パワハラ告発、企業の闇…『七つの会議』香川照之と及川光博が語る、池井戸作品の醍醐味

『七つの会議』で共演した香川照之と及川光博
KADOKAWA

【写真を見る】野村萬斎と香川照之がにらみ合う名シーン

直木賞作家・池井戸潤の同名小説を、野村萬斎主演で映画化した『七つの会議』(2月1日公開)に、香川照之と及川光博が出演。本作のメガホンをとった福澤克雄監督による連続ドラマ「半沢直樹」での共演も記憶に新しい2人に、池井戸作品や福澤組の魅力について語ってもらった。

中堅メーカー・東京建電で営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)は、ある日営業成績トップの営業一課長・坂戸(片岡愛之助)から怠惰ぶりを叱責される。その後、八角は坂戸をパワハラで訴えるが、そこから知られざる社内の裏事情が明かされていく。

本作で香川は社内の絶対権力者である営業部長・北川誠役を、及川は彼の部下で“万年二番手”だったが、坂戸の異動後に営業一課長に抜擢される原島万二役を演じた。

福澤監督といえば、「半沢直樹」をはじめ「ルーズヴェルト・ゲーム」、「下町ロケット」シリーズ、「陸王」などの池井戸ドラマや、東野圭吾原作の映画『祈りの幕が下りる時』(18)など骨太の社会派ドラマの演出で知られる。

福澤組ならではの緊張感とライブ感

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[c]2019映画「七つの会議」製作委員

福澤組を何度も経験してきた2人だが、なかでも香川は毎回熱量が高くアクの強いキャラクターで主人公を激しく揺さぶってきた。「今回もおそらくスパイス的な役割を要求されるのだろうと予想しつつも、福澤監督のことだからまた違う基軸を入れてくるに違いないとも思いました」という香川の発言からも、福澤組への期待値の高さがうかがえる。

及川も福澤組の常連俳優だが「僕が演じた原島は、探偵的な要素がある一方で、巻き込まれ型のキャラクター。最初にオファーをいただいた時、スケジュール的に厳しい状況だったのですが、台本を読んだらおもしろすぎて。これは、無理してでも出たいと思いました」と脚本段階ですでにうなったという。

冒頭での緊張感あふれる営業会議のシーンでは、香川の絶対君主的な存在感に圧倒されたという及川。「常にありあまるインテリジェンスで役を構築される香川さんですが、今回は最初のシーンでいきなり飲み込まれ、食べられちゃうんじゃないかと思いました(苦笑)」。

ほぼ順撮りで進んだという本作で、クランクイン当日に撮影されたのが同シーンだ。香川も「最初からフル回転でいき、1ラウンドで倒していく、という意気込みで入りました」と気合十分に臨んだよう。「北川が営業部員みんなを叱責するシーンで『この人が偉くて一番怖い』と見せられるから、本作の骨子を見せるのにわかりやすいと思いました。実はあとで、その上にいるもっと恐ろしい親玉が出てくるんですが」。

まさに鬼上司・北川が部下の原島に向き合う画は、ヘビににらまれたカエルそのものだ。叱責された原島の口から出る言い訳も、北川が途中で遮ってしまう。香川は「及川さんと(坂戸役の)愛之助さんの台詞をどれだけつぶせるか考えました」といたずらっぽい表情を見せる。「自分自身の台詞でさえ、前倒しにしゃべってつぶしていましたから。福澤組はそういうライブ感が必要だと思っているので」。

及川も「テストの時から全然しゃべらせてもらえませんでした」と苦笑いながら「リアリティーというか、こちらの動揺や焦りがリアルなぶん、芝居以上の緊迫感が生まれて役としては良かったです。また、香川さんのアドリブは台詞の延長線上にある的確なものだから、それに反応するのが楽しかったです」。

野村萬斎が初のぐうたらサラリーマン役

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[c]2019映画「七つの会議」製作委員

主演の野村萬斎は狂言界の至宝だが、初のサラリーマン、しかも最低限のノルマしか果たさないぐうたら社員役という点も新鮮だ。香川によると萬斎が「福澤組を含め、現代劇ではキャリアがないことを気にされていました」とのことで、感情表現のさじ加減が手探り状態だった時に、同じ役者の立場から萬斎に寄り添うこともあったよう。

「萬斎さんは狂言でもともとすごい熱量や声量を出される方だから、それをどこまで抑えるべきなのか?と悩まれていました。だから、福澤組を何度も経験している僕としては『出していいと思います。時代劇のような感じでいきましょう』という方向性を、失礼ながら申し上げました。とはいえ、佇まいがしっかりされているから、たとえ出しすぎても絶対に崩れない。ただ、ぐうたらな役だったので難しかったと思います」。

及川も萬斎について「どこまでフランクに接すればいいのか」と戸惑ったそうだ。「萬斎さん自身がまとっているオーラがやはりミステリアスで、まさに“結界”みたいなものが張られている感じでした。八角も謎めいた役で、原島はずっと彼の存在が気になっているという設定だったので、そこはシンクロするところがありました。でも、撮影が進むにつれてだんだん気さくに話しかけてくれるようになり、最後の打ち上げでは“萬ちゃん”と呼んでいました(笑)」。

『七つの会議』は2月1日(金)より全国公開
[c]2019映画「七つの会議」製作委員

映像化されたドラマや映画も評価が高い池井戸作品。2人は映像化された作品ならではの醍醐味をどう捉えているのか。及川は「一番大きな違いは、俳優が演じているという点でしょうか。香川さんもそうですが、表情の迫力ってあると思います。香川さんの表情はまさに芸術の域で、人間の表情筋ってなんて細かく動くのだろう!と驚きます。そこは活字よりもダイレクトに視覚に訴えるパワーではないかと」と言ったあと、香川に「表情筋体操とかしてますか?」とおちゃめに尋ねる。

香川は「してない、してない」と笑ったあとで「池井戸さんの小説は、池井戸さん自身が実体験として持っている会社の暗部、あるいはそうに違いないと感じている組織のダークな部分が感じ取れることだと思います」と、まずは池井戸小説の魅力についての持論を述べた。

さらに「映像化作品では、そのダークさそのものを見るのではなく、主役のキャラクターに投影されたものを観ることになる。そこが映像化された時の福澤監督の力かなと。『半沢直樹』なら、銀行の暗部を、(主演の)堺雅人自体が持っている反骨心のようなものに全部反映されるんです。この映画でも、萬斎さんのシニカルな感じのなかに、東京建電という会社の暗部が全部投影されています。会社の抽象性を登場人物に具象化するところが巧い」と分析。

及川が「すばらしいコメント力。だから人間が演じるという意味と意義がちゃんと表れているということですよね」と感心すると、香川は「いや、ミッチーの言っていることを聞いて、こういうことなんだろうなと思いました」とうなずいた。

原作の世界観を見事に体現した“俳優力”に注目し、実力派スターたちの演技合戦を隅々まで堪能していただきたい。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

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