高嶋政伸が名俳優を熱烈オファー! 正攻法の鍵は「蟻地獄のように計画的に」

高嶋政伸(左)と加藤敬二の対談が実現した
KADOKAWA

俳優で作家デビューも果たす高嶋政伸主催の「リーディングセッションVol.15」(朗読劇)が、6月9日(日)に東京・ボディアンドソウルで行われる。

【写真を見る】優しい笑みを浮かべる2人

本公演は、高嶋が表現者としての幅を広げるために1995年から始めたもので、約13年ぶりの開催となる。

今回は、作家・別役実の「湯たんぽを持った脱獄囚」を、高嶋がミュージカル界の「神」と心酔する、加藤敬二と山崎佳美と共に披露する。

同作は、ある街に行方不明者を捜しに来た「男」が、終電後のバス停で不思議な「女」と出会い、さまざまな所持品を通して奇怪な掛け合いを繰り広げるシュールなストーリー。

公演を前に、熱烈なオファーで25年越しの夢をかなえ、加藤と共演することが夢だったと語る高嶋と加藤の対談が実現。朗読劇の見どころや、本公演の開催に至った経緯などをざっくばらんに語ってもらった。

――リーディングセッションとはどのようなものですか。

高嶋:朗読以上、演劇未満だと思っています。だから、朗読劇みたいに読むだけじゃなく動いてしまってもいい。落語というわけではないんですけど、思わず立ち上がっちゃったみたいに身振り手振りがあるほうがいい感じがするんですよね。

お客さんがいるとまた感覚も変わってきますから、そのあたりはビビットに。本番は稽古したものとは別のものになるでしょうし、どうなるのかは楽しくもあり怖くもありという感じです。

――朗読劇を始めたきっかけや理由は?

高嶋:1992年に青井陽治さんの「ラヴ・レターズ」という朗読劇で、最後の場面を読んでいる時に突然シャーマンの様に、涙があふれでてきて立ち上がれなくなってしまいまして。本当に何かが降りてきたような。そんな経験した事がなくて、ずっと気になっていたんです。

それと同時に当時、ドラマ「HOTEL」(1990年ほか、TBS系)がご好評を頂いておりまして、もっと違う役柄を演じてみたいという気持ちがどこかにあったんだと思います。

そんな時に、ニューヨークの朗読会は、ものすごくパワーがあることを知人から教えてもらいました。作品によっては、ブロードウェイの舞台化や映画化の権利のやりとりもされる場だということを知りまして。で、俺がやりたいのはこれだ!と。

それで、僕自身が心からほれた作品を選んで、自分がやりたい方とやりたいように演じる場を1年に1回でもいいから作りたいと思い始めたんです。

それで、始めたのがリーディングセッション。僕はジャズが好きだったので、ジャズのジャムセッションから取ってリーディングセッションという名前にしました。多い時は年に4回やっていた時期もあったんですよ。

――それからすると、今回は久しぶりの開催となりますが、お気持ちはいかがですか?

高嶋:非常に緊張はしています。でも、今回は念願の加藤敬二さんとご一緒させていただけるということで、「この日が来るのを信じていました!」。この一言です。

25年前に加藤さんのミュージカル「クレイジー・フォー・ユー」を観て、衝撃を受けました。日本にもこんなすごい方がいらっしゃるんだと。

その後に知人を介して赤坂でお会いすることができて、「いつか朗読をやりませんか」とお話ししたのが最初で、昨年また口説いてその夢がかなったのが今回。25年来の朗読ができるということで、この日が来るのを信じていました!(笑)

高嶋「蟻地獄のように計画的に進めまして…」

――どのようにして口説き落とされたんですか?

高嶋:昨年の年末にお食事にお誘いして、「せっかくなので奥さまもご一緒にどうですか?」「せっかくなのでうちの家の近くのおいしいレストランに行きませんか?」「だったらせっかくなのでちょっと読み合わせしてみませんか?」と蟻地獄のように計画的に進めまして。

その時に奥さまの佳美さんの声に一目惚れならぬ一声惚れをしまして、リーディングセッションを3人でやってみませんかと、お断りできない状況を作った上で今回に持っていきました(笑)。

――加藤さんはその時のことを振り返っていかがですか?

加藤:実は読み合わせの前にホテルにこもって1週間くらい一人で練習していました(笑)。とにかく途切れずに読めるようにしようと思って。その後に読み合わせで妻の存在を気に入っていただいて、3人でやることになりました。

経験がないので、まだ、どんなふうになるのか想像がつかないんですが、今まで足を踏み込んだことのない世界に行くので、冒険心というかワクワク感があってしびれています。

それと25年越しの朗読劇をやらせていただくことに、先ほどもありましたキャッチフレーズ「信じていましたビックリマーク」。本当に楽しみです。

――独特な世界観のある作品ですが、この作品を選んだ理由は?

高嶋:楽しいところです! 掛け合いとかシチュエーションが、別役先生の中でも楽しい作品なんですよ。

そして、非常にダークでブラックなところもあるのですが、僕は加藤さんが男役を読んでいる姿がありありと頭の中に浮かんできたので、選ばせていただきました。

――どんなふうに演じていきたいですか?

加藤:台本を通してお客さまにドラマを組み立ててもらうような渡し方をできればいいのかなって思ってるんですよ。

いろんな枝葉を付けて演じていくんじゃなくて、自分というものをどんどんそぎ落として、最後に言葉の中に生きるものが、お客様の中に組み立てられる材料として届けばいいのかなって。

全部そぎ落として最後に何が残るのかは、今の僕の楽しみの一つですし、これがどういうふうに最終的に作り上がっていくのかがこれからの楽しみです。

高嶋:聞いてるお客さんは、犯人を取り調べする刑事みたいにじっと見ている人もいれば、目をつぶったり、下を向いたり、いろんな方がいらっしゃるんですよね。

100人いたら100人とも全然違うものを感じていると思うので、作品のイメージを限定させることなくある程度委ねて、お客さんが膨らませていくようなアプローチの仕方をしたいですね。

また、今回は「湯たんぽを持った脱獄囚」の前に、私が書いた初のオリジナル短編「ちょっとした刺し傷」も朗読致します。

この作品は30年以上前に僕が経験したことをモチーフに、僕自身の私的な考察を加えたもので、友達の芥川賞作家・川上未映子さんからもお墨付きをもらえた作品なんです(笑)。

実体験に基づいて執筆

――どのような物語なんでしょうか。

高嶋:30年以上前によく通っていた屋台のおばちゃんが、実の息子に全身17箇所刺された殺人事件がありまして、それでその事件を通して、人生や人との触れ合いって何だろうみたいなものを考えていく日々をつづりました。

――実体験に基づいたものなんですね。執筆したことで感じたことはありますか。

高嶋:書いてみて思ったのは、僕は到達できない光と影みたいなものにずっとこだわってきたんじゃないかなって思うんですよね。

15歳の時に藤山寛美さんを観て感銘を受けました。僕にとって寛美先生は、自分が100年たっても、決して到達できない光なんです。でも、その光を観ることはできた。感じる事もできた。観たり、感じたことによって自分の人生も豊かになった。加藤敬二さんも100年たっても到達する事はできません。

しかし、観る事はできる。感じる事はできる。つまり、自分の居場所にしっかり立ちながら、到達できない光を観る、感じる。この距離間の中にこそ、人生の喜びがあるのではないか、と思うんです。

また、光は輝くほど影が濃くなるんですけど、2つは表裏一体。その光の世界と影の世界を行ったり来たりする。その光と影は、歳と共に濃くなっていきます。観に行くことすら怖くなるときもあります。

でも、引き寄せられる様に近づいてしまう。しっかりと「間」を取りながら。その行為ができることに幸せを感じますし、また、怖くもなります。でも、やめられないです。ファラオの呪いにかかったように(笑)。

――ちなみに、お二人にとって朗読劇の魅力とは何でしょうか。

高嶋:踊りでいったら素踊りみたいな感じです。いろんなものを脱ぎ捨てて料理する前の素材の味を楽しんでいただけたら。朗読に来るお客さんは演技者の魂みたいなものまで見ようとするんですよ。

でも、声はうそがつけないので全部聞こえちゃうんですよね。だから僕も素っ裸になる気持ちでいるし、お客さんにはそれを見ていただきたい。それで楽しんでいただけたらうれしいですね。

加藤:僕はダンス中心で今までやってきたものですから、演じるに当たって着ることばっかり。でも朗読は着て作り上げるんじゃなくて脱いで真っ裸になる。そこから出てくる人間味のすれ違いがご覧になってて面白いのかなと感じています。

――お二人が共演される「湯たんぽを持った脱獄囚」は、さまざまな所持品が出てくる作品ですが、普段から愛用しているものはありますか?

高嶋:仕事に行く時は常に葛根湯を持ち歩いています。寒いと思ったらすぐ飲んで、風邪を引かないように。鼻声になっちゃうとね、ドラマにお客さんが入り込めなくなってしまいますから。

加藤:僕は老眼鏡とこの時期は花粉症の薬。もうどれだけ苦しんだか。いまの薬ってだいぶ体に優しいんですよね。眠くならないし、喉がカラカラにもならないし、本当に助かりましたよ。

一昔前まではカプセルの薬を中身を減らして飲んでたり、それでもカラカラになって、結局話していると喉がガラガラになってしまって。でも、今は離せないですね。

――最後に公演の見どころをお願いします。

高嶋:3人のスリリングなセッションを、伸ばせば手が届く至近距離で見ていただきたいです。お客さんと一体になれる場だと思うので、楽しんでほしいと思います。

また、立ち見となってしまった5人のお客さんには、3人から心のこもったプレゼントをする予定ですので、ぜひ足をお運び下さい。

加藤:会場はお客様と一体になれるような空間です。朗読の世界に足を踏み入れるのは初めてなものですから、政伸さんの胸を借りていろんなことを教えていただきながら、私がのたうち回る姿をお楽しみください。

でも、3人でやるセッションが今までにない楽しいものになることは確信しています。(ザテレビジョン・取材・文・撮影=永田正雄)

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