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20代半ばで大挫折、自分と徹底的に向き合ってから状況を変化させた“カメレオン俳優”中村倫也のあくなき挑戦とは?【夏目かをるの最強女になる!vol.49】

  • 2019.4.6
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昨年のNHK朝ドラ「半分、青い。」で、ゆるふわ男子“マア君”を演じて大ブレイクした中村倫也。猫を肩にのせてまったりした口調は、独特の色気と存在感をかもし出しましたね。

2019年3月15日放映のあさイチプレミアムトークでは「セクシーと言われると嬉しい」と発言していましたが、感覚的な俳優というより、実は一言一句、セリフの意図を考えて準備する研究者タイプの俳優。言い換えると「セクシー」を徹底的に調べて表現しているのです。

「変幻自在なカメレオン俳優」と称される中村ですが、熱心な研究と計算による役作りこそ彼の本懐。たゆまぬ努力の賜物が彼を支えているのです。

サッカーに明け暮れた中学時代。19歳でデビューもたちまち大挫折。転機は「向き合うこと」

「子どもの頃はまさか自分が役者になるなんて思ってもいませんでした」と女性誌で語る中村の家族は、サラリーマンの父、専業主婦の母、そして2歳上の兄というごく一般的な家庭でした。中学時代はサッカーに明け暮れ、高校でも続けるつもりが、勝ち負けのこだわりや厳しいレギュラー争いについていけなかったそうです。「仲間とやる楽しいサッカー」が大好きだった中村は、やがて高1の夏に辞めてしまいます。

芸能界入りのきっかけは「部活をやめたら急にやることがなくなって」、授業が終わった放課後のバイト中にスカウトされたこと。事務所の養成所で芝居のレッスンを受けているうちに、演じる楽しさを覚え、19歳の時に挑戦したオーディションがデビュー作の映画「七人の弔い」。俳優のこだわりは当時から並々ならぬものがあったそうです。

「高校でもサッカーをやると決めていたのに、短期間で投げ出していたことに後悔していました。次に好きになったものは生半可に手放してはいけないと思っていました」(婦人公論2018年9月25日号)。

ところが20代の前半にはオファーが全くなく、心が腐りかけていたのです。謎の野心と自信があったものの、当時若手の登竜門である「ごくぜん」や「花ざかりの君たちへ」などのオファーもなく、ことごとく心をへし折られてきたのです。

「だけど役がもらえないのは、当時の自分に対する評価ですから。監督や演出家にまた別の役で使いたいと思ってもらうには、現実を受け入れるところから始めなければと思ったんですね」

その時彼が行ったことが、まるで修行僧にように自分と向き合って、徹底的に自分自身を検証したこと。

「まずは自分の弱いところ、おかれている立場や評価を頭の中で並べて。1週間ぐらい家から出ずに、自分自身の足りない部分と対峙しました。周りを認めさせなければいけない、まだ何もできていない、できるようになるためにはどうするかーーそれらを一つずつ整理しながら昇華し、血肉にするべく考え尽しました」(同上)。

想像するだけでもつらい作業です。でもこれをしなければ先に進めなかったという中村は、ある重要なことに気づきます。

「何かにつけ人のせいや時代や作品のせいにしてきましたが、全部自分が原因だったんだと痛感しましたね。それからは見える景色も変わり、『あ、こいつ変わったな』と気づいて切れるような気がします」(同上)

「ピンチはチャンス」といいますが、彼のように「問題は自分自身のなかにある」と気づいたからこそ、次のステップに進めたのです。

既に15歳の頃に「自分自身の向き合う姿勢」を作った中村。哲学に興味を持っていた彼は、やがて「言語化する」という手法で役作りに反映させていったのです。

言語化することを徹底する。役作りも、執筆も、プライベートも。

中村倫也が「人生観が変わった」という舞台「真心一座 身も心も」(2009年 河原雅彦監督)。

小劇場は中村にとって未知との遭遇だったことから、「何だ、これは?」と徹底的に考えるようになったそうです。どんな役でも、自分の中で一言一句、セリフの意図を考えて準備していく中村にとって、舞台を演じることによって、さらに役に対して研究熱心になっていく。これが「カメレオン俳優」といわれる彼の原点なのです。

「自分の中に芽生えたものを、言語化することは、やってきたつもりです。出会ったものや人、一つ一つを糧にするには、言語にしたほうが飲み込みやすいし、吸収が早いですからね」(「ダ・ヴィンチ」 2018年10月6日)

彼の言語化する姿勢と言語化していこうという生き様は、連載エッセー「中村倫也のやんごとなき雑談」(「ダ・ヴィンチ」ににじみ出ています。ダイヤモンドの鉱石のような未知の才能が溢れています。苦しみながら自分をさらけ出しているエッセイスト・中村倫也も、微笑ましいですね。

好きな女性のタイプはオタク?結婚は30代半ばが理想

さて気になる中村倫也の恋愛や結婚観とは?「言語化していく」という彼の言葉をそのまま紹介しますね。

【好きな女性のタイプ】

「かわいくて美人なら越したことないですけど。僕はいつもくだらないことばっかり言うので、アホみたいなことを言っても、ニコニコ聞いてくれて、言葉遣いがきれいで、料理が上手で、家事をしてくれて、男を立ててくれて……という女性はいない!(笑)」(「大手小町」 2017年10/28)

「自分が好きなものを一緒に楽しんでくれる人がいいですよね」

「落ち着いている人がいいですね。あまり家から出ない人間なので、そういう性質の人の方が合うのかなと」

【愛されるより愛したい?】

「えー両方がいい(笑)。愛し愛され、甘え甘えられ。欲張りですかね、全部欲しいです」(以上2018年8月4日 Abema TIMESより)

【恋愛について】

「恋愛においては基本、僕は男が全部悪いと思っているので。(理由は)責任というか…例えば相手に『いっつもリモコン、どこかにやるじゃん!』と思ったとしても、それをどこかにやらせないようにするために何ができるのかを考えないで、ただ『リモコンここに置け!』って言うのは一方的じゃないですか。リモコンをここに置いてもらうにはどうすればいいのかなって発想を持たずに責めるだけだと、先程言った『何十%かはこっちに否がある』ってことになると思うんです。それが拡大解釈していくと浮気にもつながる気がする。もちろんそうじゃないパターンも世の中にはあるのかもしれないですけど、そう思っておいた方が健全ですよね」

「誰かと向き合っていくには『人間なんて両方ダメなんだから』って意識を持たないと成り立たないんじゃないかなと最近は思っています」。

「僕、『人は変わらない』という言葉が嫌いなんです。もちろん変わらないことはあるけど、大概は努力で変えられるって思うんです。『変わらない』なんて言葉で逃げるなって思う。だからまずは思ったことを行動にうつしてみて、それを癖にすれば変わるだろうなって。まぁ、美学ではありますけどね」

【浮気について】

「極論、バレなきゃなんでもいいですよ! 俺が気付かなかったら何したっていいんです。だって気付かないんだもん。本当にうまくウソを付いてくれるなら俺が死んだ後に別の人の墓に入ってもいいですよ。俺もう、いねぇし。ただ俺が死ぬまでバラさないでねっていう。もしバレた場合は…とりあえず確認するんじゃないでしょうか」(以上「ザ・テレビジョン」2018年2月2日号)

【結婚について】

「僕は、自分の子供にはかけっこで負けたくないとずっと思っていたのです。だからせめて還暦前に子供は成人していてほしい。そう考えると、理想の結婚時期は30代半ばですね。この間、マネージャーに『35歳ぐらいで結婚する』と宣言したら、『相手は?』と聞かれて。『これからだよ』と答えておきました(笑)。そういう相手に早く出会いたいです」(婦人公論 2018年9月25日号)

理想の大人像は「子供のようにはしゃいで楽しめる大人でいたい」。

さらに役者としての最終目的は「絶対に言わない」と中村。秘めた願望を確実に自分のものにしている中村は、ゆるふわ男子どころか、常に考えながら役に挑む独特の野心が見えてきます。同時に、童心をいつも胸に持ってはしゃげる大人という可愛らしさが、オンリーワンの彼の魅力をたたえる要なのです。

(夏目かをる)

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