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女性が海で心身を浄化する日「はまおり」とは?【石垣島ヨガ便り♯6】

  • 2019.4.18
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Cover image by 石垣島ヨガ便り ♯6

女性にちなんだ沖縄の行事「はまおり」とは?

日本全国で3月3日と言うと、ひな祭り、女の子の節句です。ここ沖縄でも、旧暦の3月3日は女性にちなんだ行事があります。それは、「はまおり(浜下り)」と言って海に浸かり身を清めるというものです。石垣島の行事はほとんどが、今でもこの旧暦で動いています。新暦でいうと、今年は4月7日でした。

この浜下りには、こんな言い伝えがあります。昔、ある少女の家に突然男が現れ、両親の反対にも関わらず、その男と密会するようになりました。その後、子を身ごもりました。しかし、その男の正体はアカマタ(大蛇)だったのでした。それを知った娘は海に飛び込み、アカマタの子を流し穢れを清めたそうです。それが、旧暦3月3日のこと。それからというもの、その日に海に身体を浸けることで清められるとされています。

言い伝えから、特に女性の穢れを海が浄化してくれると信じられています。地元の人の中には、「何か思い当たる節がある女子は、海に行った方がいい」という人もいますが、特段の理由がなくともこの日は多くの島人が海へ行きます。この季節の石垣島は、春というよりももう初夏。夏の始まりを海で感じる、年中行事の一つになっています。なんとも恐ろしい話ですが、冬の滞りを海で洗い流すという、先人たちからの浄化のメッセージだったのかもしれません。

ヨガにおいても、浄化は大事なこと。アーサナばかりにフォーカスが当てられやすいハタヨガですが、身体的鍛錬として浄化は最も重要なメソッドの一つとされています。ハタヨガの経典「ハタヨガプラディーピカー」でも浄化法について詳しく記されており、その中でシャットクリヤという6つの代表的な浄化法について説明されています。浄化とはもちろん心身を清めることです。私たちの中には想像以上に老廃物、不純物が滞っていることが多く、なかなか古いものを手放すのは難しいことです。それを助けてくれるのが浄化法です。初夏のビーチで日差しを浴びて汗をかいたら、少しひんやりとする海へ足を浸ける。身体の中の循環がより巡る、まさに南の島のクリヤ法です。

はまおり
海に浸かり身を清める浜下りは、ヨガの浄化にも通じます

海のある生活。生活と海のリズムが調和する

今では、浜下りの日には、多くの人がモズク取りやアーサー取りに、行きます。この時期、石垣島ではモズクは最盛期。干潮のタイミングを狙って、モズクを探します。簡単そうに見えて、これがなかなか難しい。足首くらいの揺れる海面にじっと目を凝らし、砂にまぎれたモズクを見つけます。一方、アーサーの方が簡単に収穫できます。アーサーも干潮時に海から出てきた岩にへばり付いているものを採ります。小さいものの方が柔らかく香りも高いです。砂などの不純物をしっかり取り除いて、そのまま日陰で2、3日干すと上等なアーサーになります。我が家ではスープに入れたり、子どもたちのおやつ代わりにしています。

もずくやアーサー採りは、石垣島の各地のビーチでできますが、特に名蔵湾のビーチがおススメです。海沿いの道、県道79号線を走ると、この日はたくさんの人が海に入っているのが見られます。観光の方でも、ぜひ一緒にモズク、アーサー採り体験をしてみてください。島の人の暮らしに触れる体験になります。

島の暮らしは海と繋がっています。長男がまだ小さい頃、大潮の干潮の時に、水が引き岩やビーチがむき出しになった海を見て「ママ、海壊れちゃったね」と言っていました。東京にいると、潮の満ち引きや、潮回りを、日常で感じることはあまりありません。島に暮らすようになり、海が生活に溶け込むようになりました。無意識のうちにそのリズムが、生活や自分の中へと調和します。もずくやアーサーも、そんな海の恵みの一つです。季節のモノをいただく、しかも自分で採りに行く。そんな生活は海のリズムと自分を、しぜんに繋げてくれます。

アーサー
潮回りを感じられるのも、島の魅力の一つ

浜下りは海のピクニック。ヨガマットとお気に入りのものを持ってビーチへ

浜下りに今では、女性に限らず、家族や友人同士など、みんなで出かけます。今年の浜下りは、東京出張だったため、数日遅れの海へのピクニック。お気に入りのスムージを持って、ヨガマットともにビーチへ。今月から石垣島に移住したばかりという人も、風習にならいアーサー取りに挑戦。「集中力が養われます…」ともくもくと採る人、女子トークで盛り上がりながら楽しむ人。アーサー採りで屈んだ腰は、もちろんヨガで伸ばします。

日差しを浴びたら海に浸かって泳いだり、SUPをしたり。皆、思い思いの時間を海で過ごします。思い思いに過ごしながらも、色々な「自分」が海に消え真っ新になっていく、不思議な時間です。石垣島に越して4年あまり。4回目の浜下りをしながら、夏の訪れを感じます。そして、新しい季節の始まりに向け、いつの間にか身体も心もリセットされていました。

石垣島
島のビーチにて

長島千比呂
定期的に南インドに渡印し、高名なヨガマスターであるSwami Santhiprathadaに師事、インドの伝統的なヨガのスタイル、SivaRajaYogaを学ぶ。kSaNaYogaSchool を主宰し、SivaRajaYoga をはじめ、SwaraYogaや、KriyaYoga などインド伝統ヨガを日本に伝えている。2015年から沖縄石垣島へ移住し、YogaRetreatVillage, kSaNaを開設。国内外でのヨガリトリートに力を注いでいる。

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