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台湾ラバーな日本人で行列ができる朝ごはん屋さん〈東京豆漿生活〉で、週末トリップ。

  • 2019.6.28
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お手ごろそして味わいのソウルフードであふれ、評判のかき氷屋さんは旬のフルーツを気前よくどっさりと盛ってくれる。街を歩くと初めてなのに、どこか懐かしいたたずまいだ。それ以外にもまだまだあげたらキリないその魅力。そんな台湾に恋した日本人たちがこぞって通う朝ごはん屋さんを見つけた。東急池上線・大崎広小路駅の近くにある〈東京豆漿生活〉(とうきょうどうじゃんせいかつ)だ。本場さながらの「油條(ヨウティャオ)」や「鹹豆漿(シェンドウジャン)」を求めて、平日でもオープンの8時前から行列ができる。

あの味を知る人なら認める、東京の中の台湾。

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Hanako 編集部

台湾の食の魅力といば、なんといっても朝ごはんだ。ふわっと温かく、砂糖を入れなくともほんのり甘い豆漿(豆乳)、外はサクサクで中はしっとり「台湾のバゲット」と言われる油條(揚げパン)。一口食べてたら忘れられない人続出の、酸味で固めラー油とさっぱりと食す「鹹豆漿(シェンドウジャン)」。どれもこれも、代表的な「台湾の味」だ。

お店のカウンターにずらっと並ぶのは、日本の料理愛好家の間では長いこと再現が難しいとされていたものばかり。客席からは中国語の会話が聞こえて来て、店内は台湾の朝食風景を切り取ったようだ。
こうしたファンを唸らせる数々のメニューを実現したのがこの店のオーナー、田邊与志久さん。「台湾人の妻と一緒に故郷の台湾に帰ると、朝から活気ある街に出ます。元気の源は朝ごはんなんですね。そんな経験から豊かな台湾の朝ごはん文化を伝えることと、私の子供たちにもきちんと朝食を食べて大きくなってほしい思いから朝食屋さんを始めました」と田邊さん。

本当の台湾を伝える難しさ。

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Hanako 編集部
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Hanako 編集部

朝食屋さんの前に日本に本格的な豆花の店を作ろうと、会社を辞して2015年に〈東京豆花工房〉をオープンさせた田邊さん。日々、豆乳づくりをしている田邊さんでさえも鹹豆漿は難しかったという。台湾で評判の朝食屋さんを回って味の研鑽を積みながら、東京で試作を続ける。「甘みがありミルキーな豆乳ができる」と大豆は宮城県産に行き着いた。

「鹹豆漿」は豆乳を酸で固めたもの。「酸味のバランスが重要です。すっぱいものが苦手な人にも食べていただけるように、お酢は何種類も味見をしました。豆乳は良質のタンパク質でないとなかなか固まらないです」とそのコツを教えてくれた。

目標は食を通じて台湾の文化を伝えること。

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Hanako 編集部

濃厚な豆乳で鹹豆漿を実現した田邊さん。豆乳と一緒に食べるサクサクの油條や大根、豚肉、ニラなどの具材をホロホロと口の中で解ける皮で包んだ酥餅(スービン)など、まだまだ超えなければならない山があった。もちろん、田邊さんは自分の手で味の再現を試みた。「餅(ビン)は餅でも酥餅と餅でも生地が違い食感も別なんです。いくらがんばっても、あの繊細さを出すのは日本人には難しい」としみじみ。

自分の目標は台湾の食文化を伝えることと発想を切り替えて、台湾から職人の江(こう)さんを招聘したのだ。江さんは暗いうちからお店にやってきて、オープンまでに数々の油條や餅を手作りする。丸型や楕円、端正に形どられた餅は、具材がぎゅっと詰まって小ぶりでも満足感が高く、冷めても美味しい。

その味だけではない、〈東京豆漿生活〉の楽しさ。

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Hanako 編集部
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Hanako 編集部

店名が書かれた看板や手書きのメニュー、中国語のBGM、電釜や調理道具が並ぶオープンキッチン。〈東京豆漿生活〉に一歩入ればもうそこは台湾だ。でも店の魅力は「本場の味」が食べられることだけではない。特にその器使いは注目だろう。写真上の「胡麻豆漿」用のカップや「豆腐」のボウルは田邊さんの故郷、九州の波佐見焼を使っている。

「鹹豆漿」の器は、彼のイメージで窯元に発注したオリジナル。豆乳が入ったボウルは自衛隊で使われていた払い下げだという。台湾チックでありながら、さり気なく日本もミックスされてありそうだけない「世界で一つの台湾」を実現させている。田邊さんが作り上げた空間は、心地よい世界観で独特な魅力を放っている。

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Hanako 編集部

さあ、「東京の台湾」へご搭乗予定のお客様、早起きのためのアラームをお急ぎくださいね。

〈東京豆漿生活〉

東京都品川区西五反田1-20-3MKビル1階
03-6417-0335
8:00〜14:00(売り切れ次第終了)
日曜休み

(photo_Natsumi Kakuto)

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