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離婚によって戸籍や氏名はどうなる?戸籍筆頭者・夫 or 妻・子供毎にご説明いたします

  • 2019.2.3
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結婚するときに氏名(名字)を変えた側は、離婚するときに旧姓に戻るか戻らないかを考えなければなりません。子供がいる場合には、子供の名字をどうするかにも悩むでしょう。

本記事のテーマは、離婚後の戸籍や名字についてです。基本的なルールを説明した後、最も一般的な「戸籍の筆頭者が夫であるケース(結婚するときに妻が名字を変えたケース)」について説明しますので、参考にしてください。

まずは婚姻中の戸籍と氏名の基本的なルールを押さえておこう

離婚後の戸籍や氏名について理解するためには、結婚したときの戸籍のルールを知っておく必要があります。結婚している夫婦の場合、戸籍はどうなっているのかをみてみましょう。

結婚すれば夫婦は同じ戸籍に入る

結婚するときには、夫婦の新しい戸籍が作られます。初婚であれば、結婚前はほとんどの場合親の戸籍に入っているでしょう。結婚すると、親の戸籍を出て、新しい戸籍に入ることになります。

結婚している夫婦は名字も同じ

戸籍では1人が筆頭者になります。同じ戸籍の人は、全員が筆頭者の姓(名字)を名乗らなければなりません

結婚して新しい戸籍を作るときには、夫か妻のどちらかが戸籍の筆頭者になります。夫が戸籍の筆頭者となった場合、妻は夫の名字に変更しなければなりません。逆に、妻が戸籍の筆頭者になれば、夫が妻の名字に変更します。

結婚している夫婦の子供は両親と同じ戸籍で同じ名字

結婚している夫婦に子供が生まれると、子供は両親と同じ戸籍に入ります。同じ戸籍に入っている人は同じ名字ですから、夫婦の間に生まれた子供は、当然に両親と同じ名字です。

離婚したら夫婦と子供の戸籍・氏名はどうなる?

夫婦は婚姻中同じ戸籍に入っていますが、離婚すれば戸籍が別になります。離婚後、筆頭者である側の戸籍と、筆頭者でない側の戸籍は、それぞれどのようになるのかを知っておきましょう。

離婚したら夫婦の戸籍は別になる

離婚後は、夫婦の戸籍は別になります。筆頭者はそのまま現在の戸籍に残りますが、筆頭者でない側は除籍され、現在の戸籍を出て行くことになります。離婚しても、筆頭者である側は、戸籍も名字も変わりません。一方、筆頭者でない側は、少なくとも戸籍は必ず変わることになります。

除籍された側は従前の戸籍に戻るか新しい戸籍を作るか決める

離婚するとき、除籍された側は、つぎのどちらかを選ぶ必要があります。

従前の戸籍に戻る

結婚する前の戸籍に戻るという選択肢があります。なお、親が既に亡くなっていて従前の戸籍が除籍となっている場合には、戻る戸籍がないので、新しい戸籍を作る必要があります。

新しい戸籍を作る

従前の戸籍が残っているかどうかにかかわらず、離婚後は新しい戸籍を作ることができます。新しい戸籍では自分が筆頭者になり、戸籍に入るのも当初は自分だけです。

離婚すれば原則として旧姓に戻る

結婚するときに名字を変えた側は、離婚すれば旧姓に戻るのが民法上の原則です。従前の戸籍に戻る場合でも、新しい戸籍を作る場合でも、原則的には旧姓に戻ります。

なお、離婚の日から3か月以内に届出(戸籍法77条の2の届出)を行った場合には、婚姻中の名字を継続して使用できることが例外的に認められています。これを「婚氏続称」と言います。婚氏続称の方が例外なので、そのための手続きが必要になります。

婚氏続称したいなら新しい戸籍を作る必要がある

婚氏続称を希望する場合には、離婚時に新しい戸籍を作る必要があります。親の戸籍に戻った場合、戸籍の筆頭者は親なので、自動的に旧姓になってしまうからです。

両親が離婚しても子供の戸籍はそのまま

夫婦の間に子供がいる場合、子供は親の離婚によって戸籍を移動することはなく、名字もそのままです。除籍になった側が親権者である場合でも、子供が親権者の戸籍に自動的に移動するわけではありません

なお、離婚後に家庭裁判所の許可(子の氏の変更許可)を受ければ、子供を除籍になった側の親の戸籍に入れることができます

戸籍筆頭者が夫の場合、戸籍と氏名はこうなる!

離婚後の戸籍と名字の基本的なルールについて説明しましたが、なかなかイメージしにくいかもしれません。そこで、一般的によくある「戸籍筆頭者が夫のケース(※妻が結婚するときに夫の名字になったケース)」にあてはめて考えてみます。

離婚後の妻の戸籍と名字は3パターン

戸籍筆頭者が夫の場合には、離婚と同時に妻は除籍になります。離婚後の妻の戸籍・名字は、次の3パターンです。妻は3つのうちのいずれかを選ぶことができます。

1. 親の戸籍に戻って旧姓を名乗る

親の戸籍に戻ることを選択すれば、自動的に旧姓になります。親の戸籍に戻る場合には、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄で、(妻は)「もとの戸籍に戻る」にチェックを入れ、結婚前の本籍を記載します。

2. 旧姓の新しい戸籍を作る

旧姓で新しい戸籍を作る場合には、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄で、(妻は)「新しい戸籍をつくる」という欄にチェックを入れ、新しい本籍を記載します。

3. 婚氏続称して新しい戸籍を作る

婚姻中の名字で新しい戸籍を作る場合には、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄には何も記入せず、「離婚の際に使用していた氏を称する届」を提出します。

離婚後の夫の戸籍と名字はそのまま

戸籍筆頭者が夫の場合、離婚しても夫の戸籍や名字は変わりません。夫の方は、戸籍に関して特に手続きすることはないということです。

離婚後の子供の戸籍と名字

離婚後何も手続きしなければ、子供は夫の戸籍に入ったままなので、子供の名字もそのままです。母親が親権者であっても、子供が自動的に妻(母親)の名字になるわけではありません。

妻が旧姓に戻った場合、親権者であっても子供と名字が違うことになります。子供を妻と同じ名字にしたい場合には、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を受けなければなりません

なお、子供を妻の戸籍に入れるには、妻が離婚後に新しい戸籍を作っておく必要があります。妻が親の戸籍に戻っている場合、3世代が同じ戸籍に入ることはできないので、子供を入れることはできません。

子の氏の変更許可とは

「子の氏の変更許可」は、子供の戸籍を変更する手続きです。子の氏の変更許可の手続きをすれば、子供の戸籍は変わりますが、子供の名字については必ずしも変わるわけではありません

離婚後妻が婚氏続称している場合には、何もしなくても子供の名字は妻(母親)と同じです。しかし、戸籍を移動させるには、子の氏の変更許可を受ける必要があります。

子の氏の変更ができるのは、通常は母親が親権者となっているケースです。親権者でない側への氏の変更は、認められない扱いになっています。母親が親権者でない場合には、先に父親から母親へ親権者を変更する手続きをした方がよいでしょう。

子の氏の変更許可の手続き方法

子の氏の変更許可の手続きを行う流れは、次のようになります。

1. 家庭裁判所に申し立て

子の氏の変更許可は、子供が15歳未満の場合には親権者が申し立てますが、子供が15歳以上の場合には子供自身が申し立てをする必要があります。申し立ては郵送でも可能です。

申し立ての際には、申立書、離婚後の戸籍謄本(夫と妻両方の分)、子供1人につき800円の収入印紙が必要です。郵送の場合には、返送用の切手も提出します。

2. 審判書をもらう

家庭裁判所の許可がおりれば、審判書を発行してもらえますので、これを受け取ります。

3. 役所で入籍届を出す

役所に行き、審判書を添付して入籍届を出します。

離婚の際の戸籍に関するまとめ

離婚をすると、一般に女性の側は戸籍や名字が変わります。離婚後に子供を引き取るなら、子供の戸籍や名字を変えるかどうかも検討しなければなりません。戸籍や名字をどうするかについては、何通りかの選択肢がありますので、あらかじめ考えておくようにしましょう。

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