして好きになってくれてもいいだろ！」と告白(？)され、付き合うこと(いわゆる男女の関係)になりました。彼のことは大好きでしたし、家庭や仕事などいろいろ相談し合う仲だったため、お互いなんとなく気が合う感じで、付き合ってもそれほど変わらず、楽しく恋愛できると思っていました。(ちなみに彼は既婚者。私が既婚者ばかりと付き合っていたことは知りませんでした)

彼はよく「大好き」とか「愛してますよ」とか言ってくれます。もちろん私も大好きです。が、彼と結婚したいとか、奥様と別れて欲しいなどと思っていません。彼も離婚する気は今のところありません。(夫婦仲は最悪な状態ですが、子供がいるので)

最近、「この先もずっと一緒にいられたら…」とか「5年後、10年後、あなたといられるよう将来のことを考えてる」など言われることが多くなりました。

かと思えば、「お互い自分の家庭を大事にして、良い関係を続けていこう」「俺のこと好きになり過ぎてませんか？」などと一線を引くことも。私は恋愛をしたいだけだということも伝えてますし、一緒に暮らしたいとか結婚したいなどという気持ちは持っていないことも言っています。

結婚したがっていると思われているのかな？ とか、私からの好意を迷惑に感じているのかな？ などと不安になってきます。私はお互いに「イイね」と感じられるお付き合いができれば満足なのですが……。

この関係は彼にとって「イイね」と思えていないのでしょうか？ 「イイね」と感じてもらうためにはどのようにお付き合いしていけば良いのでしょうか？ 是非教えていただきたいです。(長文で申し訳ございませんでした)

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

ムナさんが言う「イイね」と、彼が思っている「イイね」の質がちがっているということですよ。

彼は、ムナさんのことが大好きです。あなたと結婚する気はないとのことですが、彼は心の中で「もしもすべてを捨ててまったく新しい人生を歩めるのなら、今の奥さんと離婚して、ムナさんと再婚したい」と思っています。それくらい彼はムナさんのことが大好きです。

でも、ムナさんは、彼から見ると、恋愛を割り切っているように見えるんですね。恋愛したいだけであって再婚を望んでいないことを彼に伝えた時点で、彼はあなたのことを、恋を楽しみたいと割り切っている女性だと感じています。さらに、「彼に言っていない」とはいうものの、彼はあなたのことを、過去にも既婚者と付き合ってきた人だとわかっているはずです。

女性ってよく「これは彼に言っていないのでバレてないと思います」と言うけれど、心配しなくてもだいたいバレてるから。

彼は「彼女に合わせないと振られてしまう」と思っている

でですね、恋愛について割り切っている、いわばサバサバ系の女性を、奥さんも彼女もどっちを向いても行き止まり感のある既婚男性から見たら「すげぇいい女」に見えるんですね。当然、男はいい女に振られたくないから、彼はムナさんの恋愛観に、自分のふるまいを合わせようとします。

つまり、ムナさんは、恋愛関係だけでよく、再婚はしたくない、ですよね？ だから彼はそういうムナさんの気持ちに合わせて、「お互い自分の家庭を大事にして、良い関係を続けていこう」と言います。再婚したくない「いい女」に、「いや、俺、じつはさあ、君と再婚したくてさあ」なんて言ってしまえば、「この男の気持ち重たいなあ。別れて他のもっとライトに付き合える、恋愛を恋愛だけとして付き合える彼氏を探そう」とムナさんに思われることが、彼にとってはなにより怖いのです。

「この先もずっと一緒にいられたら」とか「5年後、10年後、あなたといられるよう将来のことを考えてる」という彼の気持ちは、じつは明らかに、ムナさんとの再婚を意識しているんですが、これらの彼の発言に、ムナさんが結婚を読み解いていないというのは、彼の「うまいところ」ですよ。結婚を考えていない彼女に嫌われないよう、うまく結婚する意思のあることを伝えた。けれど、彼女にはその意思が届いていないという……うまいんだか下手なんだか、ですが、でも、男として「それとなく」自分の思いを彼女に伝えることができた彼の悦びを、僕は感じますけどね。

チグハグさが原因です

というような具合で、最初から、サバサバ系のムナさんと、しっとり重ための彼の愛とが、わりとチグハグになっているのが問題なんですよね。

ちょっと一般論になりますが、男って、ヤラせてくれた女性のことを女神とか「俺の救世主」みたいに見ちゃう傾向があります。サバサバと「ヤッタら終わり」という男がいる一方で、彼のようにマジメな男は、ヤラせてくれた女性のことを「俺の救世主」と感じちゃうんですよね。

だから、なにをどうしようと、ムナさんはわりとサバサバしてて恋愛を恋愛として楽しめればそれでOKと思いつづけ、彼の方は、なにをどうしようと、「彼女は俺にとって女神だ。俺のつらい人生を明るく照らしてくれる救世主だ」と思い、しっとり重たい愛情でムナさんを抱きつづけ、でもその「重たさ」がムナさんに伝わってしまうとムナさんに嫌われてしまうだろうと思って、結果、チグハグなふるまいになってしまうのです。

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こういうのって、どうすればいいんでしょうね。

＜彼と結婚したいとか、奥様と別れて欲しいなどと思っていない＞女性と、反対に、しっとり重たい愛情を彼女に捧げたい彼氏――簡単にいえば、恋に生きたい女性と、愛に行きたい男――僕にしてみれば、ほとんど絶望的なこのふたりの関係に未来はあるのか？

答えは、神のみぞ知る、だと、僕は思いますけどね。それにしてもなぜ、女性はそんなに強くて、男は「救世主」にすがるようにしか生きられないのでしょう。というのが、僕の答えです。

しいて解決策を述べるなら、ムナさん、彼の愛の重たさに気づいてあげてください、そしてそれにドン引きしないで、「重たくしっとりした愛情でもって私のことを愛してくれてありがとう」と思ってください、ということです。

がしかし！ 恋に生きたい女性は、なにをどうサゼッションしても恋に生き続けるという現実を僕は知ってしまっているので、コトはそう簡単ではないと思うのです。恋に生きる元気な女性に泣かされてきた僕としては、そうとしか答えようがないのです。ごめんなさい。

（ひとみしょう／作家）