1. トップ
  2. おでかけ
  3. 不穏な時代をミニチュアで示す、トーマス・ドイルの個展。

不穏な時代をミニチュアで示す、トーマス・ドイルの個展。

  • 2018.11.30
  • 1196 views

年に4回、エッジィなアーティストを世界中から招いて個展を行う「DIESEL ART GALLERY」(ディーゼル アート ギャラリー、東京・渋谷)。現在、ニューヨークに在住するトーマス・ドイルの個展『HOLD YOUR FIRE』が開催されている。

高さ2メートルにも及ぶ『Mire』(2013年)の部分。©Thomas Doyle

展覧会では、ミニチュア彫刻作品と本人制作・撮影のミニチュアフィギュアの写真を通して、ドイルの幅広い芸術活動にスポットライトを当てる。1/100~1/43スケールで制作されたミニチュアは、ハリケーンのような自然の惨事にさらされた人、あるいは日常に潜む危険を象徴的に表している。

創作のベースにあるのは、、不穏な時代の「疑いようのない不安感」だ。戦争、自然災害、難民危機、環境汚染など、常に大惨事と隣り合わせで暮らしているように感じられる現代。ドイルは、尽きない惨事が呼び起こす「心許なさ」を細やかで親密な彫刻で表現し、同時に「家」「家庭」「安定」への普遍的な願いを描いている。

ミニチュアというと、実際の風景をジオラマのような写真に仕立てる本城直季、身の回りものを日常風景に見立てる田中達也を思い起こす方もいるかもしれない。彼らとはまたベクトルの違う、繊細な表現をぜひ体感してほしい。

トーマス・ドイル(Thomas Doyle)は1976年生まれ、アメリカ・ミシガン州出身。画家、版画家としての経験と、幼少期から魅了され続けている縮尺模型を織り交ぜて創作を行う。www.thomasdoyle.net

元記事で読む
の記事をもっとみる