気まぐれな彼に振り回されています。どうすればいい？【ひとみしょうのお悩み解決】

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか？”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「はるさん 38歳」のお悩み〜

しょうさん、こんにちは。いつもコラム楽しみに拝見しています。

気まぐれな男性に振り回されてしまう自分がいます。相手の男性は会社の上司で40代後半、お互い既婚者同士でやってることは不倫関係ですが、私は彼が何を考えているかわからないでいます。

半年前くらいに知り合い、わたしがかなりアプローチを受けてきたのですが、体の関係になったくらいからアプローチも以前とは変わり、2人で会ったりエッチしてるときはいいのですが、大勢でいるときやLINEだと気持ちを聞いてきては、わたしのことを冷たくあしらう感じだったり、やきもち妬かせるようなことをしてきたり。

エッチなことや下ネタは楽しそうに話してくるし、連絡がわたしからばかり、というわけでもないのですが……。酔っぱらうと「記憶ない」とか「忘れた」と言うので、ちゃんと話もできないのかなって思って、連絡が来てもどうしたらいいかわからなかったりします。

なにか問い詰めれば「なにも言われる筋合いなくない？」とかわされて落ち込む可能性もあれば、なにも気にしていない可能性も……。

もうこっちから連絡しないでおこうと思いながら、本当は話したいし会いたくなってしまいます。職場の上司として気まずくなりたくないですし、人として絶対的に嫌な人ではなく人望も人気もわりとあるので、私だけが無碍（むげ）に扱われてる気がしてるのもなんかショックで……。彼にどう向き合ったらいいのでしょう。わたしには難しいです……。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

彼はあなたに甘えているんでしょうね。あなたのことが嫌いとかそういうことではなく、単純にあなたに甘えているだけでしょう。だから、何の心配もなく、彼にあなたが今思っていることを質問してみるといいです。たとえば「わたしのことを冷たくあしらうのはなぜ？」とかと。

男って子どもだから

はるさんのことを冷たくあしらったり、やきもちを妬かせるようなことをしてきたり、というのって、男が甘えている典型的なパターンですよ。

それはつまり、甘えることによって生じるはるさんの態度を見て、彼は安心するから、だから甘えてくるんだということです。「俺はまだ、彼女に愛されている。彼女はまだ俺のことが好きなんだ」あなたの態度を見て、彼はこう確認したいんです。

ようするに、彼はあなたのことが好きだということです。それも「かなり好き」なはずです。相手のことをかなり好きな人は、相手に嫌われて愛を失うことを恐れているので、失わないように細心の注意を払います。だから彼は彼女に、慈悲と思いやりの精神をもって接します――とはならないのが、恋愛下手な男で、彼は、彼女がやきもちを焼くようなことをあえてしたり、急に冷たい態度になったりするのです。男ってアホでしょう？ 子どもでしょう？

酔っぱらうと「記憶ない」と言う彼って、何を考えている？

＜酔っぱらうと「記憶ない」とか「忘れた」と言うので、ちゃんと話もできないのかなって思って、連絡が来てもどうしたらいいかわからなかったりします＞ここは、はるさんのみならず、あまりお酒を飲まない女性に多い悩みでしょうね。

酔っぱらいの気持ちは、酔っ払いにしかわからないので、彼よりもお酒が弱い女性や、彼より格段にお酒が強い女性（どれだけ飲んでも酔わない女性）には、うまく理解できないことじゃないかなと思います。

僕は、お酒があまり強くないわりに、いつまでも飲んでいる方なので、なんとなく彼の気持ちがわかります。すなわち、彼はあなたに甘えているのです！

彼が言う「記憶ない」は、本当に記憶がないという意味です。「忘れた」は、本当に忘れているのです。

これらについては、昔からある「酔っ払い対策の第一法則」を適応するといいんじゃないのかなと思います。つまり、酒の席のことを翌日に持ち越さない！

彼は、精神的にあなたに甘えたくて、大酒をくらうのだから、酒の席のことは「彼ってかわいいわね」と思うのみとし、ネガティブな気持ちを翌日に持ち越さないこと。

こんなの、翌日に持ち越す方が不利で、何もかも忘れている人のほうが有利に決まってるんですよ。だから、あなたも忘れる！ これでどうでしょうか。

さらに、彼が＜エッチなことや下ネタは楽しそうに話してくる＞のは、なにもはるさんの体だけが目的ということではなく、これも甘えているんですよ。「俺もまだ男だ！俺とエッチしたいと言ってくれる女性がいる！」こう認識するたびに、彼は自信を深めるのです。

女性のほうが1枚も2枚もうわて

はるさんたちの関係は、いわゆる「一般的なまろやかな不倫」です。つまり、彼はなにもあなたの体だけが目的なのではなく、精神的なよりどころとしてあなたのことを捉えている。一方、彼女のほうは（つまりはるさんは）、男の気持ちがうまく理解できなくて、彼との関係に一抹の不安を覚えている。「よくありがちな関係」といえば失礼かもしれないけど、ホント、よく聞く話だし、女性の側が多少の不安を抱えたまま、運が良ければ、穏やかな不倫関係が続くのだろうと思います。

だから＜私だけが無碍（むげ）に扱われてる気がしてるのもなんかショックで……。彼にどう向き合ったらいいのでしょう＞という質問の答えは、なんの心配もなく、彼に思っていることをそのまま聞いてみては？ です。

はるさんの彼、ホント、なにも考えていません。はるさんに好かれ、エッチもでき、男としてこんなに嬉しいことはない！ と思っているだけなのだから、「ねえ、話があるんだけど」なんて言って、彼が「話ってなんだろ？別れ話かな？」とかと思って、軽く緊張するのを楽しむといいですよ。

＊

飛行機のパイロットは、総飛行時間が多いほど優秀とされていますよね。少なくとも、僕たち「飛行の素人」には、そのように聞き伝わっていますね。

恋愛も「総飛行時間」が大事です。女性は幼い頃から、恋や愛について、日常的に考えてきましたよね。その傍らで、男子は、戦闘もののマンガやゲームに興じてきました。男女で恋愛について考えている「総飛行時間」ならぬ「総思考時間」がまるで違うのです。

「プロ」の方が、有利です。つまり、女性のほうが恋愛において、1枚も2枚もうわてです。

あなたはジャンボジェットの機長です。彼は新米パイロットです。あなたが彼をいい方向に導いてあげてはいかがでしょうか。

（ひとみしょう／作家）