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ケリングは18年度も絶好調 CEOはブランド買収に意欲

  • 2019.2.14
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ケリング(KERING)の2018年12月期決算は、売上高が前期比26.3%増の136億6520万ユーロ(約1兆6944億円)、営業利益は同47.2%増の37億2140万ユーロ(約4614億円)、純利益は同108.0%増の37億1490万ユーロ(約4606億円)で増収増益だった。これを受け、株主配当は同75.0%増の1株当たり10.5ユーロ(約1302円)に引き上げられる。なお、ラグジュアリーセクターのライバルであるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の売上高は同9.8%増の468億ユーロ(約5兆8032億円)で、ケリングが成長率で上回った格好だ。

地域別の売上高は、北米が同37.3%増、西欧が同23.0%増、日本を除くアジア太平洋地域が同34.1%増、日本は同23.7%増といずれの地域も好調だった。

ブランド別の売上高は、「グッチ(GUCCI)」が同33.3%増の82億8490万ユーロ(約1兆273億円)、「サンローラン(SAINT LAURENT)」が同16.1%増の17億4350万ユーロ(約2161億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が同5.7%減の11億910万ユーロ(約1375億円)だった。18年7月にダニエル・リー(Daniel Lee)新クリエイティブ・ディレクターを迎えたばかりの「ボッテガ・ヴェネタ」が苦戦した一方で、引き続き好調だった「グッチ」は世界的なラグジュアリーブランドとして確固たる地位を築いたと言えるだろう。

フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「売上高を1年間で28億ユーロ(約3472億円)も伸ばし、ラグジュアリーセクターの中でも比類のない成長率となるなど、18年も素晴らしい業績となった。今後も高い利益率を保った上で成長を続けるべく、各ブランドおよびグループ全体を強化している」と語った。一方で19年の見通しについては、「マクロ経済や地政学上の不確実性、各国の貿易政策の変化、そして為替の変動など、消費行動やツーリズムに影響を与えるさまざまな要因によって、経営環境は引き続き不透明だ」と慎重な姿勢も見せた。およそ14億ユーロ(約1736億円)の租税回避をしているとイタリア税務当局から指摘された件については、「申し立ての根拠および金額の両方において異議を唱える。適切な税務処理を行っていると自信を持っており、それを証明するために引き続きイタリア税務当局に全面的に協力する」と、以前発表した声明を繰り返すにとどめた。

第4四半期では、引き続き中国での強い需要により「グッチ」の売上高は前年同期比28.1%増となり、業界アナリストの予測を上回る結果となった。しかし、同ブランドが7期連続で35%以上という驚異的な成長率を見せてきたことを考えると、やや減速したことは間違いない。それを受けてか、ケリングは主要事業での買収を視野に入れている。ピノーCEOは、「成長のためというより、当社のポートフォリオを補完するブランドを買収したいと考えている。しかし最近よく目にするような、必要以上に高い買い物をするつもりはない。当社の主要部門はファッションとレザーグッズなので、そうしたブランドを探している」と述べたが、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」を買収するのではないかという憶測についてはコメントを避けた。なお、情報筋によれば「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」も買収候補として検討されている可能性があるという。また、ピノーCEOは「ウオッチブランドの買収も検討している」と発言しており、業界筋では「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」が候補に挙げられているとウワサになっている。

“黒人差別”だと指摘されて販売を取りやめた「グッチ」の目出し帽風のニットについては、「各ブランドはもちろん、全社的に多様性に関するトレーニングをさらにしっかりと実施する。多様性への理解については以前から取り組んでおり、当社にとって重要な事柄だが、それでも間違いが起きてしまった。心よりお詫びし、今後二度と起きないことを約束するが、それだけでは十分ではない。全力でいっそう真剣に取り組んでいく」とコメントした。

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