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アドバイスしたのにパワハラと言われた!? 折れやすく、被害者意識が強い人との付き合い方

  • 2019.2.28
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Women's Health

社会人になり、新人ではない年代に。あるいは、そろそろキャリアも中堅にさしかかった。そんな働く女子の中で、コミュニケーション悩んでいる人が急増中だという。特に世代間でコミュニケーションギャップが生じるという声を聞くけれど、この異なる感覚の差にはどう対処し、うまく付き合えばいいのもの? 原宿カウンセリングセンターの所長であり、臨床心理士の信田さよ子さんにその背景や対処法を伺った。

パワハラの感覚は「世代によって異なる、育てられ方」によって違う?

今の日本はハラスメントだらけ。職場でキャリアを重ねてくると、パワハラを受ける側から与える側になるリスクもあり、戸惑うことも多いという。後輩や部下に指導や注意をするときは、やる気を損なわないよう、パワハラと思われないよう、そればかり考えて接してしまい疲れてしまったという人も。

その中でも特に問題視されているのが、指導した側にそのつもりがないのに、新人や若い世代がハラスメントと受けとめてしまうケース。

信田さんは、「これには家庭と学校での育てられ方の、世代の違いが大きく影響している」と分析する。

過剰に対等な親子関係の育児は、被害者意識を生みやすい!?

「全ての親ではありませんが、『静かにしてください』『いっぱい食べてください』『ゆっくり歩いてくださいね』というように、今の育児では子どもに“お願い”することが多いようです。特にパパに見られる傾向で、一見穏やかで、子どもを対等な人間として扱っている、間違った育児をしていないように見えることもあります。

でも、その“お願い”が聞き入れられず、静かにしてもらえなかった場合は突然キレる。この落差に驚くこともあるほどです」

ここで考えたいのが、育児の過程で親と子どもは対等なのかということだと、信田さんはさらに指摘する。

「私は良い意味で対等ではないと考えています。子どもは親に保護されています。それは学校でも同じはずなのに、健全な上下関係をつくることに親も怯えてしまう。そのせいか、今は大人びた口調の子どもがとても多いように感じます。

この過剰に対等で、『何がやりたい? よくできたね』というコミュニケーションの中で育つと、社会に出たときに『これができていない』と言われると、カルチャーショックを受けてしまいます。それが被害者意識につながるため、『いじめられた』『陥れられた』『これはハラスメントだ』と思ってしまうのです」

折れやすいのは「否定的評価込みで生きられない」から

「本来、一般的に親は子どもより知識や経験があるのだから、『これをやりなさい』でいいはずです。それなのに過剰に一人前に、対等に扱ってしまう。“従う”という経験を持たないまま大人になってしまうから、その状況に直面したときに乗り越えることができなくなるのです。

叱られない……つまり、自分がやったことを否定されたり、精神論でいう“去勢体験”、ある種徹底的に押さえつけられたことがないから、大人になれずにずっと子どものままなのです。

褒められるだけの環境で育ってきたため、否定されるとそれをひっくり返せない。脆弱で、自分に対する否定的評価も込みで生きるという準備ができていません。その分、折れやすく、簡単にうつになってしまうこともあります」

「あきらめる」。これも上手な付き合い方のコツ

では、こうしたタイプや世代とうまく付き合っていくためにはどうすればいい?

「若い世代がみんなそうだ、というわけではありません。でも、こうしたタイプが身近にいて、褒められ思考であるならば、期待しないで付き合うことも一つの手段。『この人のために何かをしてあげよう』などと思わないことです。距離を保ち、あきらめることも時には必要。それは淋しいことかもしれませんが、自分も守らなければいけないのですから」

コミュニケーションにおける世代差は、どの時代もあったこと。でも今はツールも多様化。対面するだけだったのが、メールにSNS、LINE……と増える一方。ツールの使い方、言葉の使い方に過敏になって自分が疲れ、傷ついてしまうくらいなら、割り切りやあきらめも、コミュニケーションの新しいコツと考えるべきかも。

編集部註:本記事は明白にハラスメントのリスクがない場合を想定しています。

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