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田中れいな、悪の華を咲かせた圧倒的2.5次元力!「さあ、跪きなさい!」

  • 2019.4.8
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田中れいな主演のミュージカル「悪ノ娘」が東京・池袋のあうるすぽっとで上演中。公演は4月14日(日)まで行われる
KADOKAWA

【写真を見る】圧倒的2.5次元力と歌唱力で可憐に悪の華を咲かせた田中れいな。怖さと愛らしさのギャップに目を奪われる

田中れいなの主演ミュージカル「悪ノ娘」が、4月6日、東京・池袋のあうるすぽっとにて開幕した。

「悪ノ娘」は2008年に、mothy_悪ノPが「キャラクター・ボーカル」シリーズの鏡音リン・レンを用いて発表した人気のボーカロイド楽曲。その歌の世界を原作に、コミックや小説などさまざまな作品が誕生している。

贅沢(ぜいたく)の限りを尽くし、国民に重税を課す王女リリアンヌ。その悪政に民衆は苦しめられ、リリアンヌの幼き嫉妬心が隣国を滅ぼすに至り、ついに民衆は武器を手に王宮を取り囲む…。

「悪ノ娘」は2017年に同じく田中れいな主演で初ミュージカル化され、今回は初演好評につき2年ぶりに実現した再演。

ミュージカルというとつい構えてしまう方もいるかもしれないが、2.5次元系はクラシカルな作品にはないエンターテインメント性が魅力な世界。特に「悪ノ娘」はポップなボカロが原曲なだけに高揚感が高く、コミカルあり、アクションあり、華やかなダンスパフォーマンスありと、誰もが楽しめる作品に仕上げられている。

初演から2年後の今、再びあの断頭台のシーンから始まった「悪ノ娘」。物語は同じでも、劇は異なるものとして完成された
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田中が演じるのは、革命により斬首に処されたフランスの王女マリー・アントワネットをモチーフに描かれる“悪ノ娘”リリアンヌ。圧倒的2.5次元力でステージに立ち、「さあ、跪(ひざまず)きなさい!」と壇上から言い放つリリアンヌ=田中の姿には、大袈裟でなく痺れるものがある。

再演ではあるものの、主演の田中以外は新キャストで、新曲、新規シーンの追加もある新しい座組に。「初演とは違う新しい作品に」と田中が述べ、「初演を超える作品に」と新キャストたちが意気込みを表した通り、舞台上で披露されたのは、確かに新しい「悪ノ娘」であった。

本公演は4月14日(日)まで、池袋のあうるすぽっとにて行われる。

なお、田中は、5月に舞台「信長の野望・大志 夢幻」(信長の妹・市役)、8月にミュージカル「赤毛のアン」(主演・アン役)への出演が発表されている。どちらもリリアンヌとはまったく違う役となり、そこでどんな魅力を出してくれるのかも楽しみなところだ。

ステージに立つたびに進化する田中れいな

ここでは田中のリリアンヌを追い掛けながら、観劇しての記者個人の印象を少しだけ伝えさせてもらいたい。

モーニング娘。を卒業後、ハロー!プロジェクトの外の世界に踏み出した田中は、舞台、ミュージカルへの出演を重ねるたびに、表現力、歌唱力に磨きをかけ続けている。幾度もリポートしてきた通り、彼女はもともとのアニメキャラのような容姿も武器に、本作をはじめ、「音楽劇ヨルハVer1.2」「ふしぎ遊戯」シリーズの2.5次元系ではその魅力を遺憾なく発揮。主演、準主演の座に就き、作品世界を形作る大きな華となってきた。

傍若無人な振る舞いで王宮の大人たちを辟易させる、14歳の幼き王女リリアンヌ。田中は気まぐれなわがままぶりを、コロコロ変わる表情と仕草で愛らしく、そしてトゲトゲしく表現。それと同時に、14歳にして玉座に就いたがゆえの孤独で強がりな内面を、時おり露わになる切なげな表情で見せていく。

【写真を見る】圧倒的2.5次元力と歌唱力で可憐に悪の華を咲かせた田中れいな。怖さと愛らしさのギャップに目を奪われる
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気が強く、指図されるのが大嫌い。それでいて寂しがり屋な面もある。強めの顔立ちに愛らしさが同居する彼女にとって、確かにリリアンヌはハマり役だが、“見た目が似合う”というのはもはや些末(さまつ)なことだろう。田中をリリアンとして成立させているのは、間違いなく培われてきた表現力だ。

ちなみに、田中は現在29歳だが、14歳の少女役がいまだ似合いすぎるのは、なんというか「いつまでも田中れいなでいてくれるなあ」という感想。本公演を観劇した方々のSNSコメントでも、リリアンヌにやられてしまったという感想があふれていた。

そんなリリアンヌに寄り添うのが、星波が演じる召使い・アレン。少年役だが、イケメンアイドルグループ、ザ・フーパーズとしてステージに立ってきた星波にはこれまたハマり役に。力強く、切れのある中性的な声で、“顔がよく似た召使い”を見事に演じ切っている。

アレン役の星波は、男性だが女性っぽい中性さだった初演時の山本和臣とは逆に、女性だが男性っぽい中性さを発揮した。まさに美少年
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ある理由からリリアンヌを思うゆえに従順で、暗殺の命令には狂気の表情を被って剣を持つ。孤独なリリアンヌのただ1人の味方となって守ると決めた覚悟の姿に、視線を釘付けにされていく。リリアンヌが主人公の「悪ノ娘」であるが、裏視点である「悪ノ召使」の物語もしっかり描かれ、女性である星波が作った美少年アレンは、ダブル主演と呼んでも間違いない存在感と新鮮さを放っていた。

それぞれの感情・物語が交錯した歌唱パート

初演との比較は栓無きことだが、初演を記憶していると、田中の表情の入れ方、台詞へのタメの入れ方、強弱でのニュアンスの伝え方など、「お!」と気付く部分も随所にある。「変えていこう」というよりも、2年の間に増した芝居への向上心、努力が生んだ変化なのだろう。

そして、何より初演を超えてきたのはミュージカルの核である歌唱パートだ。切れの良い発声が印象的な「悪ノ娘」の高揚感。感情深く歌い上げる「リグレットメッセージ」。田中の歌唱力は相変わらず素晴らしく、今回さらに増した歌の突き刺さりと共に、歌詞をかみ締める表情にも引き込まれていく。

田中れいなの歌声はとにかく音の切れがよく、歌詞がとても聴こえやすい。ライブとはまた違った歌の魅力を届けてくれる
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歌詞をかみ締めると言えば、星波による「悪ノ召使」も同様で、この曲に込められたリリアンヌに向けるアレンの感情を、葛藤と切なさの募る歌声で紡いでいく。ここで涙を誘われる方も多いのではないかと思う。また、田中との掛け合いになる「孤独ノ王女」では、手を伸ばそうとするが、それができない、リリアンヌとアレンの心の距離感を悲哀の芝居と共に見せてくれた。

さらに、元SUPER☆GiRL でミュージカル経験も豊富な宮崎理奈、シンガーソングライターのyucat、元チャオ ベッラ チンクエッティのメインボーカル・橋本愛奈といった実力のある歌い手たちがメインキャストに並び、彼女たちの歌声は歌唱パートに大きな厚みを作り出している。

約2時間10分のドラマだが、暗転がなく、小気味良いテンポで進んでいくのであっという間の気分。舞台・ミュージカルはちょっと苦手という人にも楽しみやすい作品だ
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もちろん、ここでは書き切れない青の国の王子・カイル役の谷佳樹、革命の女剣士・ジェルメイヌ役の護あさな、リリアンヌの男前な愛馬・ジョセフィーヌ役の前田隆太朗ら、全ての役者が作り上げたからこその新しい「悪ノ娘」である。彼らの見どころは物語の結末につながるためここでの言及は控えるが、ファンであればその姿をぜひ見届けに向かってもらいたいところだ。(ザテレビジョン・文・撮影:鈴木康道)

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