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結婚って悪くない?! 熟年カップルに見る【理想の夫婦像】と【しあわせの定義】

  • 2019.6.24
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「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの。

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そんな視点から今回は結婚という制度に懐疑的な独女にも、結婚相手との関係性に悩む既婚女子にもオススメしたい『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』(2014年・米)を紹介します。モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが演じる老夫婦の素晴らしい関係性を、彼らが“悩む”局面を通して浮き彫りにする良作です。また、SATCのミランダことシンシア・ニクソンが、「まさにミランダ!」なキャラで登場するのも笑えます。

ストーリー

熟年夫婦のアレックス(モーガン・フリーマン)とルース(ダイアン・キートン)は、ブルックリンのアパート最上階に住んでいます。日当たりも眺めもいいこの家には、ふたりの40年間の結婚生活の思い出がいっぱい。ところが5階建のアパートにはエレベーターがなく、この先も住み続けることができるのか不安を抱き始めます。

そこでふたりは、不動産エージェントではたらく姪のリリー(シンシア・ニクソン)の協力を得て、アパートを売りに出すことにしますが、内覧日の前日、愛犬のドロシーが急病になり、近所ではテロ騒動が勃発し街は大渋滞になり、アレックスはやはり家を手放したくない心境を吐露したり、夫婦は慌ただしい週末を過ごすことになります。

家は人を映す鏡

老いた愛犬がヘルニアになり手術に大金がかかる。テロ騒動による渋滞で内覧日に人が来られないかもしれない。5階の階段の行き来は辛いけれど本当は家を売りたくない夫。夫のことを考えると、住みやすい家に引っ越したい妻。

この週末、アレックスとルースを取り巻く環境は慌ただしく、心の中がザワザワしそうな出来事のオンパレード。しかし、ふたりはバタバタするのと反比例して浮かび上がるのは、40年間築き上げてきた揺るがない夫婦のぽかぽかとした風通しのいい信頼感。そう、日当たりがよくて眺めのいい彼らの家の雰囲気そのものに、いろんな出来事をどっしりと包み込む余裕がこの夫婦には絶対的に備わっているのです。それは、ふたりが40年間”悩み”に真摯に向き合い、その都度自分たちなりの精一杯の答えをはじき出してきた証です。

毎朝朝食をとり、仕事に出かけ、疲れて帰宅し、労い合った日々をすべて見守ってきたふたりの部屋。その部屋には、夫婦の幸せな歴史も、辛い歴史もすべてが刻まれています。それはまさに、夫婦を映す鏡のような部屋なのです。“家は人を映す鏡”とはよく言ったもの。光があり、お気に入りのアートがあり、遠くに街の騒音があり、食べ物があり、それらのひとつひとつが、この夫婦を形づくっています。

夫婦で“しあわせ”の定義を

エレベーター無しのアパート5階の部屋。子どもがいない。肌の色が違う。アレックスとルースのふたりはこれまでも夫婦にとっての“しあわせ”を、きちんと悩みながら選択してきました。そして今回も揺れ動いて悩みながら、だけど確実にふたりにとっての“しあわせ”を夫婦で定義していきます。それはお金でも、世間体でも、罪悪感でもなく、彼ら独自の指標で行われます。だからこそ彼らの選択は力強く、温かいのです。

人は人生のあらゆる局面で自分の価値観で選択をしていきますが、そのときに「自分はこうしたい」という直感や判断と、「客観的に見たら/他人から見たら」という知識や経験の両方で悩むのが人間だと思います。そのときに、アレックスとルースは、ふたりで悩み戸惑いながらも最終的には自分たちの”しあわせ”を紡いでいきます。こんな理想の夫婦像を、ハリウッド国宝もののふたりが軽やかに巧妙に演じるものだから、思わず(?)結婚に憧れを抱いてしまうというもの。きっと「結婚にメリットが見いだせない」という考え方まで変えてくれるでしょう。<text:kanacasper(カナキャスパ)>

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