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口コミで“今、一番訪れたい”と話題の美術館に行ってきました。(Misaki Yamashita)

  • 2019.4.23
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口コミで“今、一番訪れたい”と話題の美術館に行ってきました。(Misaki Yamashita)
2019.04.23 12:00
行楽シーズンはもうすぐそこ! 瀬戸内海に浮かぶ豊島(てしま)は、これからの季節にぴったりな自然あふれる場所。先日訪れたこちらから、今、世界的に注目を集めていると噂の美術館のおすすめポイントをレポートします。


「瀬戸内海に旅行するならぜったい行くべき!」と、知り合いのスタイリストさんにおすすめされて降り立ったここ、豊島。アートスポットとして外国人の間でも有名な直島から、日に数本だけ出ている船に乗って20分程度で着きます。直島に比べると車通りも少なく落ち着いた雰囲気で、レンタサイクルだと2時間程度で一周できてしまうほどだから、穴場好きの人には最適かも。こんな映画に出てきそうな見晴らしのいい坂道を、自転車で駆け下りる爽快感といったら!


まずはこの島に来た一番の目的である「豊島美術館」へ。美しい海と棚田の景色の中に、真っ白なシェル構造の建築が突如として現れるさまは、まるで不時着した宇宙船のよう。チケットセンターで受付を済ませ、遊歩道をぐるりとまわってアートスペースに向かいます。この散歩の時間すら、作品世界へ通ずるリチュアルめいて。


ここにあるのは、アーティストの内藤礼さんによる「母型」という作品。ですがこれ、ひと目で全貌を理解できるものではありません。スペースに入ると見えてくるのは、ぽっかりと外に向かって穴のあいた、柱のない真っ白な空間です。一見何もない……のですが、地面に水たまりがいくつもあり、なんとこれが時間と天候によって、湧き出ては消え去っていく。それがこの“作品”の核であり、豊島美術館が展示している唯一のもの、なのです! 写真でお見せできないのが残念。


水たまりはほんの少しずつ、大自然の力を借りながらチョロチョロと動いていくので、見る側は気を抜けません。それにしても、普段あまりにも身近に触れている“水”が、見方次第でこんなに美しい、鑑賞するに足る“美術作品”に昇華するとは……。「アート」や「美術館」と聞き、無条件に何かしらの作られた“モノ”を予想していた自分の価値観を、根底からひっくり返されたような気持ちに。この素晴らしさは行かなければ理解できないと思うので、“人におすすめしたくなる”というこの美術館の評判にも納得です。


豊島にはいたるところに美術作品が展示されており、アドベンチャーを気取って自分の足でそれらを鑑賞しに行くのも、とても楽しい。島の東端に位置する「心臓音のアーカイブ」も、そんな数ある作品のうちの一つ。アーティストのクリスチャン・ボルタンスキーが“人が生きた証”として世界中から採取した、人の心臓の音を聴くことができる美術館です。海辺に立つ小さな建物は、まるでサナトリウムのような静謐さに満ちて。


真っ暗な鑑賞ルームに入ると真ん中に電球が配置されており、部屋全体に響きわたる「ドクドク」という心臓の音に合わせて明滅します。心臓の音って人によって違いがあるの? なんて疑問を持つのも初めのうちだけ。アーカイブの中からランダムにセレクトされた心臓音が切り替わるたび、その音の持ち主の性格や生活まで想像してしまうくらい、違いが顕著で興味深いです! 自分の心臓音を録音してアーカイブに登録することもできるインタラクティブ性も、現代らしくて素敵。


次の休暇の行き先に迷っているなら、アートにあふれたこの小さな島も、ぜひ候補に加えてみてください!

Misaki Yamashita

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