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フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵絵画。【アート収集家 2】

  • 2019.4.2
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フォンダシオン ルイ・ヴィトンでは、『サミュエル・コートールド』展は地下フロアが使われ、地上階とその上の2フロアでは『フォンダシオンの所蔵作品ニュー・セレクション絵画のための視点』展を開催している。こちらは会期が少し長く、8月26日までだ。このふたつの展覧会の同時開催は、現代の創作への関与を歴史的展望の中に根付かせるというフォンダシオンの意欲を改めて断言するものとなっている。

こちらの展覧会で展示されているのは、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵作品の中から選ばれた1960年から2018年までの23名のアーティストによる72点。展覧会のタイトルにも謳われているように、会場の壁を飾っているのは絵画である。写真、デジタル技術の進歩などによって絵画は芸術の表現方法として死を宣告されたかもしれないが、いまも存在する。その絵画の新しいテリトリーを見せるというのがこの展覧会の意図だ。

ギャラリー1の展示はジョアン・ミッチェルの1976〜1989年の作品とカール・アンドレの彫刻。

ギャラリー7で展示されているエットーレ・スパレッティのブルーのバリエーション。ゴールドの外縁もじっくりと眺めて。

ギャラリー9はアレックス・カッツとゲルハルト・リヒター(写真)の作品を展示。

ギャラリー5のテーマは“異なる描き方”。ニック・マウスは鏡のパネルに描き、映り込みも作品の一要素となる。

ギャラリー10は“色、光、空間”をテーマにエルズワース・ケリー、ゲルハルト・リヒター、ダン・フレヴィンを展示。photos:Mariko OMURA

動作、表面、色、光といった絵画の伝統的エレメントを出発点に画家たちはいかに創作するのか。かつて用いられなかったテクニックを用いて、また空間へと広がることにより、いかに絵画がそのテリトリーを拡大しているのか。このふたつの問いかけが、展覧会を通じての案内役となっている。会場となっている11のギャラリーでは、ところどころでアレックス・カッツ、ゲルハルト・リヒターなどの作者別の部屋も。次から次へと部屋をめぐる途中、これが絵画?と不思議に思う作品もあるだろう。具象、抽象、作者の存在が感じられるもの、距離を置いたもの……アーティストたちは創作に用いる素材、基材をなんと自由に選んでいることか。絵画の新しいバイタリティに触れられる。これから描かれる作品を含め、何年か後にさらなる絵画のテリトリーの拡大を見てみたいものだ。

ゲルハルト・リヒター『20.2.08』(2008年)。collection Fondation Louis Vuitton, Paris ©Gerhard Richter 2019 (16012019)

レイモンド・ヘインズ『無題』(1990年)。路上で拾ったメタルの広告パネルを基材にしている。 ©Succession Raymond Hains. Courtesy de la Succession R. Hains & de la Galerie Max Hetzle

草間彌生の『Infinity Mirror Room - Phalli's Field (or Floor Show), 1965/2013.』。彼女の妄想(水玉、鏡、男根のフォルム)が無限に広がる小さなスペースが人気を集めている。©Yayoi Kusama

『La Collection de la Fondation, nouvelle selectin d’œuvresLe Parti de la peinture』展会期:開催中〜2019年8月26日会場:Fondation Louis Vuitton8, avenue du Mahatma GandhiBois de Boulogne75116 Paris開)月・水・木 11:00〜20:00、金 11:00〜21:00(第1金曜 ~23:00)、土・日 10:00〜20:00休)火料金:16ユーロ(サミュエル・コートールド展と共通券)www.fondationlouisvuitton.fr/en.html

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