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『バイオレンス・ボイジャー』の宇治茶監督「一番影響を受けたのはS・スピルバーグ監督なんです」

  • 2019.5.17
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最先端の視覚効果を駆使すれば、もはや作れない映像などないぐらいに技術が進歩した今日。そんな時代に逆行するかのようにアナログな手法にこだわる男がいる。劇画とアニメーションを融合させた“ゲキメーション”という手法で独自の世界観を作り出す宇治茶監督が、監督、脚本、編集、キャラクター造型、作画、撮影の6役を1人でこなした最新作『バイオレンス・ボイジャー』(5月24日公開)を完成させた。約4年をかけて作り上げたホラーテイスト満載の本作の誕生の秘密や、影響を受けたというあの名匠の話など、意外なエピソードを語ってくれた。

【写真を見る】謎の体感型アトラクション、バイオレンス・ボイジャーで少年たちが恐ろしい体験をする

劇画とアニメーションを融合させた“ゲキメーション”を追求する宇治茶監督
KADOKAWA

子供の頃から絵を描くのが好きだったという宇治茶監督。だが、“ゲキメーション”という手法との出会いはずっと後のことで、大学生の頃だったという。「最初は漫画を描きたいと思っていたんですけど、コマ割りでつまずいてしまって…。そんな時、ネットで『妖怪伝 猫目小僧』や電気グルーヴの『モノノケダンス』のPVを見て、これならできるんじゃないか?と思ったんですよ。誰もやってないし、“ゲキメーション”という手法を自分が残していけたらな…という感じでした」

【写真を見る】謎の体感型アトラクション、バイオレンス・ボイジャーで少年たちが恐ろしい体験をする
[c]吉本興業

劇中では、山奥の村で暮らす少年たちが、謎のアトラクション“バイオレンス・ボイジャー”に足を踏み入れたことから、恐ろしい体験をする。そんな物語の基となっているのは、自身の幼い頃の体験や、子供の時に観た映画たちだという。「生まれ育った京都は近くに山があって、よく友達と自転車に乗って探検に出かけました。『グーニーズ』(85)や『E.T.』(82)みたいに子供たちが奇妙な出来事に巻き込まれるような作品が好きなんです。最近、『ストレンジャーシングス 未知の世界』のザ・ダファー・ブラザースとか自分と近い世代の人が同じようなことをやっていて、発想は彼らと似ているんじゃないかなと思います」

「小学2年生の時に観た『ジュラシック・パーク』に衝撃を受けました」

本作は、海外の映画祭ではR18指定となるほど過激なホラーテイストの作品だが、意外にも子供の頃はホラー映画が苦手で、一番影響を受けたのは、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督なのだとか。「子供の頃から映画はたくさん観ていたのですが、小学2年生の時に観た『ジュラシック・パーク』(93)に衝撃を受けて、スピルバーグ監督の作品はかなり観ましたね。最近になって観直してみると、『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』(97)では、主人公たちを必死に助けようとした仲間がティラノサウルスに真っ二つに食いちぎられたり、悪趣味なところが多いんですよね(笑)グロテスクな描写が好きなのは、たぶん、スピルバーグ監督の影響なのかな」

「ダメ元でお願いしたらOKになって…。本当にスゴイことですよね」

バイオレンス・ボイジャーの運営者、古池の名前は映画監督のルチオ・フルチが由来なのだとか
[c]吉本興業

本作では主人公のボビー役を声優の悠木碧が務めるほか、田中直樹や高橋茂雄、田口トモロヲなど、豪華なボイス・キャストが集結した。「田中さんと高橋さんにはずっと出演してほしいと思っていましたし、バイオレンス・ボイジャーの運営者である古池は田口さんをイメージしていたので、まさか、オファーをした方が全員決まってしまって本当にビックリしましたよ。ナレーションを担当してくださった松本人志さんには前作『燃える仏像人間』を観ていただける機会があって、その際にお話しさせていただいて、『協力できることがあればするよ』って言ってくださっていたんです。で、ダメ元でお願いしたらOKになって…。本当にスゴイことですよね」

監督、脚本、編集、キャラクター造型、作画、撮影の1人6役をこなした宇治茶監督
KADOKAWA

実は、彼らが声優として収録に挑んだのは今から3年前。まだ絵コンテ状態で声優たちも戸惑いながらの作業だったと言うが、逆にそれが作画の励みになったという。「みなさん、何が起こっているのかわからなかったみたいで、ただ、しゃべってもらったみたいな感じでした。何テイクか演じてもらってベストなもの使わせていただきました。キャラクターたちに命を吹き込んでもらえて、そこからどうやって動かしていこうか試行錯誤を重ねましたが、結果的にはイマジネーションを働かすという点でよかったと思います」

「もう1作、“ゲキメーション”の作品を制作し、ゆくゆくは実写の作品も作ってみたい」と今後の展望を語ってくれた宇治茶監督。これからもその独自の世界観で、われわれを楽しませてくれるのは間違いなさそうだ。(Movie Walker・取材・文/トライワークス)

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