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【心と体の夏バテ対策】今週始めたい「夏を元気に過ごせる簡単な方法」

  • 2019.7.18
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長い梅雨もゴール地点、ようやく夏が訪れそうな気配です。喉から手が出るほど待ち焦がれる太陽の季節ですが、日本特有のじめじめとした蒸し暑さは、体だけでなく心もバテ気味になりがち。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生に、心の夏バテ対策をお聞きしました!

文・大久保愛

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 16

夏は体だけでなく心もバテやすい

蒸し暑い日が続くと、体がだるくて動くのが億劫になるだけではなく、意味もなく不安感を感じたり、怒りっぽくなったり、目がランランとして眠れなくなったり……と自分の心も体もコントロールできなくなることはないでしょうか。夏に体がだるくて動かなくなるのは夏バテとして一般的ですが、この時期に一緒に心もバテてしまうことが多くなります。

いつもの自分と違うなと感じる時には、自分の性格や行動を責めるのではなく、自然の摂理に沿って起こる不調と考えてみましょう。この時期にあった食薬習慣をとりいれることで、すんなり解決できるかもしれません。

さらに、7月17日は満月を迎えます。満月の時期には、月と太陽の引力の影響を体が受けやすくなり不調を感じやすくなります。今週は、気候と月の影響により夏バテや心のバテを強く感じやすいときですから、今週は夏バテ、心バテ対策のための食薬習慣を紹介していきます。

自然の変化が体調に影響している

漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。

今週は、夏バテとともに心バテを感じやすいかも

連休には、BBQなど夏らしいレジャーで楽しんだ人も多かったのではないでしょうか。しかし、この気候の特徴として感じる蒸し暑さは、体温調節の手段である汗の蒸発を邪魔することがあり自律神経を乱すきっかけとなることがあります。そして、体内に熱をこもらせ、さらにだるさを感じさせます。漢方医学でもこの状態を『痰熱内擾(たんねつねいじょう)』といい、体に熱がこもり、感情的にも興奮しやすくなるため不安感、イライラ、不眠などを感じやすくなると考えています。

さらに、漢方医学で満月の時期には、心の状態が安定しづらくなるときと考えるため、満月を迎える今週は少し心にバテを感じやすくなる傾向にあります。そこで、今月は体と心のバテを両方、サポートしてあげることが大切です。

体と心のバテを整えるために、体力をつけ心を安定させる『気血(きけつ)』と汗で不足する潤いである『陰(いん)』を補い、こもった熱を取り除く『清熱(せいねつ)』の働きをもつ食薬習慣を取り入れていきます。今週食べるとよい食材は、【トマト×魚介類】です。

今週食べるとよい食材と調理法:魚介のトマト煮込み

トマト煮込みは、フランスでは“ラタトゥイユ”、イタリアでは“カポナータ”や“ミネストローネ”などと呼び、多くの人に親しまれています。そして、ありがたいことに、ほとんどの残り物の食材はトマトで煮込むことでおいしくアレンジすることができます。残り物が即刻違う料理にさま変わりするため、非常に画期的なメニューでもあります。

トマト

トマトは夏野菜として有名ですが、体にこもった熱をさます働きがあります。紫外線により発生した活性酸素を除去する作用をもつリコピン、ビタミンC、ビタミンEなども豊富に含んでいます。漢方医学では、乾いた体を潤す『補陰』、こもった熱を取り除く『清熱』の働きがあるとされています。

魚介

お魚、タコ、イカ、貝類など魚介といっても幅広いですよね。実は、魚介類は全般的に夏バテや心のバテの改善に役立ちます。お魚であれば、血行の促進や神経の修復に役立つオメガ3脂肪酸などの油を豊富に含み、貝類は夏に消耗しやすいミネラルを豊富に含み、タコやイカにはタウリンなど元気をつけるアミノ酸が豊富に含まれています。冷凍のシーフードミックスやお刺身を活用すると取り入れやすくなります。

漢方医学では、夏バテや心のバテを解消する『気血』を補い、スタミナを維持する『腎』の働きを支える働きがあるとされています。

トマト料理は、温かく食べても、冷たくして食べてもおいしく、残り物のアレンジにも使える夏の強い味方です。体も心も夏になるとバテバテで毎年困っている人は、今年はトマトと魚介類で乗り越えていきましょう。

information

大久保 愛 先生
アイカ製薬株式会社代表取締役・漢方薬剤師。
昭和大学薬学部生薬学研究室で漢方を学び薬剤師免許を取得。その後、中国で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び資格を取得。漢方相談、調剤薬局、エステなどの経営を経て商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。

著書『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。

【腸活×漢方×栄養学】の理論で考えた、【今週食べるとよい食材】をお伝えしていきます。

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