W不倫中の私…彼の本当の気持ちがわかりません【ひとみしょうのお悩み解決】

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか？”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「蓮華さん 33歳」のお悩み〜

Grappsでいつも拝見させていただいております。 私はもうすぐ結婚して10年を迎える33歳の会社員です。子供も2人おります。 しかし、6年前から職場の元上司（49）とダブル不倫をしています。 主人と結婚する前から素敵だなと思っては居たものの相手は妻子有る身でしたので諦めていたのですが、私が異動になりなかなか会わないまましばらく経ち、偶然会議で一緒になった時に意気投合し、その後二人で夕食を食べに行った際に想いを伝えられ今の関係となりました。

しかし、一年前に主人の仕事の都合で他府県に引っ越すことになり、彼とは2、3ヶ月に一度会えるか会えないかぐらいの頻度でしか会えなくなりました。 なんだかんだで都合を合わせてデートをするのですが、最近はずっと会ってすぐにホテルへ行く様なデートに変わってきました。 彼はなかなか好きとは言ってくれない人なので、最近はもしかしたら体目的なのではないかと思ってしまう自分がいます。 彼は一体どう考えているのでしょうか？ ここでこの関係を終わらせた方が良いのでしょうか？ お忙しいとは思いますが、是非ご意見を頂戴できませんでしょうか？ 何卒宜しくお願いします。

追伸、お相手の元上司は奥様にはもう何の感情も持てなく、離婚を何回も切り出しているようなのですが、老後のことを考えて絶対に離婚はしないと言われているらしく酔った時によく愚痴をこぼして居られます。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

彼はなかなか好きと言わないものの、あなたのことが好きなのだと思います。「好き」と言葉にしないだけで、奥さんとうまくいっていない自分の人生の避難場所というか、唯一の安らげる場所としてのあなたに対し、ちゃんと感謝しているはずだし、好きなのだろうと思います。

あなたのことを不安にさせる彼も彼だけど・・・

女子ってよく「好きと言葉にして言ってくれないと、ホントに好きかどうかわからない」と言うけれど、男に好きと言葉にする習性はないんですよね。気の利く男というか、女性の気持ちを熟知している男は、言葉にして「好き」と言います。が、そういう男は少数です。多くの男はあなたの彼と同じで、好きと言わないですよ。でも彼はあなたのことが好きだし、あなたがそばにいてくれることに感謝しています。

がしかし、好きと言わないものだから、あなたが「彼はわたしのカラダ目当てなの？」と不安に思うことになります。

これもありがちな男女の誤解で、僕はいつも思うんだけど、じゃあ、「好き好き」と言いながら、内心「こいつのカラダだけが目当てだから、適当な時期に別れればいいや」と思っている男に抱かれて、女子はうれしいのかな？

もっとも、そういう男と長く付き合って、男に、他にヤレる女子ができたらポイ捨てされるみたいにして騙される女子だっていますよね。そういう女子は、騙されたとわかる直前までは嬉しいのかな？

「カラダだけが目当て」なんて、男には無理

あなたの彼の場合は、あなたのカラダ「も」目当てなのでしょう。カラダも目当てというか、あなたの心とカラダがセットになって、彼を癒している（彼に生きている心地を与えている）と見るべきではないかと思います。

SEXが絡むと、このへんのニュアンスが女子には伝わりづらいのだろうと思うのだけれど、男って、カラダだけが目当てで女子と付き合うことって、あまりないんですよね。

カラダだけが目当てなら、男はたとえば風俗に行くわけだけど、その風俗においてすら、男は風俗嬢に気持ちが入るんですよ。つまり、カラダだけと割り切ってエッチすることに抵抗感があるんですよね。

うまく言えないんですが、きっと100％割り切ってエッチできるのって、女子の特権だろうと思います。女子は、たとえば風俗嬢って、100％割り切ってエッチしてたりするでしょ？でも男は100％割り切れる人がすごく少ないですよ。ホントに悪い遊び人くらいじゃないのかな。ホストは……割り切れないで失敗する心優しいホストって、たくさんいるからね。

彼の心の中

奥さんと離婚したいけど、奥さんが離婚してくれない男って、僕は何人か知っていますが、離婚したいのに離婚できない男の気持ちって、簡単に言うと絶望に支配されています。

男女問題はさておき、大局的に見ると、男は離婚することで新しい世界に行きたいと思っています。単純化して言うなら、人生をやり直したいと思っています。とても切実に。新しい世界に自分の身を置いて、新しい人生を始めたいと思っています。その新しい世界で仕事を頑張り、奥さんが慰謝料と言うのなら、しっかり仕事をしてお金を稼ぎ、毎月奥さんに慰謝料を支払いたいと思っています。

でも、奥さんの意向などがあって、彼は新しい世界に行くことができません。彼はきっと、自分の人生に不満なはずです。この彼の不満は、奥さんとの関係によるものだから、自分だけの意思で解決することができません。彼は不満や不甲斐なさ、生きがいのなさに絶望しています。

そういう彼にとって、あなたは救いの女神みたいな存在になっているはずです。

死に至る病

W不倫が良いとは言わないけれど、でもW不倫を良くないとするのなら、前にも後ろにも進むことのできない彼の絶望をどう解釈すべきか、僕は答えを持ち併せていません。

日本の世間って、倫理がすごくうるさいので、不倫は良くないとすぐ言いますよね。たしかに良いか悪いかといえば、倫理的に見ると良くないのでしょう。

でも、他方に、あなたの彼のように、現状のままだと絶望しつつ生きるしかない人がいるわけですよ。その絶望を無視して、倫理だけを振りかざして、不倫は良くないという人の気持ちが、僕は理解できないのです。

なぜなら、絶望は日々心を蝕み、最悪、死に至る病だからです。

というのが、彼の側に立った、僕の見方です。

あなたのこと

さて、あなたのこと。23歳で結婚して、27歳で不倫を始めて、現在33歳ですね。20代の頃に比べ、それなりに人生観やSEX観が変化していると思います。その変化に耳を澄ましてみてはいかがでしょうか。

不倫相手の彼と別れても、彼はほかの女性とうまくやりつつ、どうにか生きていくはずです。「男は女なら誰でもいいと思っている」のではなく、男って、彼女と別れてもそれなりにうまくやって生きて「いかざるを得ない」生き物だから。

彼のことはさておき、あなたは、あなたの変化した人生観＆SEX観を――引いてはあなたとあなたの旦那さんの関係を俯瞰する時期に差し掛かっているのではないかと、直感的に感じました。

（ひとみしょう／作家）