三上博史が登場人物全員“ワル”の作品で14年ぶり映画主演「みんな必死なクズでしたね」

「LOVE HOTELに於ける情事とPLANの涯て」で14年ぶりの映画主演を務める三上博史にインタビュー
スタイリスト=上山浩征(semoh)/ヘア&メーク=白石義人(ima.)

【写真を見る】宅間孝行監督の印象について三上は「複雑な魅力のある人」と語った

三上博史の14年ぶりとなる映画主演作「LOVE HOTELに於ける情事とPLANの涯て」が1月18日(金)に公開される。

監督はタクフェス主宰で、俳優・脚本・演出を手掛ける宅間孝行。ラブホテルの一室を舞台にしたワンシチュエーションで、舞台のような長回しで撮影。主演の三上のほか、酒井若菜、波岡一喜、三浦萌、阿部力が強烈なキャラクターを演じ、登場人物全員が“弱みを握られ”かつ“弱みを握っている”という状況で、さまざまな思惑を絡ませながらシーソーゲームを展開していく。

今回は、主人公・間宮を演じる三上にインタビュー。宅間監督の印象や、長回し撮影のために行われた稽古の様子などを語ってもらった。

――今作は14年ぶりの映画主演作ということですが、出演はどんないきさつで決まったのでしょうか。

いつも台本をいただいて、読ませていただいて、「さあ、どうしようか」と考えるんです。いろんな構成の台本があるんですけど、僕、伏線フェチなんですよ。伏線がいっぱい張りめぐらされているものって、役者からしたらものすごく魅力的で。そういう意味では伏線満載の話だから、まず「やりたい!」って思いました。キャラクターも、これまで意外と端正な役が多かったので、ちょっとやんちゃな役をやってみたかったっていうのもありました。

でも、「ちょっと待てよ」と。「これどうやって撮るの?」「このワンシチュエーションのストーリーで、僕が持ってきたカメラで撮るってどういうこと? ワンカット?」って思ったんですけど、ワンカットじゃ成立しないよなと思って。それで、じゃあ宅間監督に会ってみようと思って、会わせてもらいました。

そうしたら、技術的にカットを変えられるところは変えるけれど、基本的にはワンカットだと思ってくださいという話で。でも、「その代わり、事前に稽古を2週間ほどするので、そこでいろいろ話し合いましょう」ということだったので、「乗った!」とやることにしました。

とはいえ、こういう設定って共倒れするかもしれないというか、役者も腹を括ってないと、作品として成立しないような企画なんですよね。監督も役者のことを信じていないとできないだろうし。そういう意味では、「この人、こんなに役者を信じちゃっていいのかな」って思っていたんですけど、宅間さんは役者としても活動していらっしゃるし、ご自身の劇団を持っていらっしゃったりもするので、やっぱり信用してくれているんだなって思いました。

ご自身が役者であるから役者のこともよく分かってるし、それをどうやって魅力的に見せるかっていうところも分かっていて。それはやっぱり“野放し”にすることだろうと感じていたので、「これはもう腹括ってやるしかないぞ」っていう気持ちで臨みました。

[PAGE]

【写真を見る】宅間孝行監督の印象について三上は「複雑な魅力のある人」と語った
スタイリスト=上山浩征(semoh)/ヘア&メーク=白石義人(ima.)

――最初に宅間さんとお会いしたときに、撮り方以外にお話したことってありますか?

あんまり大した話はしなかった気がする。雑談ですよね。お互いに「どんな人なんだろう」と探ってる感じでした。“肌感”というか直感というか、人となりを見ちゃうんですよね、僕(笑)。話していても話で探っているというよりも、直感で見ちゃうところがあるので。

――その直感で、宅間さんにどんな印象を持ちましたか?

不思議な人でしたね。何かこう、“レイヤー”がこんなにある人ってちょっと珍しいぞと思いました。どのレイヤーを主体にしている人なんだろうってことがちょっと分かりにくい、複雑な魅力のある人ですね。それは波岡君にも感じたことなんですけど。単純に言ってしまうと、すごく下卑たところと知的なところがレイヤーになっている。

――先日、宅間監督がラジオ番組で、三上さんのことを「すごく真面目で、自分と似ている」とお話ししていましたが、似てると思いますか?

面白いね! そういう発言が出るとは思えないくらい、(宅間監督は)おおらかというか、不思議だよね。僕はどっちかというか神経質っぽいでしょ?

――稽古期間の2週間、特に重点を置いていたことはありますか?

撮影の手法上(※)、僕がカメラを持って入ってきて、それをポンッと置くわけですね。(※作品は間宮が持ち込んだバッグの中に入っている隠しカメラの視点で展開される)

それでもう画角が決まっちゃって、あとはピント送りもサイズ変更もできない。そうすると、だいたい90~120度くらいの間に画角が限定されて、映る・映らないの境界線ができるわけですよ。その境界線に最初はテープを貼ったりして、“芝居はこの線の中ですること”って約束事を作って、その中でやってくわけですよ。

でも、例えばカメラの近くから奥のベッドに行って芝居をするとき、間にソファが障害物としてあったら、直線的に行くのは変じゃないですか。だから、そういうときには外側を回って、敢えて画角の外を使いながら芝居を成立させるとか。

あとは、このせりふのときはバストアップにして、このせりふのときはフルショットにしてというのも、自分がカメラに寄ることで変わってきたり、「ケチャップはここに置いてください」とか、「ここでケチャップを印象付けてください」とか、そういうさじ加減を稽古中にどんどん入れていきました。

それをせりふと擦り合わせて、成立させていく。せりふを覚えるだけでも大変だったんですけど、そんなことを毎日やっていましたね。

――事前に作品を拝見したんですが、やっぱりカメラから遠いところで演技をしなければいけないのが、通常のドラマや映画と大きく違うところだなと思いました。

後半、僕が命乞いをするシーンがあるんですけど、他の人たちより奥での芝居になっちゃうんですよね。そうなったときに、やっぱり大きく見せなきゃいけない。少々さじ加減を増やして、でもリアルに見えるように。あとはもう自分が本気で命乞いをするんだっていうことですよね。本気を込めるということです。

[PAGE]

間宮役について「本当にクズをやろうと思ったんですよ」と三上
スタイリスト=上山浩征(semoh)/ヘア&メーク=白石義人(ima.)

――本作はセットを倉庫内に建てて撮影したと伺いました。ドラマのセットって、部屋だったとしても壁が外れて、そこから撮ったりすると思うんですけど、今回はやはり四方を壁に囲まれた状態で撮影を行ったんですか?

そうです。だから、実際のラブホテルでも撮れるんですよね。でも、「できるねー」と言ってそう簡単にできるかと言ったらそういう話でもなくて。

例えば、今回は音声さんが一番苦労をしていて、というのも、ワンカットだからガンマイクを入れられないんですよね。「じゃあピンマイクを付ければいいじゃん」って思うんだけど、服を脱ぎ着するから、それもダメ。

そうなったらもういろんなところに仕込むしかないんですよ。それをミックスして。だから、サウンドデザインがものすごく大変だったと思います。そういう見えない苦労が各パートにあって成立したんだと思いますけどね。

――最初に「技術的にカットを変えられるところは変えるけど」とお話しされていましたが、実際、この映画は何本の映像でできているんでしょうか。

全部で何カットかは分からないんですけど、僕の分かる範囲で言うと、40数分のカットが2つ入っています。もうこれは狂気の沙汰ですよね(笑)。一瞬気を許すと見ている人が興ざめするっていう世界なので、僕らは突っ走るしかないんですよね。隙を与えないように。ちょっと休んじゃったら、それも全部映ってますからね。

――今作の登場人物は全員“悪いやつ”ですが、間宮を演じる上で意識したことはありますか?

最初、台本を読んだときには、本当にクズをやろうと思ったんですよ。で、どうやったらクズになるのかなって思って…「自分のままをやればいいんじゃん」って思ったんだけど、僕のクズさ加減とはちょっと違うし(笑)。

僕はあんまり完成した作品って見ない方なんですけど、今回は見ておかなきゃと思って何とか顔を背けながら見たんです。そのときの第一印象は「あー、やっぱりクズになってないわ」と思って、自分でガッカリしたんですね。

でも、自己弁護するわけじゃないけど、「それもそれでアリだな」って思ったんですよ。外側が腐ってることと内側が腐ってることはちょっと違って、「中は結構ちゃんと腐ってるんじゃないの?」って思ったんですよね(笑)。佇まいみたいなものはクズになっていないんだけど、「性根は腐ってるんじゃね?」みたいなところはアリかなと思って。

結構外側が腐ってるやつって、中は腐ってなかったりしますからね。だから、「意外とアリなのかもよ?」って思った。自分に甘い!(笑)。

――他の役者さんで、そういうクズの芝居がうまいなって思った人はいますか?

こう言われると「やっぱクズの話なのかな?」って思うんですよね。みんな“一途にクズ”じゃないですか。「そういうのをクズって呼ぶのかな?」って思ったり、「クズの定義って何?」って思ったりして。そういう意味ではみんな必死なクズでしたね。「そこまで全うしたら立派だよ!」みたいな(笑)。波岡君も酒井さんも魅力的だったし、2人と一緒にやれて本当に幸せでしたね。

僕、稽古の直前まで連ドラを撮っていて、いつもは1つ作品が終わったらインターバルを空けてから次の仕事にしていたんですけど、今回に関しては次の日から稽古をしなきゃいけないっていう状況で、せりふも入れられなかったんですよ。

だから、「ごめん、せりふまだ入ってないから台本持ちながら稽古でいい?」って言って台本を持ちながら稽古をしていたんですけど、そうしたら波岡君が「三上さん、最後にはどうせ帳尻合わせてくるんでしょ? 僕知ってますから」って(笑)。で、本番が終わったら「ほらね、やっぱり」って。

[PAGE]

今作出演について「僕ら役者の立場からしてみると、こんなチャンスは滅多にないんです」とコメント
スタイリスト=上山浩征(semoh)/ヘア&メーク=白石義人(ima.)

――信頼感のある言葉ですけど、受け取り方を変えるとプレッシャーですね(笑)。では最後に、ラストまで気の抜けない作品だと思うんですけど、特にここに注目してほしいというところを教えてください。

僕ら役者の立場からしてみると、こんなチャンスは滅多にないんです。こんなに野放しにやらせてもらって、こんなに勝負させてもらえる。失敗したら“ダメ”って烙印を押されちゃうから、リスクと表裏一体ではあるんですけど。でも、こんなにやらせてもらえることってないんですよね。

その僕ら役者の醍醐味というものを、きっと好きな観客の方はいると思うんですよ。そういう醍醐味を感じて楽しんでもらえたら、本当にうれしいなって思います。出来損ないの部分もあるんですけど、逆にそれは長回しだからこその“本当”でもあるので、それを1人でも多くの人に楽しんでもらえたらいいなと思ってます。

――繰り返し見ても楽しめる作品ですよね。

そうそう! 試写を見たスタッフの中にも「2回目が一番面白かった」って人もいるし。「だからああいう芝居してるのね」とか。そういう見方もあると思うので、映画館じゃなくてレンタルでも(笑)、2回目を見ようって思ってもらえたらいいですね。(ザテレビジョン)

元記事を読む
提供元: ザテレビジョンの記事一覧はこちら
サービス統合のお知らせ
Yahoo! BEAUTYをご利用の皆さまへ
より良いサービスをご提供するため、Yahoo! BEAUTYは2018年6月20日(水)を
もちまして、姉妹サービスであるTRILLへ統合いたしました。
新しくなったTRILLをぜひお楽しみください!
01
女性必見の最新トレンドニュースを
毎日お届け!
あなたらしさを応援する、
オトナの女性におくる情報アプリ
  • 「App Store」ボタンを押すと iTunes(外部サイト)が起動します。
  • アプリケーションは iPhone、iPad または Android でご利用いただけます。
  • Apple、Apple のロゴ、App Store、iPod のロゴ、iTunes は、米国および他国の Apple Inc. の登録商標です。
  • iPhone は Apple Inc. の商標です。
  • iPhone 商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
  • Copyright (C) 2017 Apple Inc. All rights reserved.
  • Android、Android ロゴ、Google Play、Google Play ロゴは、Google Inc. の商標または登録商標です。
02
あとで見たい時も大丈夫!
お気に入り機能で賢く整理