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恋したくなる映画~ロマンチックな夜に女子力を高める恋愛シネマ5選【夏目かをるの最強女になる!vol.31】

  • 2018.11.24
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人生は一種のギャンブルかもしれませんね。誰から生まれ、誰と一緒に育ち、さらに出会った人によって、人生が決まるのですから。

出会いは人を大きく変えることを、私たちは恋愛シネマでたっぷりと堪能できます。90分から120分という短い時間に、恋のような気分を味わい、恋したような深い感動を覚えると、自分の人生も新しい彩りを帯びていきますね。

そんな贅沢な時をもたらす恋愛シネマから、5つの作品を紹介します。

恋する惑星(1994年)

香港の無法地帯・九龍の雑居ビル「重慶大厦」と飲食店「ミッドナイト・エキスプレス」の2つを舞台に、2組の男女の恋愛模様を斬新な映像とポップなタッチで描くおしゃれな恋愛映画です。

金城武が演じる刑事は、ついていない夜に、謎の金髪女性と出会います。女は実は麻薬密売人。愛してはいけない相手を好きになった刑事役の金城武がひたすら走るシーンに、胸キュン!状況が恵まれない時、恋はさらに切なくなることを、若きカネシロが熱演します。

もう一人の刑事は、今やエロスを感じさせるナンバーワン中国人俳優のトニー・レオン。レオン演じる刑事を好きになるのは、飲食店で働く女(フェイ・ウォン)。

人は好きな人の部屋や暮らしを想像しがちですが、なんと、飲食店の女は、こっそりと刑事の部屋に侵入し、さらに自分の“足跡”を残していくのです。しかも自分好みにしようと、部屋の模様替えまでしちゃう。スリリングな彼女の行動に、わくわく、ドキドキ。やがて刑事が帰宅すると、逃げ遅れてしまった彼女は彼につかまってしまい、そして……

トニー・レオンのまるで子犬のような瞳に、キュンキュン!

結末までハプニングの連続でセリフもまるでハリウッド映画か、片岡義男の恋愛小説のよう。

「恋とは自分のエゴである」というテーマをあくまでも「おしゃれ!」に描く香港ニューウェーブ、ウォン・カーウァイ監督)の傑作恋愛映画です。

ホリディ(2006年)

キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジャック・ブラックと、豪華ハリウッドスターがずらり!

スターが多い映画はスターそのものに依存しがちですが、「恋愛とは隠された相手の影の部分も受け入れること」というテーマのロマンティック・コメディです。

ヒロインの一人アイリス(ケイト・ウィンスレット)はロンドン郊外に住む新聞記者。いまだに元カレへの未練が捨てきれない、ちょっと不甲斐ない女性。

もう一人のヒロイン、アマンダ(キャメロン・ディアス)は、ビバリーヒルズ在住の会社社長。こちらもイケメン彼氏の浮気が発覚して別れたばかりの、とほほな状況。

そんな二人が、ネット上で知り合い、「ホームエクスチェンジ」を行うことに。

「ホームエクスチェンジ」とは、家はもちろん、車など持ち物を丸ごと交換してしまうこと。欧米では馴染み深い旅行の形態、ホームエクスチェンジですが、日本ではまだまだ馴染みが薄いですね。

しかも映画では、互いの人間関係の一部まで引き受けることになるので、二人とも新しいオトコと、恋らしきものが始まる……とちょっとワクワクな展開。

予想通り、アイリス(ケイト・ウィンスレット)はビバリーヒルズの豪邸と高級車、さらに自分の仕事につながりそうな人脈と、元カレとは真逆な優しい彼氏(ジャック・ブラック)までゲットしてしまう。

一方アマンダ(キャメロン・ディアス)も、田舎の素朴な家と、元カレに代表される裕福で浮気っぽい男とは全く異なる誠実な男性(ジュード・ロウ)と出会い、人生の転機を迎えることに!でもハッピー、ハッピーと歓喜な気分でジ・エンドとならないところが、この作品の魅力。

二人のヒロインは心の中に紆余曲折を抱え、また新しい男二人も隠された影の部分があります。でもそれもひっくるめて、互いを受け入れ、適度な距離感を保つという、人間関係に不可欠な極意まで描いています。30代の大人の大人の映画といっていでしょう。

大人になりきれないと悩む女性にも必見の映画です。

ピアノ・レッスン(1994年)

恋をすると、人は魂に等しいものまで葬り去って、愛のために生きようとする強さが生まれます。愛によってもたらされた強靭さを、ピアノの美しい音色と、ニュージーランドの自然の豊かさ、そして全体をおおう静謐な気品。他に類を見ない、圧倒される映画が「ピアノ・レッスン」なのです。

物語は19世紀半ば。スコットランドから、ニュージーランドの入植者に嫁ぐために、愛娘と一台のピアノを連れてきたエルダ(ゴリー・ハンター)。ところが夫はピアノが重すぎるからと言って海辺に捨ててしまいます。口をきけないエルダにとって、ピアノは自分の分身のようなもの。悲嘆に暮れていると、夫が追い打ちをかけるおうに、友人で原住民のマオリ族に同化しているベインズ(ハーヴェイ・カイテル)に、ピアノと彼の土地を交換させてしまったのです。

ベインズはエイダに、ピアノをレッスンしてくれれば返すと申し出たので、エルダはそれに応じます。やがてベインズはレッスンをするエルダの美しさとエロスに魅了され、二人は秘密のレッスンをすることに。嫉妬した夫がレッスンを禁じますが、惹かれあっている二人に、夫のさらなる仕打ちが待っていて……

ニュージーランド出身の女流監督ジェーン・カンピオンを一躍有名にした傑作映画。理屈ではかはりしれない深い愛の物語です。

シャンドライの恋(2000年)

「ラストタンゴインパリ」で男女のエロスの醜悪と輝きを同時に描いて、センセーショナルを起こしたイタリアの巨匠、ベルトランド・ベルトリッチの純愛映画。別の表現をするなら、音楽映画といってもいいでしょう。

シャンドライ(サンディ・ニュートン)はアフリカ生まれの医学生。政治活動をしていた夫が逮捕されてからイタリアに渡り、音楽家キンスキー(デイヴィッド・シューリス)の掃除係として住みこみで働き、医大に通っています。言葉は交わしていませんが、キンスキーはシャンドライの働きぶりに好意を抱いてプロポーズ。その時シャンドライは思わず「獄中にいる夫を出して!」と訴えてしまうのです。

それから、キンスキーの邸宅にある美しい調度品が次々と消えていき、やがてシャンドライのもとに夫の無事を知らせる手紙が届きます。一方、屋敷の中はグランドピアノだけが残るだけ。

キンスキーはそのピアノを囲んでささやかな音楽会を開いて、自作の曲を披露。でもそのグランドピアノも売却されてしまうのです。夫が釈放されたのは、キンスキーが屋敷中に会った全てのものを売った資金のおかげだとわかります。

そしてシャンドライは、夫との再会の前日、ある行動に出たのでした……

シャンドライに恋するキンスキー、そしてキンスキーの献身的で純粋な愛情に次第に包まれていくシャンドライの心の動きを、ピアノの音色が繊細に奏でていくのです。

花様年華(かようねんか)(2000年)

とにかく、マギー・チャンのチャイナドレスが美しい!揺れる女心の移ろいを、チャイナドレスで表現するというアイデアの斬新さ。しかも既婚者同士の大人の恋を描く静謐なタッチは、「恋する惑星」と全く別物。さすがは映像作家・ウォン・カーウァイ監督です。

物語は同じ日に同じアパートに越して来た2組の夫婦が、挨拶するシーンから始まります。

やがて、それぞれの配偶者が仕事で留守がちなため、チャウ(トニー・レオン)と、チャン夫人(マギー・チャン)はそれぞれ一人で孤独を抱えていきます。

ある日チャンは妻が不倫していて、その相手がチャン夫人の夫だということを知ります。裏切られたチャウとチャン夫人は互いの傷を舐め合うように一緒に過ごすようになり、やがて二人は禁断の恋に落ちていくのですが……

ラストシーンの解釈を巡って今でも議論されている、これぞまさに大人の恋愛映画なのです。

(夏目かをる)

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