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精神科医・星野概念のあまから恋わずらい No.16「福岡」

  • 2019.6.2
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Hanako本誌で連載中の精神科医・星野概念さん「あまから恋わずらい」を掲載。今回は、1173号「福岡シティガイド」特集よりお届けします。

今回のテーマは、「福岡」と恋。

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Hanako 編集部

今回のHanakoの第1特集は「福岡」。
この連載、これまで恋愛の話ばかり書いてきました。恋愛は人を豊かにしますが、一方で、魔物のような側面があります。
例えば、社会的に考えて、仕事などの疎かにすべきではないことがあるのを分かっていながら、恋人との時間を優先したくなってしまう。そんな「分かっちゃいるけどやめられない」が当てはまる場合があるのがその側面で、これは実は「依存症」の病理にも近いです。
アルコールなどで身を滅ぼす人もいれば、不倫の末に社会的に追い詰められる人もいるというのがその証拠かもしれません。
こう考えると、恋愛感情って怖い。

そして僕が今、最も恋愛感情を抱いている相手が「福岡」です。年齢のせいか、恋の成功体験の少なさのせいか、僕が恋する相手はもはや人ではなく、飲食になってしまいました。
福岡は、空港と繁華街が奇跡のように近く、着いてすぐにお店に行けるし、帰りはギリギリまでお店にいられます。しかも、飲食店が密集していて、初心者でも楽しみやすい。
はじめから親近感を覚えさせ、仲良くなったら深みもあって、さらに好きになっちゃうパターンです。これは危険。僕は新年度から勤務先を異動して収入が激減し、福岡に通っている余裕はまるでないのです。それでも行きたくなってしまう。ていうか行く気満々。これぞ「分かっちゃいるけどやめられない」。お~、怖っ。

星野概念(ほしの・がいねん)/精神科医として総合病院に勤務。雑誌・webでの執筆業や、音楽活動も行う。いとうせいこう氏との共著『ラブという薬』が発売中。

(Hanako1172号掲載/illustration:Misaki Tanaka text:Gainen Hoshino)

『精神科医・星野概念のあまから恋わずらい』No.15「おこもり」はこちらから。

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