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【医師監修】おさえられない食欲「イライラせずにやせるには?」【やせにくいママのための「脳科学ダイエット」ってなに? 第2回】

  • 2018.11.19
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出産を終え、体調も整ってくると「そろそろダイエットでも始めようかな」と思うママも多いことでしょう。でも、小さな子どもとの生活はやることがいっぱい。気持ちも体もついていかず、ダイエットどころではない現実に直面する人もいますよね。

それに、なぜだか異常な食欲がわいてきて後悔するほど食べてしまい「どうして食べちゃったんだろう」と落ち込んでしまうことも…。わきでる食欲は、どうやったらとめることができるのでしょう?

第1回に引き続き、長年、脳科学研究に携わり『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』(主婦の友社)を出版された医師・久賀谷先生に、脳科学ダイエットから見る「おさえられない食欲との付き合い方」についてお話をうかがいました。




お話をうかがったのは…

医師/医学博士
久賀谷 亮 先生

イェール大学医学部精神神経科出身。アメリカ神経精神医学会認定医。日本で臨床及び精神薬理、イェール大学で先端脳科学研究に携わる。その後、臨床医として精神医療の現場に従事。2010年、ロサンゼルスで「TransHope Medical」を開業。マインドフルネス認知療法、TMS磁気治療をとりいれた診療を行っている。



■「食欲がとまらない!」どうしてこんなに食べてしまうの?

――息子が小さいころ、子育ての合間に「ご褒美」と称してコンビニのちょっと高いスイーツを食べるのが大好きでした。それだけですめばいいんですが、夜ごはんのあとにもチョコレートをつまんでしまったり…。食べ過ぎと分かっていても「食べたい!」欲望と向き合うにはどうしたらいいのでしょうか?

久賀谷亮先生(以下、久賀谷先生):食欲がおさえられないことを脳科学的に見ていくと、習慣と依存という2つの要素が関係しています。甘いものを食べると満足感がありませんか?

――すごくあります!

久賀谷先生:脳はその満足感を覚えるんですね。そして習慣にしてしまう。

食欲というのは快楽なんですね。甘いものやごはんなど糖質をとると、ドーパミンという快楽物質のようなものが出て脳が刺激されてしまう。脳は無条件にその刺激を欲してしまうんです。そういうメカニズムができているんですね。結果、そこから抜け出せなくなってしまう。


習慣と依存という2つの車輪が、我々の「食べたい」をおさえられなくしている。これは、全部脳からきているんですね。

――食欲がおさえられない、というのは脳からきている。ということは「どうして我慢ができないんだろう」なんて自分を責めなくてもいいということでしょうか?

久賀谷先生:そうですね。食欲をおさえられないのは、脳のなかの自然な反応です。

――なるほど…。食欲がおさえられないというのは当たり前なことなんですね。

■子育て期に直面する「食欲ムラムラ」どうやり過ごす?

――子育て中だと授乳中は手持ちぶさたでお菓子に手がのびたり、子どもが残した食事ももったいないからつい食べてしまいます…。家に子どもと2人きりだと、楽しみが食に向かってしまいがちですよね。

食欲がおさえられないときというのは、さまざまなシチュエーションがあるかと思いますが、わきあがる食欲とはどう向き合っていけば良いのでしょうか?


久賀谷先生:私がすすめているマインドフル・ダイエットは、基本的に「なにかひとつのことに集中する」ことに焦点をおいています。それと同時に、食べたい欲求はおさえつけずに「乗りこなす」という方法があります。

――食欲を乗りこなす…? 食欲はおさえて、我慢しなければならないものではないのですか?

久賀谷先生:おっしゃるとおり、食欲があると人間はおさえようとしますし、戦ってしまうものですよね。けれど欲求をおさえようと我慢することは、脳科学から見て、かえって火に油をそそいでいるのと同じことなんです。

食べたい衝動、これを我々はクレーヴィングと呼びますが、これを波に例えてみましょう。波と戦おうとすると、正面衝突することになりますよね。波と衝突すると、どうなるでしょうか。

――真正面からぶつかったら…飲み込まれてさらわれそうです。

久賀谷先生:そう、撃沈しますね。食欲をおさえようとすると悲惨な結果を招くことになる。では、どうしたらいいのか。そんなときは波に乗るようにするんです。

もちろん、最初は失敗するかもしれないし、うまく乗れないかもしれません。でも、だんだんうまく乗れるようになる。ぶつかることなく、落ちることなく波に乗って岸に行けるようになる。そのころには衝動はおさまっているんです。

――食欲を波に例えて「乗りこなす」。これができるようになれば、食欲をおさえる必要はなくなるんですか?

久賀谷先生:そうですね。この方法は「RAIN」と呼ばれていて、具体的に説明すると、次の4つの段階をふみます。

1.Recognize:食べたい欲に気づくこと。
2.Accept:食べたい欲を受け入れること(食欲とは戦わない)。
3.Investigate:そのときの体の感覚を見つけること(クレーヴィング)。
4.Note:見つけた体の感覚を書きとめたり言葉にすること(フレーズもしくはネーミング)。

フレーズにすると、体の感覚という実態の見えないものが分かりやすくなるんです。それ以外にも感じた感覚をなにかに書いたり、言葉に出したりするのもいいですね。人それぞれやりやすい方法でやってみてください。

――RAINですか…。「食べたい!」と思ったら、食べたい欲があることに気づく。そして受け入れる…。体の感覚ってどんなものなんでしょう。今度やってみたいです。

久賀谷先生:正直、いきなり完璧にやろうと思うと難しいかもしれません。私もRAINを言葉で説明して、いろいろな方と一緒にやってみるんですが、すぐにはできない方が多いですね。だから何度か練習を重ねていきましょう。

――食べたい! と思ったら「お、食欲の波が押し寄せてきたな~」と心のなかで思うだけでも違うかもしれませんね。そのあとで「うん、今日はいろいろ頑張ったもんね。食べたくもなるよ」と受け入れる…とやっていくとコツがつかめてくるかもしれないですね。





■食欲コントロール「自分にやさしくする」がダイエットにつながる?

――子育て中のママの頭のなかには常に自分以外がいると思うんです。子どものため、家族のため…と考えるのに忙しく、自分のことを考える時間がないような気がします。

久賀谷先生:そうですね。子育てをしていると、本当にお忙しいことと思います。お母さんであることもそうですし、ダイエットにおいても「これはダメ」「我慢すべき」「こうしなきゃ」と自分に厳しすぎる人が日本では特に多い気がしますね。

――そうなんですね。確かにちょっとできなかっただけなのに必要以上に「できなかった…」と落ち込んでしまうことがあります。そもそも、やせないのは自分のせいだと思っている人もいますね。

久賀谷先生:私が脳科学の視点からとらえたマインドフル・ダイエットは、「自分の今」に注意を向けるマインドフルネスを応用しています。自分の今に注意を向けるというのは、自分にやさしくすることなんです。

―自分にやさしくする…?

久賀谷先生:そうです。いつも誰かのことを考え、向けていた注意を自分に向ける。自分にやさしくなることで食の仕方が変わり、太りにくい脳へと変わっていくことでダイエットにつながるということなんですね。


――マインドフルネスを日常に取り入れることは、知らないうちに自分に厳しくなっている状態から抜け出すいいきっかけにもなりそうですね。では、子育て中のママが自分にやさしくなるためには、どのようにマインドフルネスを活用すればいいですか?

久賀谷先生:そうですね。やってみてほしいのは1日の活動を見直して、自分のための時間がどれくらいあるのかを知ることです。お母さんの多くは、ほとんどないのではないでしょうか。もしそうであるなら、自分のための時間をつくってみてほしいですね。

――それは自分ひとりになる時間ということですか?

久賀谷先生:時間もありますし、空間もですね。車の中でもいいし、部屋が複数あるならお子さんや家族のいない部屋に移動して。物理的にひとりになれる空間に身をおいて時間を過ごしてみるといいですね。

そこで大好きなスイーツを食べてもいいし、音楽を聴いてもいい。自分だけの自分のための時間をつくって、自分にやさしくしてみるんです。

驚くことに、自分の好きなことを忘れているお母さんもいます。好きなこと、やりたいことを思い出すためにも、ひとりになる時間というものをつくってみましょう。それが脳を変えていくきっかけになると思います。

次回はいよいよ実践編! ママが脳科学ダイエットを応用して、産後太りを解消するためのやり方についてお話をうかがっていきます!

参考図書:
『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』(主婦の友社)
著者 久賀谷亮/1,598円(税込)


やせにくい脳から太りにくい脳へ。最先端の脳科学を応用した脳から変えるダイエット法をまとめた一冊。巷にあふれるダイエット法は「~してはいけない」「~しなければならない」などの制限や命令がつきもの。けれど科学的研究で効果があると明らかになった脳科学ダイエットなら、そのしがらみから解放されます。人の食行動を変えるマインドフルネスとは何か?ダイエットシェアハウスで共同生活をする5人のストーリー仕立てで教えてくれるので仕組みが分かりやすい! ダイエットとは心と脳を満たすこと。本質的なことを教えてくれるダイエット本です。


(すだ あゆみ)

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