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双子座生まれのあなたへ贈る詩「視線の戯れ」【文月悠光 12星座の恋愛詩】

  • 2019.5.21
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18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。

このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!

切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。

■双子座生まれのあなたへ

視線の戯れ

会議室を後にして
廊下の壁に踊るわたしの影絵。
壁際を器用についてきて、
わたしよりも、わたしみたいだ。
誰より軽やかなかたわれへ
ひとり微笑みかける。
今夜、タイムカードと引きかえに
影絵のわたしに交替するの。

飼い慣らせるものなら、
飼い慣らしてごらん。
まなざしは管理できない。
きみを照らすためには
光だけだと強すぎること、
ちゃんと知っているから。
ときには影となって
忍び寄っていこう。
この目にすべてを確かめさせて。

わたしをきみから引き離してよ。
きみは光の速さで抜き去って、
わたしをもっと駆り立てるの。
けれど彼方から振り返ること、
忘れては厭。
視線と視線で戯れたなら
影は光に追いついて、
ふたりの距離はゼロとなる。
ただ激しく 競うように見つめて
恋の閃光に破れていく。

【次回は6月「蟹座の恋愛詩」】

☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。

プロフィール

文月悠光(ふづき・ゆみ)

詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。

★オフィシャルサイト「Fuzuki Yumi Website」

★Twitter「文月悠光@luna_yumi」

コイズミリカ

イラストレーター。1989年生まれ。

2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。

「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。

★ホームページ「RIKA KOIZUMI」

オリジナルサイトで読む