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ドリアン助川が選書。人との付き合い方に悩める人へ贈る3冊。【読書家に聞く、悩み別本のカルテ】

  • 2018.12.27
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ドリアン助川が選書。人との付き合い方に悩める人へ贈る3冊。【読書家に聞く、悩み別本のカルテ】
2018.12.27 10:00
「國分功一郎が選書。自分と向き合いたいあなたへ贈る3冊。」に続き、今回はドリアン助川さんによる、家族や友人etc.、周りの人との付き合い方に悩むあなたへぴったりの本を3冊選書していただきました。

家事育児etc.、夫婦の在り方に迷える人へ。

Q. 最近二人目が生まれたのに預け先が見つからず、せめて夫に家事育児に協力してほしいのですが手伝いません。どうすればいいでしょう?

A. パリで出会ったすてきなおじさんたち、といってもきらびやかではなく、移民のクスクス屋さんや、ホロコーストの生き残りなど、むしろ味わい深い濃厚な人生のオンパレード。女性からすてきと思われたい男性なら、すぐ手が伸びるでしょう。夫婦で読んで互いが思うすてきさについて語り合ってみては? そのときこそ一撃のチャンス。「家事も手伝ってくれず、妻の窮地に気がつかない夫なんて、まったくすてきじゃないよね」。心ある男性ならかなりの衝撃になるはず。

敏感な思春期の子どもとの向き合い方。

Q. 子どもが思春期に差し掛かり、何を考えているのかわかりません。下手に話しかけると機嫌を損ねます。どう接すればいい?

A. 虐待を受けて大けがをし、目も見えない黒猫の子どもを預かることになった夫婦の記録。ハンデのある子猫を迎え入れる人間の側が試されます。子どもが成長していくなかで親と距離を取り、不可解な存在になっていくのはごく自然なことです。会話も減っていくでしょう。しかしそこに猫や犬がいれば、お互いの間に新しい関わり方が生まれてくるかも。実際に飼うのは無理だとしても、この本をお子さんにプレゼントしてみては?

つい余計なことまで話し過ぎてしまう方へ。

Q. 沈黙に耐えきれずについ余計なことまで話し過ぎてしまいます。くだらないことを話してしまったな、と後悔する癖を直したい。

A. 哲学の領域から歌を詠む九螺ささらさん。「なぜだろう三十二日梨だけを食べているのに梨にならない」などの短歌とエッセイは「余計なこと」だらけなのに、この人は宇宙を相手に生きていると感じさせ、読む者にある種の幸福感さえ与えてくれます。社会人としての常識的会話からはずれると余計なことと取られがちですが、そこにこそ話し手の本領が発揮されるのでは? 後悔などせずにどんどん余計なことを話してくださいね。

ドリアン助川さん

作家、詩人、歌手。放送作家を経て90年に結成した「叫ぶ詩人の会」では「言葉の復権」をテーマに森羅万象をロックにのせて叫ぶパフォーマンスで話題に。ラジオ深夜放送パーソナリティとしても人気を博す。『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』(文春文庫)、『線量計と奥の細道』(幻戯書房)、『あん』(ポプラ文庫)(河瀨直美によって映画化された)など著書多数。

Text: Yoshiko Yamamoto Cutout Photo: Daigo Nagao Editor: Mihoko Iida, Airi Nakano, Anna Togashi

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