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結婚してもうまくいくカップルとは?【ひとみしょうの恋愛論もどき】

  • 2019.1.16
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結婚してもうまくいくカップルとはどんなカップル?というのが、ネットにたくさん載っています。相手を尊敬・尊重するカップルとか、ほどよい性生活があるカップルとか、干渉しすぎない、感謝すること、思いやり、など、ちょっとネットを見ただけでもこれだけのことが確認できます。

がしかし、こういうのって、ある程度の倫理観というか常識が通用する範囲において、という但し書きがついてまわることじゃないかなあ。ホントの夫婦の危機を知らない人が書いたんじゃないのかなあ。

夫婦の本当の危機的状況とは?

ホントの夫婦の危機って、たとえば生きている心地がしない状況だったりします。たとえば、さほど広くない家で夫婦喧嘩した時、夫も生きている心地がしなければ、妻も生きている心地がしない。

夫は夫で、喧嘩の最中に自分が言ったことの正当性を信じ込みつつ、妻を泣かせてしまった罪悪感にさいなまれます。がしかし、泣いている妻をどうすることもできない。だから余計、自分に腹が立つ。かといって壁を蹴るわけにもいかない(穴が開いてしまった壁の後処理の面倒くささくらいは計算できる冷静さをまだ持っている)。

妻は妻で、怒り狂う旦那に対して「怖い」なんて言って泣き続けていて、旦那が妻の肩を抱き寄せようものなら、さらに「怖い」と言って泣く。もうどうすることもできないのが、夫婦の危機ですよ。そのような時に、倫理とかある程度の常識があることを前提としたハウツーなんて通用すると思いますか?思わないですよね。

あそぼー

このような本当の危機が訪れる前に、どうにか手を打つことで、夫婦生活がうまくいくようにもっていく――一般的にはこうするはずです。

では、本当の危機が訪れる前に、どうすべきなのか?

ひとつは、夫婦で遊ぶことじゃないかなと思います。夫婦生活って、なにかと忙しいけど遊ぶ。夫も妻も残業があったり、残業して帰宅したら洗濯をしたり夕飯を作ったり、お風呂の掃除をしたり、なにかと忙しいのはわかっているけれど、でも夫婦で遊ぶ時間を持つこと。

平日に遊べないのなら、休日にふたりで遊ぶこと。

遊ぶというのは、ふたりで無目的なことを無心になってやることを言います。「**のために」という目的のない行為を心の底から楽しむことを遊びと呼びます。

それは例えば、夫婦そろってお酒が好きなのであれば、近所の居酒屋にでも行って、翌日の心配抜きに心ゆくまでお酒を飲む、でもいいんです。ふたりでカラダを動かすことが好きなのであれば、翌日の筋肉痛など気にせず、汗を流すことです。

人って、そんなに単純な生き物じゃないはずなんですよね

相手に対して思いやりを持つとか、感謝の気持ちをちゃんと伝えるなどのことを心がけることでうまくいくのなら、それに越したことはないと思います。結婚前からそう心がけて、結婚してからもその心がけを大切に暮らすとそれでよろしい。

でも人って、そんなに単純な生き物じゃないはずなんですよね。たとえば「感謝しましょう」という、いわばタテマエだけで結婚生活がうまくいくなら、日本の離婚率なんてもっと低く止まっていますって。そう思わないですか?

今の時代の良くないところって、カップルにおける大切なことに、とかく「意識」を持ち込んで説教を垂れるところです。「意識すれば」感謝できるよね、「意識すれば」相手に対してつねに思いやりの気持ちを持てるよね――こういう考えのもとで夫婦円満の秘訣を述べる人が多すぎるんですよね。夫婦の危機って「意識」していても訪れるにもかかわらず。

感覚優位な夫婦円満のコツ

だから、無意識的なこと、つまり言語化できないこと、つまり感覚優位な「夫婦円満のコツ」を知っておいたほうがいいんですよ。意識、つまり言葉にし尽せることをいくら意識しても、人の意志ってそんなに強いものじゃないから、無理な時は無理なんですよね。

感覚優位な夫婦円満のコツ、それが、夫婦で遊ぶことです。

そういえば、みなさん、最近、遊んでますか?無心になって遊びましたか?

わたしたちは毎日忙しいから、つい「**のため」という目的を伴ったことばかりしていますよね。そういう生活を、意識優位の生活と呼びます。

結婚してもうまくいくカップルとは?

極端に言えば、たとえば、不妊治療のしんどさに耐えれない夫婦っていて、そういう夫婦は、意志が弱いから耐えられないわけではないんですよね。生活のすべてが妊娠の「ため」になっているから、どこかでお互いに息が詰まって、その必然として爆発してしまうんですよね。

不妊治療をしていない夫婦だって、似たようなものです。生活のため、貯金のため、子どもため……すべての「**のため」は、それが行き過ぎると家庭不和の原因になります。どんなに立派な精神の持ち主であっても、人は意思の世界だけでは生きられないからです。どこかに感覚的行為(たとえば遊ぶこと)を織り交ぜてあげないと息が詰まるように、人の身体はできているのですよ。

結婚してもうまくいくカップルとは、ほどよく遊んでいるカップルです。

(ひとみしょう/作家)

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