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オペラ座第3ステージ、モーツァルトで踊るヒップホップ。

  • 2019.1.28
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パリ・オペラ座のThe Third Stage。1875年にできたパリ・ガルニエ、今年30周年を祝うパリ・バスチーユにつぐ3つ目の舞台は、オペラ座のサイトの中のバーチャル・ステージである。見られるのはフィクション、ドキュメンタリー、アートビデオの3種。1月16日にアップされた12分の『Grand Hotel Barbès(グラン・オテル・バルベス)』が、とても楽しい。監督はパリ生まれのチュニジア人であるラムジー・ベン・スリマンだ。

音楽とダンスが織りなす映像なので、フランス語の知識は不要。photo:Opéra national de Paris

タイトルにバルベスとあるように、舞台はパリ18区のラ・グット・ドール地区。アフリカやアラブ系の移民が多く暮らしている。この短編主人公は安ホテルの代金も支払えない若者ユリス。所持金はたったの1ユーロ80サンチームだ。その彼がダンスのヒップホップのバトルで勝って、とりあえず宿代は払える!という単純なストーリーなのだけれど、クラシック音楽とストリート・ダンスの意外なコンビネーションがこの短編の鍵!

主人公のユリスを演じるのはロレンツォ・ダ・シルヴァ。photo:Opéra national de Paris

タイトルに使われているのは実在のホテルの名前。Maison Château Reugeのブティックがあるミラ通りからも近い場所にある。photo:Opéra national de Paris

ダンスに使われているのはモーツァルトで、ひとつは映画『アマデウス』の冒頭に使われる交響曲第25番 ト短調 K.183 第1楽章、そしてもうひとつはアンジュラン・プレルジョカージュの『Le Parc』で最後の解放パ・ド・ドゥに使われるピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488 第2楽章。モーツァルトの作品の中でも一般的に知られた2曲だ。作品中、ロレンツォ・ダ・シルヴァ演じるユリスと対決するのはブレイクダンサーの Bボーイ・リルー、Bガール・ミンズィである。彼らのパフォーマンスに驚かされるものの、ユリスがクラシックダンスのように優雅に即興ダンスを踊りだすや、その詩情あふれるダンスに見入ってしまうのはバトルの観戦者たちだけでなく、第3ステージの鑑賞者も同じことだ。

『Le Parc』でおなじみのモーツァルトのピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488 第2楽章にのせロレンツォが踊りだすのは彼自身の創作だ。photo:Opéra national de Paris

『Grand Hotel Barbès』www.operadeparis.fr/3e-scene/grand-hotel-barbes

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