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モラハラ系モンスター「私がルール!」暴走する断捨離妻に夫が出した答えは…?【リアル・モンスターワイフ、再び 第37回】

  • 2018.11.11
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夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。



「親しき仲にも礼儀あり」とは、人生の真実。とはいえ「親しい」どころのレベルではなく「運命共同体」である夫婦の間で、このことをきちんと理解できていないケースが多いのは非常に残念なことです。

夫婦としてどれだけ親しい、近しい関係にあろうとも、夫はあなたとは別の人間。あなたとは違う感じ方、考え方、好み、ポリシーを持っていて当然なのです。

ところが、そんな当然のことを認められない、認めたくない場面が出てきてしまうのが、夫婦生活の難しいところ。

「この人の、こういうところがどうしても理解できない。苦手」

「親身になってアドバイスしてるのに、まったく聞く耳を持ってくれなくて頭にきちゃう」

相手が知人や友人ならば、距離を置くという選択をすることも可能です。けれども、夫婦となると、そうはいきません。毎日顔を合わせなければならないし、簡単に距離を置くことなどできない。今後もおそらく、ずっと一緒にいる相手。お墓もおそらく一緒…。

だからこそ、夫を自分の都合がいいようにしたい。夫に気になる言動があったら、直して欲しい。夫にも、自分のやり方に従って欲しい。そう思うようになってしまうのです。

「長い人生を共にする、代えなどきかないパートナー」だと思うからこそ、「相手と自分は違う人間」という当たり前過ぎる事実が見えなくなる。相手を支配したいと思うようになってしまう…。

妻の中のこうした傾向は、夫の人格を否定する「モラハラ系モンスター」の卵。このタイプのモンスターワイフは、夫という自分とは別の人間の存在を無意識に否定し、夫婦仲を崩壊させます。

あなたも知らないうちに、モラハラ系モンスターへの第一歩を踏み出し始めていないでしょうか?

悪気などまるでなく、けれども気づけば完全なモラハラモンスターと化していた友梨佳さんのケースを参考にしてみてください。

■断捨離に狂ったモラハラ系妻「家から次々とモノがなくなっていく…」

「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」代表:友梨佳(仮名)34歳の場合

裕貴は我が家のドアの前に立つと、ドアノブに手をかけて大きくひとつ深呼吸をした。最近ではこの瞬間が、一日の中で最も緊張する時間かもしれない。

意を決して家の中に入る。リビングに異変はない。そこから見えるキッチンも、問題なさそうだ。鍋の中をのぞき込みながら「おかえり」とつぶやくように言った妻の友梨佳の様子も、いつもと変わりない。

よかった。

今日我が家では、何も起こらなかったようだ…そう胸をなで下ろして洗面所のドアを開けた裕貴はギョッとした。洗面所が、異様に広々として見える。

それもそのはず、1年半前に友梨佳に懇願されて渋々購入した乾燥機が、跡形もなく消え去っているのだ。裕貴が唖然としていると、いつの間にか彼の背後に立っていた友梨佳が、不気味な笑いを浮かべて言った。

「どう?スッキリしたでしょ。乾燥機も断捨離しちゃった。やたら場所を取るし、やっぱり服を傷めちゃうし。それにね、ネットで見たんだけど、乾燥機にかかる平均的な1カ月分の電気代って…」

裕貴は嬉々としてしゃべり続ける妻の声が、遠のいていくのを感じた。

勘弁してくれ。

毎日毎日、家の中から何かしらなくなっていく。最初は、去年のクリスマスにねだられたホームベーカリーだった。
次はトースター。続いて炊飯器が消えた。そして、今度は乾燥機?

裕貴は文字通り頭を抱えると、「断捨離」の素晴らしさについてお決まりの熱弁を続けている妻をその場に残して、フラフラと寝室に逃げこんだ。

■浪費と衝動買いを繰り返す「片づけられない妻」

友梨佳と裕貴は、ともに27歳の時に結婚した。いわゆる「授かり婚」で、長女の芽衣は今年7歳。2歳下には長男の海斗もいる。

少々いい加減でだらしないところはあるが、基本的に明るくニコニコしている友梨佳。優柔不断なところもあるけれど、穏やかで優しい裕貴。2人の結婚生活は、それなりにうまくいっていた。

けれど、経済的な不安はあった。裕貴は小さなメーカー勤務で、収入はそれほど多くない。それなのに働くのが嫌いな友梨佳は第一子妊娠を理由に、ほとんど独断でショッピングモールの販売員の仕事を辞めてしまったのだ。長男の幼稚園入園後、夫にせっつかれてようやく友梨佳は重い腰を上げ、パート先を探し始めた。

友梨佳の口癖は「好きなことしかしたくない」。そんな調子なので彼女の仕事探しはなかなか進まず、夫婦けんかも増えた。

妻の「好きなこと」は、世の中にあまりないように裕貴には見えた。しょっちゅう「何か楽しいことないかなぁ」などと言いながらダラダラとネットサーフィンを続け、その時々の流行の商品やサービスを購入したりする。だが、どれも1カ月もしないうちに、友梨佳はきれいサッパリ忘れ去ってしまう。

そんな性格の反動なのか、数年に一度、何かにハマると友梨佳はすさまじい勢いで熱中した。彼女が好条件とは言えない雑貨屋のパートの職にあっさり収まったのも、そのショップの雑貨にハマったからだった。

キッチン小物やらベランダ用の置き物やらガーデニング用品やら、友梨佳はしょっちゅう細々したものを購入してパートから帰って来る。稼いだそばから浪費してしまうのも困りものだったが、それ以上に裕貴を困惑させたのは、どんどんひどくなる家の散らかりぶり。

「春になったらハーブを植えるのよ。そのハーブを使ってお料理するの。すてきじゃない?」

友梨佳はそんなことを言って自分の妄想にうっとりしているが、実際に春が来る頃にはそんな妄想などすっかり忘れているに違いないと、裕貴はため息をつく。

一体どうして妻は、「ベランダ」というより「エアコンの室外機置き場」と言ったほうがいい小さな小さなスペースのために、これだけ大量のモノを購入してくるのだろう。

キッチンだってそうだ。同じようなものをすでに持っていても、「デザインがすてき」、「ひと工夫あって使いやすい」などと言って、似たようなものを山ほど買ってしまう。おかげでキッチンも、モノだらけでグチャグチャ。その収納のために「すきま収納」家具が欲しいと友梨佳が言い出した時には、さすがの裕貴も異議を唱えた。

「家具を増やして収納することより、少しはモノを減らすことも考えてくれよ。似たようなものがいっぱいあるじゃないか。同じようなものは処分するなり、ネットで売るなりできないのか?」

自分の要望が通らず、友梨佳は逆上した。

「何よ。私は家族のためにおうちをすてきな場所にしようと思って、そのためのアイテムを買いそろえてるのに。それに、料理なんてほとんどしない裕貴に、キッチン用品の使い勝手なんて分からないでしょ。何にも分からないくせに、口出ししないでよ

こうして始まった冷戦は結局、友梨佳が自分のパート代ですきま収納家具を購入し、裕貴がそれを黙認するまで続くことになった。

この家が足の踏み場もない状態になるのも、時間の問題だな…。さらに狭くなったキッチンをながめながら、裕貴はがっくりと頭をたれた。





■断捨離に目覚めた妻「トースター、炊飯器、次は…」やりすぎで生活崩壊



ところが、事態は思わぬ展開を見せた。雑貨コレクターと化していた友梨佳が、断捨離ブームに乗っかったのである。

「モノに依存しても、本当の幸せは得られないって気づいたの。それどころか、モノをためこむことで、幸せは逃げていってしまうみたい。これからはできる限り、シンプルライフを目指すわ」

断捨離に関する本や雑誌を、散らかり放題のテーブルに山積みにして満足そうに笑う友梨佳。どうせ断捨離のムック本やら、お片付け講座のDVDやらが増えて、さらに部屋が狭くなるだけに違いない。そう思っていた裕貴だったが、翌週から本当に部屋が片づき始めた。

毎晩裕貴が帰宅すると、友梨佳は夫の帰りを待ち構えていたかのようにやって来て、すごい勢いでまくし立てた。

「今日はゴミ袋4つ分捨てちゃった」

「しゃもじはね、厳選してこれ一つだけ残すことに決めたの」

「私はこれまで新しいモノを買うことで、『新しい自分』になれるような気がしてたんだけど、今は違うの…」

友梨佳は何やら、断捨離によってすさまじい充足感・達成感を得ているらしい。その没頭ぶりは多少異常なような気もしたが、とにもかくにも部屋が片づくのは素晴らしい。裕貴はそう思い、妻の変化に目を細めていた。

しかし、そんなふうに呑気に構えていられたのは最初のうちだけ。裕貴はすぐに、断捨離にハマり過ぎた妻についていけなくなっていった。

似たようなものが山ほどある、鍋しきやら調味料ケースを断捨離してくれるのは大歓迎。だが、さんざんねだられて買ったばかりのホームベーカリーを手放したと聞いた時には、裕貴も驚いた。

「まだ新品同様だったじゃないか。これからまだまだ使えたのに…」

「そういう問題じゃないのよ」

決然とした口調で、まるでその道の専門家か何かのように友梨佳が解説する。

「『まだ使えるモノ』であっても、『実際には使っていないモノ』を家に置いておくのが大問題なわけ。使われていない不要なものは、負のエネルギーを出すようになっちゃうんだから」

確かにホームベーカリーは購入直後に2、3度使われたきり、まったく使用されていなかった。費用を負担した裕貴としては「もったいない」という気持ちはあったが、これからもずっと使われない運命にあるモノに、決して広くない家の中の空間を占拠させておくほうが「もったいない」のかもしれない。

裕貴はそう考えて、自分を納得させることにした。ところが、しばらくしてトースターまで捨てたと言われた時には裕貴は訳が分からなくなった。

「トースターは毎日使ってるじゃないか」

すると友梨佳は、「まったく、これだから何も知らない人は…」と言わんばかりの顔で答えた。

「トーストなんて、フライパンでもできるんだから。ミニマリストの間では、家電を減らしてほかのもので代用するのは常識よ、常識」

ミニマリスト…? ついこの間まで「私って『ステラレネーゼ』なの」などと言っていた妻が、一体いつの間にミニマリストになったというのだ。裕貴はひたすら理解に苦しんだ。その間にも友梨佳の断捨離熱は、ひたすら過熱していった。

次に姿を消したのは、炊飯器。友梨佳に言わせれば、「時短料理ブームの時に買った圧力鍋を使えば、あっという間にごはんが炊けるから炊飯器なんていらない」とのことだった。

ところが、そこはもともとズボラな友梨佳のこと。「フライパンでトースト」も「圧力鍋で炊飯」も1週間と続かず、朝食のパンは「トーストしなくたっていいじゃない」とそのまま出されるようになり、ごはんの代わりに麺類ばかり出される日が続いた。

「今日は米が食べたい」と裕貴が何日か連続でリクエストすると、とうとう「そんなにごはんが食べたければ、コンビニでパックのやつ買ってきたら?」などと言い出す始末。この頃になると、断捨離に関する夫婦けんかが急増した。

「何でもかんでも後先考えずに処分して、生活に支障が出てきてるじゃないか」

「支障って何よ? 家の中はどんどんスッキリ、快適になってきてるじゃない。きれいなものはネットフリマで売ると2000円位になるのよ。上等じゃない!」

「なんだよ、その言い方。俺は前みたいに毎日普通に米が食べたいし、子どもたちだって朝はトーストが食べたいって言ってるだろ。快適、快適って言い張ってるのは、友梨佳だけじゃないか」

こんな時、友梨佳はお決まりの「あきれた」「あなたは何も分かってない」という顔をする。そして、やれやれと首を振りながら言うのだ。

「あなたは本当の『快適』の意味が理解できてないのよ。麺か米か? パンがトーストしてあるかどうか? そんなことが本当に重要だと思ってるの? だとしたら、あなたはこの過剰消費社会に踊らされてるのよ。

あれこれ用途別に家にモノを増やして、それで快適な生活を手に入れているつもりなんだとしたら、そんなの健全じゃないわ。モノだらけの空間は精神衛生上よくないし、お金も浪費…」

「じゃあコンビニの白米パックやコインランドリーは何なんだよ!」

裕貴はすかさず反論した。

「乾燥機なんてスペースばっかり取って服を傷めるって言って処分しておいて、やっぱり干すのが面倒でコインランドリーに頼ってるのは一体、何なんだ? せっかく買ったものを何にも考えずに処分して、新たな出費まで発生してるようじゃ、それこそ浪費以外の何物でもないじゃないか」

「どうしてあなたは、いつもそうなの!?」

ここで友梨佳は、まさかの逆ギレ。

「私はいつだって家族のために、最善のライフスタイルを目指して頑張ってる。それなのにあなたは、いつもそうやってあげ足を取って、ケチをつけて…。どうして私の気持ちを分かってくれないの!?」

こうして友梨佳の大爆発で、何の解決にもならないまま、けんかが強制終了されるのがいつものパターン。友梨佳は自分のやり方が通らなければ逆上し、泣きわめく。裕貴はそんな日々に疲れきっていた。

けれども実は、この頃はまだよかったのだ。友梨佳の断捨離テリトリーが、主婦の主戦場であるキッチンや洗面所に限られていた頃は…。





■「パパ、ダメね~」子どもを味方に断捨離を強要する妻

そのうち友梨佳はベッドまで断捨離したいと言い出した。さらには、裕貴の個人的な持ち物にまで、連日うるさく口出しするようになる。

「ねえ、このカタログ捨てていいでしょ」

「この漫画本、全然読んでないじゃない。売りましょう」

「あなたのクローゼットで、こんなシャツ見つけたんだけど。悪趣味よ。全然あなたに似合わない。捨てちゃっていいわよね」

自分の持ち物にまで、断捨離に狂った妻の魔の手が伸びてきそうになり、裕貴も自分の身を守るために徐々に攻撃的になっていく。

もはや断捨離をめぐる衝突は、日常の一部と化していた。ひたすら断捨離の素晴らしさを説き、それを夫にも押しつけようとする友梨佳。そんな妻を異常だと感じ、抵抗する裕貴。

自分が理想とするライフスタイルを認められず、じれにじれた友梨佳は、とうとうこの問題に子どもたちまで巻き込み始めた。裕貴と口論になると、これ見よがしに子どもたちに向かって大声で言うのだ。

「パパったら、いらないものをいつまでもためこんでダメねぇ。整理整頓ができなきゃダメって、幼稚園でも習うわよねぇ」

「あーあ。パパはまだ、使わないものを捨てられずにいる。芽衣ちゃんと海斗くんは、パパみたいな大人になっちゃダメだぞー」

子どもたちの前で「ダメな大人の見本」扱いされるにいたって、裕貴の妻を見る目も完全に変わってしまった。以前はズボラでミーハーで、とても「できた奥さん」とは言えなくても、それなりにかわいいところもあって、一緒にいて楽しいこともあった。

けれども、今の友梨佳は独裁者だ。家庭内で自分の設定したルールが通らなければ即、激怒。自分のやり方こそ正しく、これを認められないのはお前がダメだからだという態度。そのうえ、子どもたちの前で、「パパはダメ人間」と毎日のように繰り返す。

一体なぜこんな妻と一緒にいるのか。裕貴はいよいよ分からなくなってきた。

■ついに夫のコレクションまで断捨離、その結果…



そんなある日、決定的な出来事が起きた。

大けんかの翌日、仕事から帰った裕貴がパソコン部屋に入ると、コレクションしていた映画のキャラクターのフィギュアが消えていた

何が起きたか、疑問に思うまでもなく一瞬で分かった。友梨佳が捨ててしまったのだ。持ち主である裕貴に何の相談もなく、何の許可も得ずに。

裕貴専用のパソコンの横の、小さな箱に収められた、本当にささやかなコレクションだった。そんな小さな空間であっても、友梨佳は自分にとって「ムダなもの」にスペースを取られるのが、どうにも我慢ならなかったらしい。

裕貴はリビングで、ミニマリストのブログに夢中になっている友梨佳に話しかけた。

「お前の言う通り、健全な人生のためには、思いきっていらないものを捨てる覚悟も必要かもな」

友梨佳はびっくりした顔でスマホから顔を上げたが、その顔はすぐに輝くばかりの笑顔に変わった。

「もう! やっと分かってくれたのね! そうよ。ムダを排除して、本当に必要なものだけを持つことが一番大事なの。そういう生き方を、子どもたちにも早い段階から見せてあげることが…」

友梨佳の弾んだ声を、裕貴がキッパリとした口調でさえぎった。

「それなら俺が真っ先に断舎離すべきは、友梨佳、お前だよ」

今ではガランとしたリビングで、友梨佳はポカンと口を開けたまま裕貴を見上げていた。

「私が進む道こそが、我が家が進むべき道」と断捨離に没頭した友梨佳さん。夫の意見も持ち物も勝手に断捨離した結果、自分自身が夫の断捨離対象になってしまいました。

果たしてこの夫婦の行く末は? 次回は、モラハラ系モンスターの診断チェックテスト、そして友梨佳さん、裕貴さん夫婦の結末をご紹介しましょう。


(三松真由美)

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