篠原涼子が語る、自身のキャリアから40代の目標まで。『人魚の眠る家』は「私の代表作になるんじゃないか」

『人魚の眠る家』で主演を務めた篠原涼子
KADOKAWA

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東野圭吾の作家デビュー30周年記念小説を、篠原涼子主演で映画化した『人魚の眠る家』(公開中)。愛する我が子の命について、究極の選択を迫られる母親役を、全身全霊で演じた篠原にインタビュー。篠原が「私の代表作になるんじゃないかと思える大きな作品」と胸を張る、本作の撮影秘話を語ってくれた。

2人の子を持つ播磨薫子(篠原涼子)と夫・和昌(西島秀俊)は、離婚寸前の仮面夫婦だった。ある日、娘の瑞穂がプールで溺れて意識不明の状態となり、苦悩する薫子たち。和昌は、自社で開発する最先端の科学技術が治療に応用できるのではないかと思いつき、研究員(坂口健太郎)による、前例のない治療を開始していく。

初タッグの堤幸彦監督と、共演3度目の西島秀俊

愛する我が子の命について、究極の選択を迫られる薫子たち
[c]2018「人魚の眠る家」製作委員会

篠原は脚本を読んだ段階で「約2時間の脚本を通じて、こんなに過酷な生き様を表現できる役なんてなかなかない」と衝撃を受けた。メガホンをとった堤幸彦監督とは初タッグとなったが「1人の人としても、監督としても、ものすごく器が大きく、演者のことをよく考えてくれる方。穏やかで押し付けがましくないし、それぞれのペースを大切にしてくださった」と、確固たる信頼関係を築けた様子。

「堤監督は、朝9時からの撮影でも朝5時に入って下調べをされていました。ロケ地へも何度か通い、アングルを試行錯誤されていたようです」。

夫役の西島秀俊とは2本のドラマを含め、3度目の共演となった。1本目はドラマ「ウーマンズ・ビート ドラマスペシャル 溺れる人」(05)で、西島は篠原演じるアルコール依存症の妻をサポートする夫役を、2本目の刑事ドラマ「アンフェア」(06)では、篠原演じる雪平刑事に殺される編集者兼恋人役を演じた。

「西島くんとの共演作では、私がいつも破天荒な役柄で、西島くんから『もう~、なにやってるんだよ?』とツッコまれるような設定ばかりでしたが、今回もそんな感じです(苦笑)。そのあと、お互いに家庭を持って、こういう題材で再び共演できて良かったと思います。西島くんは、目にものすごく力があり、物語を目で訴えかけられる役者さん。彼の演技により、私自身が感化されていくような、すばらしい俳優さんだと、改めて思いました」。

息を呑むほど壮絶なクライマックスのシーン

『人魚の眠る家』は11月16日より全国公開中
[c]2018「人魚の眠る家」製作委員会

本作で、母親としての壮絶な葛藤を体現しなくてはいけなかった篠原。感情のうねりが非常に大事で、特に後半で大きな山場を迎えるため、堤監督は「順撮りでいく」という英断を下した。怒涛の展開を迎えるクライマックスで、篠原が見せる研ぎ澄まされた演技は、圧巻のひと言に尽きる。「あのシーンを撮影した日は、朝から違う緊張感がありました。食事も喉を通らなくて」とただならぬ緊張感のなか、撮影が敢行されたという。

「私は台本を読んだ段階でわんわん泣いてしまいましたが、現場では共演者の人たちと、想いを分かち合いながらやろうと思っていました。撮影当日は、どんどん自分の気持ちが高ぶっていって、気づいたらカメラが回っていることも忘れていたくらい引き込まれていきました。子役も泣き始めたら止まらなくなっちゃって、カットがかかっても、まだ泣いていたんです。子どもはコントロールが利かないから、30分の休憩を入れました。普通は涙が出るのを待つ“涙待ち”なのに、その時は、涙が治まるのを待ちました」。

篠原涼子、40代の目標とは?

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篠原は本作の撮影を振り返り「撮影当時、44歳でしたが、本当にやりがいのある仕事を与えてもらい、いい経験をさせてもらいました」と、満ち足りた表情を見せる。

現在45歳となった篠原に、40代の目標について聞くと「自分が満足できる作品を届けていきたいです」と答えてくれた。「もともと私はお客様第一というか、皆さんに感動してもらえるような作品を作るのが自分たちの仕事だと思ってやってきました。でも最近は、まず自分が満足できないと、それが叶わないのではないかと思うようになりました」。

そのことに改めて気づかせてくれたのは、とある監督の一言だった。「2人でごはんを食べに行った時に、彼女が『人のためではなく、まずは自分が喜べないと、人には伝わらないよ』と言ってくれたんです。確かにそうかもしれないなと。その時、素直になることは大切だなと思いました」。

ミリオンセラーの歌手から女優へと転身し、常に第一線を走り続けてきた篠原。連ドラ「ハケンの品格」や、映画化もされた「アンフェア」シリーズなど、数多くのヒット作で、力強いヒロインを演じてきた。

篠原は自身の輝けるキャリアを「努力というよりは運が左右していたのかな」と、どこまでも謙虚に捉えている。

「未知だった世界に入ってみたら、毎回『ああ、こういうことなんだ!』と、すごく勉強になりました。今回の『人魚の眠る家』も、縁やタイミングがカギになっていて、自分で選んだわけではなく、神様から『やりなさい』と言われたような感覚でした。共演者や監督、スタッフの皆さんのパワーやエネルギーをたくさんいただいた気がしますし、すごくいい経験になりました」。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

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