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助演女優賞は吉田羊「俳優として、ここでもう一度チャレンジをさせていただいた役でした」【ドラマアカデミー賞】

  • 2019.2.14
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受賞のトロフィーと共に
撮影=大石隼士

【写真を見る】受賞のインタビューに言葉を選びじっくりと答えてくれた吉田羊さん

2018年の冬クールに放送されたドラマを対象に開催した「週刊ザテレビジョン第99回ドラマアカデミー賞の受賞作が発表された。「中学聖日記」(TBS系)の原口律を演じた吉田羊が助演女優賞を受賞。バリキャリで帰国子女、マクロビアンでバイセクシャル、はっきりものをいうドSな女性だが、一方で“愛の人”“名言メーカー”とも言われ「吉田羊の十八番である、きついオンナの中に優しさが混ざって最高!」「できる女上司役やらせたら、ピカイチ」「声のトーンや喋り方もいいし、中山咲月とのシーンは新境地」「かっこ良かったです。いつもかっこいい吉田さんとまた違った雰囲気でした」と絶賛の声が。

そんな吉田に、原口を演じる上での軸となったこと、また末永聖演じる有村架純への思いなど話を聞いた。

――最初にこの原口さんを演じる際、吉田さんにとってキーワードになった言葉や軸になったものは何だったのでしょうか?

「原作を読んだときの自分のインスピレーションです。バリキャリで帰国子女、マクロビアンでバイセクシャル、そして処女(漫画の途中で明らかになるんですけど、それが本当かは分からない)、原作にはこれだけたくさんの設定がありました。正攻法で行けば、社内で声高らかに檄を飛ばし、退社後は部下を飲みに誘って合理的に悩みを解決する頼れる上司像といったところ。しかし、私が引っ掛かったのは『バイセクシャル』と『マクロビアン』という二つで、『この人は何かが違っていてそれこそが彼女の魅力』という気がしました。ですから、模範解答的な上司像ではなく、少し風変わりな、ミステリアスな人物に作りました。漫画では原口さんは多くを語りませんから、ミステリアスさはその寡黙さで表現し、風変わりは、あえて面白いことをやるのではなく、声を低くフラットに喋ることで、真面目にやればやるほど面白いという部分を狙いました。原口さんは正論や本音を言う役割でしたが、真っすぐな喋り方のお蔭で言葉がより真っすぐに皆さまに届いた、というラッキーもあったかもしれません。漫画は読んだ皆さんそれぞれのイメージがあるのですごく難しいのですが、自分がイメージした原口さんが皆さんの正解になったらいいな、こういう原口さんもいいなと思ってもらえたらと願いながら演じさせていただきました」

――原口さんがバイセクシャルなこともあり、放送序盤では、聖のことを狙っているのでは?という声もありました。

「聖ちゃんを狙っていたように見えたのは、あえてのミスリードです(笑)。前半に関しては見る方に戸惑ってほしくてあえて気があるように演じました。でも、私の役作りとしてはすでに勝太郎さんに気持ちがあったので、見ている方が想像してくださったんですね」

聖を狙っていたように見えたのは「あえてのミスリードです(笑)」と羊さん
(C)TBS

聖ちゃんの存在は別格で認めているような気もするんです

――第3話のタコパのシーンなどは、そう見えました(笑)。そんな原口さんですが、第7話で、川合勝太郎(町田啓太)が聖に対して苛立ちをあらわにした際「(聖のことを) 飛んでって抱きしめたくなる。そういう性分なのよ」と語ったシーンも印象的でした。原口さんにとって聖はどんな存在だったのでしょうか?

「不思議な子だったんですよね。演じる架純ちゃんに重なるところがあるというか。純粋で真っすぐで、そして不器用で放っておけなくなる存在というか。この子の人生を何とか軌道修正してあげなくちゃと思わされる子でした。監督は私と晶くん(岡田健史)を合わせ鏡だとおっしゃったんですけど、聖ちゃんともそうだったな、と思うところもあって。思いがありながら本当のことを言えなかったり、相手のことを思うからこそ、反対のことをしたり。どこか自分に似ているからこそ自分にはできないけど、この人には成就してほしい、という自分のかなえられない愛を彼女に託すことで自分も救われていく、そういう想いもあったような気がしますね」

――第9話で聖を心配する川合に嫉妬心を抱いているようなシーンもありましたが…

「後半で『あたしが嫉妬している』とありましたけど、それは『私に対してはこんなに真剣にならない』という川合に対する嫉妬、なのかな。聖ちゃんの存在は別格で認めているような気もするんです。聖という一つの生き物として彼女を大切に思っている。対女性同士としては見てなかったんじゃないかな、と私は思うんです。でなければ、あそこまで聖ちゃんに親身になれないし、もっとドロっとした何かを抱えてお芝居をしたら、あれだけはっきりとものを言う女性ですから、その根底に本当に相手を思う愛がなければ、あのキャラクターはギリギリのところで愛されないと思うんです。この人の中で聖ちゃんの存在は特別だったからこそ、それが見ている方にも伝わって、この人は聖ちゃんの味方だと思ってもらえたんじゃないかと思います。

ただ、私が架純ちゃんを大好きということがありますけど、演じる人の人柄が役ににじむので、聖ちゃんを通して架純ちゃんを感じていたのだと思います。だからこそ嫉妬できなかったというか、私は架純ちゃんの女優としての佇まい、存在そのものを尊敬しているので、その気持ちも役の感情に少なからず反映されていたんじゃないかと思います」

原口さんは多分一途ですよ

町田啓太演じる川合と原口さん
(C)TBS

――では、川合にひかれた理由は何だと思いますか?

「そこなんです(笑)。正直、緻密に描かれていないことが原口さんの恋愛感情を演じる上で一つ難しいところだったんです。それは6話でポンって3年後になっちゃうので2人がその3年をどう過ごしているのかという描写がもう少しあればもっと想像できたな、と思いました。聖を失った川合の性格も少なからず変わったろうし、それに対して原口さんがどう接し、どう思っていたのかの説明があったら助かったなぁと思いましたね。全12話にして(※放送は全11話)その1話は2人の3年後の日々の暮らしを見せたらどうですか?と提案しましたが、『話数が足りないんです』『なら仕方ない』と(笑)」

――確かに気になる3年ですよね。では、あらためて川合に引かれた理由は…

「彼女は確かにバイセクシャルで、肉食ですから、少なからず男性との付き合いもあったと思うんです。原作の『私は処女だよ』というセリフに引っ張られているかもしれませんけど、私は原口さんの初恋は川合だと思っているんです。彼女が人生で初めて出会ったタイプの男性だったんじゃないかと。『原口さんは原口さんだから』という川合のセリフに象徴されるように、ステータスだとか肩書きだとか、年齢とかそういうものに惑わされず、人となりを見ようとするところがきっと素敵に写ったんでしょう。初めて本気で惚れてしまった男だったからこそ、3年間彼を超える人がいなかったんじゃないかな。原口さんって実は多分一途ですよ」

衣装やメークもすてきな原口さん
(C)TBS

クールな“チビ律”になっていると思います

――そして、川合との子供を妊娠する原口さんですが、2人の結婚生活や子供の性別を妄想する読者もいらっしゃいます。ずばり性別はどちらでしょう。

「川合との子供の性別は女の子で、おそらく性格も含めて原口さんそっくりな女の子だと思います。声は低くて、ほとんど泣かなくて『お父さんうるさい』とか言っちゃう。川合はシンガポールで暮らしているのでたまに帰ってきて、「ただいま~。●●ちゃん」と両手を広げても『あ、来てたんだ』って言うクールな“チビ律”になっていると思います。夫婦になっても2人の関係は変わらないんじゃないですか? でも川合のいいところはめげないところなので、原口に袖にされても向かってくる平和な家庭だと思います(笑)」

――笑。平和そうです。話が少し逸れてしまったのですが、原口さんに関しては、数々の名言を残しており“名言メーカー”とも呼ばれネットニュースでも話題となっていました。吉田さん自身が印象に残っている原口さんのセリフはありますか?

「『恋愛は幸福を殺し、幸福は恋愛を殺す』(第1話)。私はこのセリフを読んで、あぁ、確かにと思ったんですけど、オンエアを見た私の姉が『そんなことはない』と。なぜなら姉は、初めてお付き合いをした方と長年付き合って結婚したんです。結婚してからも久しいですけど、大好きで結婚して、結婚してからも大好きなので、『恋愛と幸福は成立する』と、姉は言い切ったんです。そのエピソードも含めて印象に残っていますね」

――すごく素敵なお話です。昌を演じた岡田さんに関してもお聞きしたいのですが、本作でデビューした岡田さん。第1話から最終回までを見て吉田さんはどのように感じましたか?

「お芝居で絡んだのは2話分だったのかな。でも1話から彼のお芝居を見てきて、最終話で彼と対峙したときにこの3カ月で、あっという間にいい男になられたなと思いました。お芝居の純粋さを残しつつ、深みが増していたし。彼自身が持っているピュアさも変わらず一生懸命で。この3カ月でたくさんの人に出会い、吸収してすごくいい経験をしたんだなぁと思いました。初日の読み合わせで、『大変なことになるな、これから』と思った俳優さんですから。結果そうなりましたし、9月まで日本で誰一人知らなかったのに、放送が始まるとファンレターをもらったり、夢があるなぁと思いましたね(笑)」

――確かにありますね(笑)。では、最後に吉田さんにとってこの作品はどのような存在ですか?

「俳優として、ここでもう一度チャレンジをさせていただいた役でした。キャリアの役はこれまでもたくさんいただいてきたからこそ、どの役とも違って見えたいと思って役作りをしたので、結果こうして目に見える形で賞をいただいて結実させられたというのは、大きな意味があることだと思います。チャレンジして良かったなと思わせてくれる役でした。これからも同じ引き出しを開けるのではなく、もっともっと引き出しを作れるんじゃないかと思わせてくれました。選んで頂いた皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました」(ザテレビジョン)

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