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「シャネル」の春夏はルチア・ピカの日本と韓国への旅が着想源 現代女性のためのメイクとは

  • 2019.1.23
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「シャネル(CHANEL)」は1月4日にスプリング サマーコレクションを発売し、6月1日にクルーズコレクションが登場する。どちらもルチア・ピカ(Lucia Pica)「シャネル」グローバル クリエイティブ メークアップ&カラー デザイナーの日本と韓国への旅がインスピレーション源になっている。その発表会が東京で行われ、彼女が来日して自らコレクションについて語った。

WWD:コレクションについて教えてください。

ルチア・ピカ=グローバル クリエイティブ メークアップ&カラー デザイナー(以下、ピカ):東京とソウルに3日間ずつ旅したときに見た光景に刺激を受けて誕生したコレクションだ。“Vision D’Asie(アジアのビジョン)”と名付け、イタリア人の私がとらえるアジアを意味する。例えば築地市場で見た魚だったり、街中で見かけたビニール袋だったり、空だったり、日常的な光景のカラーやテクスチャー、光などをアイテムに落とし込んだ。繊細なディテールや細部へのこだわり、さらにわび・さびは日本の素晴らしい文化。そういった細かなディテールに美しさを見出す日本の文化は、日常の何気ないシーンに美を見出す私のビジョンともマッチすることを発見した。東京やソウルの光景をひたすら写真に収め、それがインスピレーション源になった。

WWD:その光景をどう製品に落とし込んだのか。

ピカ:撮影した写真をパリにあるスタジオに持ち帰り、写真に写っている色やテクスチャー、光を感じ取ってそこからアイデアを練っていった。感覚でアイデアが生まれるというとてもスポンテニアスなプロセスだ。重要なのは色はもちろん、テクスチャーだと思う。テクスチャーが最終的な仕上がりを決めるもの。色を通してイメージやメッセージを伝えたい場合、テクスチャーはそれを手助けする。

WWD:なぜソウルと東京の両方を着想源にしたのか?

ピカ:同じアジアの都市でビビッドなカラーを持っていることは一緒だが、東京はより繊細で、ソウルはエネルギッシュでパワフルな印象を受けた。あえて、この相反するコンセプトをミックスしたら面白いと思った。

WWD:それぞれのコレクションのスターアイテムは?

ピカ:スプリング サマー コレクションに新製品として登場するバーム「ボーム エサンシエル」はとても気に入っている。人工的な艶ではなく、まるで内側から輝くような健康的な艶が演出できる。指で、またはブラシでエフォートレスに使えるスティック状の形状にもこだわった。製品作りにおいては、仕上がりの美しさだけでなく、使いやすさも重視している。私自身、メイクを毎日する一人の女性として、現代女性の気持ちを分かっているし、求めているものに常にアンテナを張っている。塗ったときの心地良さにもこだわり、まるでスキンケアとメイクを融合したかのようなテクスチャーをかなえた。健康的な素肌を目指す現代女性にとっては、一日に何回もタッチアップをするとき、塗り心地も、塗った後の気分も良くなることが重要だと思う。東京とソウルの街並みに差す光がコンセプトのクルーズコレクションの中では、目元に濡れたような艶を与えるアイグロス「オンブル プルミエール グロス」がユニーク。光が当たるたびに眩く光るゴールドと繊細なラメが美しいシルバーの2色で展開する。

鉄則は現代女性のために作るメイクアップ

WWD:製品作りへのこだわりは?

ピカ:一番大事なのは、現代女性の生き方を理解すること。そして自分も一人の女性として共感すること。最近インターネットでメイクのチュートリアル動画が人気だが、その多くはすてきだけど、非現実的なルックがほとんど。一般的な女性はそういったフルメイクより、手軽に、かつ効率よくメイクアップをしながらも美しい仕上がりを求めている。そういうことを常に頭に入れながら製品作りに力を入れている。メイクは女性にパワーと自信を与えるもの。だから仕上がりだけでなく、つけている過程も楽しんでほしい。そういう意味でも、使ったときの心地よさを追求している。女性は軽やかな質感でエフォートレスでありつつも、上品で洗練された仕上がりを追求しているはず。また、私の鉄則として、メイクで自分の素の美しさが隠れてしまうのはタブー。インディビジュアリティー(個性)や自分だけのスタイルを強く持つことが大事。

WWD:ルチアさんにとってメイクアップとは?

ピカ:メイクアップは私の人生の一部になっている。毎日を生きている中で小さなことから大きなことまで、あらゆることがクリエイティビティーのインスピレーション源になっている。常に頭の中にはメイクアップがあり、メイクアップのために生きている、と言ってもいいかもしれない。

WWD:「シャネル」のメイクアップのトップに就任して約4年がたった。どのようにブランドとともに成長してきたか?

ピカ:最初契約書にサインしたときは緊張、不安、楽しみといろいろな感情が混ざり、さらにアイコニックなメゾンのトップに就任することへのプレッシャーを感じた。しかしいざ入社すると社員みんなが温かく、大きなファミリーのように感じた。「シャネル」は深く長い歴史を持つメゾン。その分製品づくりの経験と知識を多く蓄えているし、クリエイティビティーにおいてはいろいろと挑戦や、実験ができて、私にとっては最高の環境だ。今後の私のミッションは、メゾンの歴史を尊重しつつ、美しいメイクアップをあらゆる人に提供し続けること。年齢やバックグラウンドにかかわらず、現代女性のためのメイクアップを手掛け続けたい。

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