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政治犯演じる堤真一「拷問に耐えうる意志の強さは見た目の強さではない」

  • 2019.4.15
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4月20日から上演される『良い子はみんなご褒美がもらえる』で主演を務める堤真一
KADOKAWA

【写真を見る】「オーケストラの演奏と芝居がリンクしていくなんてすごく面白い」と主演舞台について語る堤真一

堤真一が政治犯を熱演!

トム・ストッパードとアンドレ・プレヴィンが俳優とオーケストラのために創作した戯曲『良い子はみんなご褒美がもらえる』が、堤真一と橋本良亮の共演で4月20日(土)から上演される。

ソビエトと思われる独裁国家の精神病棟の一室を舞台に、堤真一が誹謗罪で捕まった政治犯の男・アレクサンドルを演じ、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われた男・イワノフを橋本良亮が担当、それぞれの「自由」を主張していく。「自由」と「真実」をテーマに、舞台上には35人のオーケストラが劇中に登場するという斬新な作品だ。

今回主演を務める堤に、役作りやトム・ストッパードの魅力、堤にとっての演じることとなど、ここでしか聞けない話を聞いた。

――今作のオファーがきた時との思いと、最初に台本を読まれた感想をお聞かせください。

最初にお話いただいた時は、オーケストラ=ミュージカルだと思っていたので、ミュージカルは無理無理!って即座に言ったんですよ。でもオーケストラは入っているけど、歌うことはないと聞いて、それで初めて台本を読みました。

読んでみたら、「え?これどういうこと?」という不思議な部分もありましたけど、オーケストラの演奏と芝居がリンクしていくなんてすごく面白いなと思いました。でもどういうふうな見え方になるのか、まだ想像ができないですね。

トム・ストッパードの作品は、2年前の舞台『アルカディア』(2016年)の時も、当初は台本は面白いけど、全体が立ち上がって役者が(演技を)やるまではよく分からないと思っていました。

稽古の途中でも手探りだった記憶があるので、今回も、一つ一つ丁寧に稽古を重ねていくことで役者とオーケストラと全てが重なって、見えてくるのかなと思っています。だからこそ一つ一つのシーンを成立させていくことに集中しようと思っています。

「子供の頃に母親に反発してハンストの真似事をしたことがある」と明かす堤真一
KADOKAWA

「拷問に耐えうるとは意志の強さ」

――今回の役が政治犯ということですが、どのように役作りをされましたか?

偶然、テレビで政治犯について特集しているドキュメンタリー番組を見たのですが、僕がイメージしていたものとは違いました。

僕は漠然とですが、政治犯というのは、見るからに強い、軍人的な強さをイメージしていたのですが、拷問に耐えうる意志の強さというものは、見た目の強さではないんだなと思って。レベルは全く違いますが(笑)、僕も子供の頃に母親に反発してハンストの真似事をしたことがあるんですけど、そこまでして抵抗しようとする意志の強さはすごいものです。でも、僕は夜お菓子食べてましたけど(笑)。今回、ドキュメンタリーを見て、外見から強靭な精神を表現しようとするのは違うかもしれない、と思いました。

そこは稽古しながら、演出家と相談しながら作っていくものですし、そこから見えてくるものがあるとも思っています。映像では役作りのために痩せるとか、太るとかもあるんですけど、舞台ではそういうことよりも、まずは脚本に書かれているせりふを、自分が腑に落ちて言えるかどうだと思っています。僕はあまり“役作り”という構えた考え方がないのかもしれないですね。

だから僕は稽古前にあまり固めていかないようにしています。自分だけでイメージを作り過ぎると、そこから修正するのが大変ですし、先入観にとらわれないようにしないと、変化していけないでので。

演じることについて語る堤真一
KADOKAWA

「稽古中にどんなことでも議論する」

――稽古の時に演出家さん以外に演者さん同士で相談することもあるんですか?

個人的に相談することは、あまりないですね。まずは役者同士が一つの作品に向かって同じ方向を見て、共通意識を持つことが大事だと思っています。

ただ、外国人の演出家の場合は、稽古中にどんなことでも議論するので、これ聞いたら恥ずかしいなって思うようなことでもみんなの前で話してしまいます(笑)。個人的に相談し合うのとは違うけれど、全体のディスカッションでお互いの共通認識が持ちやすくなっていきますね。

――翻訳劇の面白さについてお聞かせください。

僕は元々翻訳劇からスタートしているので、違和感を持ったことがないんですよね。ご覧になる方々は、海外モノというだけで身構えてしまう方も多いかもしれませんが、翻訳劇は社会や文化が違うからこそ、人間の根っこにある普遍的な感情が浮き彫りになっている気がするんです。意外と翻訳劇の方が深いところまで分かりやすいと思うんです。何よりも戯曲が優れてなきゃわざわざ日本まで紹介されてこないですから!

演じることについて熱弁を振るう堤真一
KADOKAWA

「必死に新しいことに向き合っていく」

――堤さんにとって演じるとはどういうことですか?

難しいですね。いまだに分からないです。クリエイティブな作業だと思いますが、自分だけで考え出して作っているわけじゃないですし。一つのパートを受け持っているイメージです。役者というのは、いわば一つの歯車なんですね。

自分では、演じることがどういうことなのか、と言い切れるものは何もないですが、毎回、必死に新しいことに向き合って稽古を重ねていき、何かを見つけていく作業です。今回も、この作品には新しい発見がたくさんあると思いますので、皆さんにもぜひご覧いただきたいと思っています。(ザテレビジョン)

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