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悪気のない“やらかし夫”が妻ともう一度やり直すには?【夫にイライラするのはどうして? 脳から科学する“妻のトリセツ” 第3回】

  • 2019.3.23
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連載1~2回を読んで、「すでにNGワードを頻発してしまった」「手遅れかも」と遠い目をしているパパもいるかもしれません。

でも、挽回のチャンスはまだまだある! 最終回は、夫婦が幸せに寄り添うコツをご紹介します。




お話をうかがったのは…
黒川伊保子(くろかわ・いほこ)さん


人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した世界初と言われた、日本語対話型のコンピューターを開発。『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル)、『夫婦脳~夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか』(新潮文庫)ほか著書多数。




■もう手遅れ? 今から妻の心を取り戻す方法

――連載1~2回で今までの自分の言動を振り返り、もう手遅れ? と絶望しているパパもいるかもしれません。

黒川伊保子さん(以下、黒川さん):もう言ってしまったという場合、解決方法は簡単。素直に謝ればいいんです。しかも、謝り方によっては、あなたの株が急上昇することも。

まず、みなさまご存じの通り、妻が怒っている最中には何を言ってもムダです。謝罪を挽回に使いたいなら、穏やかな時間を狙うべし。



例えば、親戚や友だちの出産の話を聞いたとき、ドラマで感動の出産シーンを見ているとき、こう妻に言いましょう。

「お産は男の想像を越える大変なものなんだね。○○(子どもの名前)のときは気づかなくて、君にはかわいそうなことをした。本当にごめんね」としみじみ頭を下げれば、妻の反応も違ってくるはずです。

――すてきです! でも、口下手な男性も多いですよね。メールやLINEを活用できる方法はありませんか?

黒川さん:例えば、出張の帰り道、新幹線から「富士山がきれい」と写メを送ってみる。新横浜で下りる人なら、小田原を通過したあたりで、「お土産買ったよ」とメールしてみる。

新幹線じゃなくても、「今日は出先から銀座線を使ってる。東銀座で初デートしたよね」などと、送ってみるのもいいでしょう。

ポイントは、何でもない日常の中で妻を思い出した、という点をアピールすること。

女性脳は、家事をしていても、仕事をしていても愛する人のことがふと頭に浮かぶものです。だから相手にも、仕事をしていても「家庭を思い出した」という気持ちを示してもらえるのがうれしいんですよ。

――なるほど。でも男性には理解しにくいかも…。

黒川さん:男性脳は、一歩外に出たら愛する人の顔なんぞ思い浮かべることはありません。第1回でご説明しましたが、男性脳は荒野で狩猟してきた脳ですから。いざ仕事モードに切り替わったら、目の前のマンモスに集中しないと踏みつぶされてしまいますからね。

――あと、いきなりそんなメールをしたら妻に「余計なメールやめてよ」「バカじゃないの」と言われるのでは? と心配するパパもいるかもしれません。

黒川さん:そんなことは気にしないでください。妻はそうやって罵倒しながらも夫に甘えているんです。

顕在意識で冷たい、きついことを言っても、潜在意識ではホロっとしたり、情を感じているもの。ちなみに人間の顕在意識なんて10%も使っていませんからね。

もっと注意すべきなのが、「余計なメールやめてよ」と言われても、言葉通りにやめたりしないこと。本当にやめてしまったら逆に、妻は「私たち最近、意思の疎通が取れてない…」と感じ始めますから。

――そういう心とは裏腹な妻の言葉も、男性には理解しづらいでしょうね。

黒川さん:例えば、妻の「もう一人にして!」というのは「一人にしないで」、「何でもない」は「怒ってる(泣いている)んだから、放っておかないで」、「みんな私が悪いんだよね」は「私、悪くないよね?」と、言葉とは逆の気持ちが隠されています。

女性のみなさんは、多かれ少なかれ心当たりがあるのではないでしょうか。

――あるあるワードですね。夫は覚えておくべし、ですね。





■「まるで水と油」の夫婦が多いのには理由があった

――エアコンの温度、食べ物の好み、子育ての価値観など、ことごとく意見が対立する夫婦も多いと聞きますが…。



黒川さん:動物のオス・メスは、自分にない強さを持つ相手にほれるようにプログラミングされています。フェロモンという匂い物質の種類が、免疫抗体の型の遺伝子と一致するといわれているのです。

つまり、動物は「自分が何に強いのか」を体臭で異性に知らせあっている。そうして、自分にない強さを持つ相手にほれるわけ。

寒さに弱い人は、寒さに強い相手に、寝つきの悪い人は、寝つきのいい相手に、おっとりな人は、せっかちな人に。そうすれば、子孫に豊かな遺伝子のバリエーションを残せるし、自分たちが生存する可能性も上げられますよね。

強くひかれ合った2人ほどこの傾向は高く、とっさに意見が分かれることに。それも、愛があるからこそです。対立した場合の切り抜け方を、よくある会話の例と模範解答でご紹介しましょう。

●外食時、夫がそばを食べたい、妻はパスタにしたい、ともめたら?

夫は「パスタなんて胃がもたれる」なんて言ってはダメ。

「君にどうしても食べさせたいそば屋があるんだよ。そこに付き合ってくれない?」と言えば、「あら、そうなの? いいわよ」となります。

●お受験問題。私立派の妻、公立派の夫で対立したら?

「経済的に厳しい」「俺は公立で十分だった」と言っても理解は得られません。

「君の言うこともわかる」と共感したうえで、「ただ、僕には思いがあるんだ。男の子は地元の友だちが必要なんだよ。放課後や夏休みになにかとつるんで、一緒に大人になる友だちがさ。

だから、地元の公立に行かせてあげたい。最近は公立もよくなってるらしいし一度、見学に行かないか?」と誘ってみましょう。

妻と夫の意見が対立した場合、夫は相手の弱点を突くところから始めがち。でも、それでは大抵うまくいきません。

まず「君の言いたいことは分かる」と共感したうえで、上記のように「こちらの利点をあなたにプレゼントしたい」という言い方をしてみてください。そうすれば、無駄な衝突は避けられ、夫婦円満な日々が訪れるでしょう。

これまで3回にわたって、脳研究者の黒川伊保子さんに、男女の脳の違いで生まれるコミュニケーションギャップとその対処法をうかがってきました。

今までパパにとって不可解だった妻の言動も「あ~、これはこういうことね!」とストンと落ちたのでは!?

我が身を振り返り「もう手遅れ」と感じたパパは、今すぐ黒川流夫婦円満術を実践すべし。いつでも挽回は可能です!


参考図書:
『妻のトリセツ』(講談社+α新書)


いつも不機嫌、理由もなく怒り出す、突然10年前のことを蒸し返す……。ベストセラー『夫婦脳』『恋愛脳』の脳学者が、理不尽な妻との上手な付き合い方を、「あるある」な事例と供に紹介した指南書。


(阿部桃子)

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