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スタイリスト辻直子さんのセオリー。【明るい色】を着こなすのに大事なこととは?

  • 2018.12.26
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いつにも増して明るく、色鮮やかなアイテムのそろう今季。ベーシックカラーにシンプルにきかせるのもいいけれど、スタイリスト辻直子さん流の取り入れ方はもっと自由。一見難しそうにも見える色×色やグラデーションなど、辻さんならではのきれい色コーディネートのセオリーを聞きました。

青みピンクを、白と黒というミニマムなモノクロームの世界に落とし込む

真っ白なコートを肩に羽織り、ボトムは黒のコンサバティブな細身パンツ。一見、クールなたたずまいの彼女にチャーミングな魅力を加えているのは鮮やかなピンクのタートルニット。

「今季よく見かけるピンクですが、この青み系のピンクは、レトロな方向に持っていきたくて。白と黒というミニマムなモノクロームの世界にピンクを落とし込み、こっくりしたイエローのバッグでアクセントを添えます」。ヘアはタイトにはせず、風になびくような自由さを。’60年代のファーストレディ、ジャクリーン・ケネディのような、知的で自立した女性像が広がります。

ニット¥53000/ブラミンク コート(2月入荷予定)¥49000/エンフォルド パンツ¥26000/ロペ エターナル アトレ恵比寿西館店(ロペ エターナル) リング¥72000/ステディ スタディ(トムウッド) バッグ¥42000/ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店(ペリーコ)

ブルーのグラデーションで、トラッドスタイルに今のムードを添えて

タートルニットとワイドパンツのようなマニッシュでトラッドな着こなしは、自分のなかでずっと好きなスタンダード。ただ、そのままだと古くさく見えてしまうこともあるので、そんなときは配色で鮮度を上げて。

今回選んでみたのははっきりとしたスカイブルーのニット。一見トラッドとは離れたモダンさを加えることで定番のスタイルも新鮮味を帯びてきます。さらに淡いアイスブルーのコートでグラデーションをつければトーンがやわらいで、鮮やかな色も着こなしやすく。ブライトカラーを取り入れるときは、コントラストをつけすぎない、というのも私なりのこだわりです。

ブルーのグラデーションを受け止めるのはキャメルブラウンのコーデュロイパンツ。「黒だと堅くなりすぎてしまうのが、ブラウンだとちょうどいい。今の気分で鮮やか色をつないでくれる、新しいスタンダードカラーといえます」。

コート¥120000/ロペ エターナル アトレ恵比寿西館店(ロペ エターナル) ニット¥16000/スタニングルアー 青山店(スタニングルアー) パンツ¥28000/イエナ ラ ブークル 帽子¥7800/ロペ マドモアゼル(ラ メゾン ド リリス) グローブ¥9000/ユナイテッドアローズ 原宿本店(ジョンストンズ) 靴¥95000/ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店(ミシェル ヴィヴィアン)

イエローの持つスポーティなマインドを意識。ボアのコートで都会的に

イエローはさまざまな方向に解釈ができる色だと思いますが、このベーシックなクルーネックニットを手にして思い浮かんだのが、トレンドでもあるスポーティなスタイル。黒のスニーカーやレギンスパンツと合わせた、ストリート感のあるカジュアルでイエローをアクティブに楽しんで。ただ、黒とイエローの組み合わせは、それだけだとちょっと強すぎる面もあるので、ボリューミーなベージュのボアコートをクッション役に。ほんのりリュクス感のある、都会的なカジュアルに持っていきます。

ここでもやはり茶系であるベージュがブライトカラーを受け止める大切な存在に。「コートはダブルフェイスではなく、ボアという素材を選んだのも、スポーツテイストを盛り上げるポイントです」。

ニット¥82000/ブラミンク コート¥40000/RHC ロンハーマン(コールドブレーカー) レギンス¥9200/ノーブル コレド日本橋店(ノーブル) ピアス¥42000・ネックレス¥37000/ステディ スタディ(トムウッド) 靴¥77000/ピエール アルディ 東京(ピエール アルディ) ソックス/スタイリスト私物

ロイヤルブルーとネイビーをブラウンでまとめ、エレガントに

「ロイヤルブルーのとろみ素材のワイドパンツを、エレガントに仕上げたくて。ネイビーニットとのグラデーションにしてから、ブラウンのファーコートをまとめ役に」。

パンツ¥16000・コート¥35000/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店(ユナイテッドアローズ) ニット¥29000/セオリー 帽子¥12000/ユナイテッドアローズ 原宿本店(キジマ タカユキ)バッグ¥10000/ロペ マドモアゼル 靴¥132000/ピエール アルディ 東京(ピエール アルディ)

パステルグリーンにイエローを少量さして、'60年代風に

「このパステルグリーンもレトロさを感じる色だから、ビッグショールのキャメルコートやブーツで’60年代風に。明るいイエローを少量さすことで、グリーンの鮮やかさが一層引き立ちます」。

ワンピース¥30000(ロペ エターナル)・グローブ¥21000(アニエル)/ロペ エターナル アトレ恵比寿西館店 コート¥59000/スタニングルアー 青山店 ソックス¥2500/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 靴¥35000/RHC ロンハーマン(マリサ レイ)

ピンクのグラデーションで、大人っぽい深みを出して

「今季多く見かけるピンクをグラデーションに。単色使いよりも着こなしに深みが出て大人っぽく」。コート¥46000/ジャーナル スタンダード レサージュ青山店(ジャーナル スタンダード レサージュ)

ニット¥39000/エイチ ビューティ&ユース(サヤカデイヴィス) スカート¥18000/ノーブル コレド日本橋店(ノーブル) バッグ¥32000/セオリー ソックス¥1800/ロペ 靴¥69000/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)

ベーシックカラーでは出せないテンションをつくれるブライトカラーを味方に

皆さんは鮮やかな色の服をどんなふうに着こなしていますか? シンプルな定番色の服に一点だけきかせるのは簡単だし、もちろんアリなんですが、それだけで終わりにするのはもったいない。たとえば鮮やかな色同士を組み合わせたり、濃淡のグラデーションにしてみたり。脇役としてではなく、もっと大胆に楽しんでもいいのに、と思うんです。

私がブライトカラーの服を手にしたときにまず、頭に浮かぶのはモダン、コンサバティブ、クラシカル……などその色に対する形容詞。コーディネートを考えるときもその色をどう着たら面白いか、わき上がってくるイメージや、色が持つムードを大切にしています。たとえばピンクだったらレトロ、イエローならスポーティというように、色が持つ個性を引き出すようにほかのアイテムの素材やデザインを合わせていく。「鮮やかな色」とひとくくりにせず、一つ一つの色のキャラクターを考えることで、色の取り入れ方のバリエーションが広がります。

幼いころ、服を選んでいるときに父からひと言、「本当に色が好きなんだな」と言われたことがあるんです。今でも、洋服だけじゃなくて、旅先や身のまわりにあふれる色を見つけると「こんなふうに着てみたい」とつい考えてしまいます。色を見るだけ
で、想像力が働くんです。

大人になるにつれて、鮮やかな色を着ることに抵抗を感じる人も多いと聞きますが、ブライトカラーは、ベーシックカラーでは出せないテンションをつくれる大切な要素。もう一歩踏み込んだ色の着こなし方、きかせ方を知って、バイラ世代こそブライトカラーを味方につけてほしいと思っています。


●つじ なおこ
コンサバティブをベースとした鮮やかな色使いのコーディネートで人気のスタイリスト。最近はロペでコラボしたツイードジャケットを私服でも愛用。素敵な着こなしはインスタグラム(@naoko.ts)でぜひ、チェックして。

撮影/藤田一浩(人)、さとうしんすけ(物) ヘア/Dai Michishita メイク/早坂香須子〈W〉 スタイリスト/辻 直子 モデル/大屋夏南 ※BAILA2019年1月号掲載

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