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「1日5分、タオル1枚」たったこれだけ産後ママのセルフケア【ママの心が軽くなる「助産師さんの子育てヒント」 第3回】

  • 2018.11.9
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たらちね助産院院長、大坪三保子先生にお話を聞く連載。

小さなママ・コミュニティの大事さをうかがった第1回、情報に振り回され過ぎない子育てをうかがった第2回に続き、最終回は育児に忙しいお母さんが無理なくできて、自分を癒せるセルフケアについてうかがいました。




お話をうかがったのは…
大坪三保子先生(たらちね助産院院長)


久留米大学看護専門学校、熊本大学医療技術専門短期大学助産学科卒業。たらちね助産院院長、助産師・看護師。子育て支援グループamigo顧問。母と子のウェルネス研究会幹事。『はじめてのベビーマッサージ』(保健同人社)、『安産のための体と心をつくるHappyマタニティ・ヨガDVD付』『キレイで元気なママになるHappy産後ヨガDVD付』(共に高橋書店)など著書多数。
・たらちね助産院



■育児のコリ・ストレス・緊張「タオル1枚でときほぐす」

マタニティ、産後ヨガクラスを長年開催している大坪先生。出産したばかりのママ、子育て中のママのセルフケアには、ヨガの呼吸法や動き、心の持ち方を取り入れています。

大坪三保子先生(以下大坪先生):お母さんたちにはよく「脈をとってみましょう」と言っています。ちょっとやってみましょうか? 左手首の親指側に右手の人差し指、中指、薬指3本を置いて、自分の脈を感じてみてください。自分の脈を感じているときって呼吸はどうなりますか? 吸う息と吐く息、どちらを意識するようになりますか?



──ゆっくりになりますね。そして特に吐く息を意識しているように思います。

大坪先生:そうですね。脈をとるというのは、自分の身体を感じようとしていることなんですけど、呼吸がゆっくりになります。そして、呼吸がゆっくりになると、自分の身体や心を感じて穏やかな気持ちになります。

そうすると、「自分自身の身体と心の穏やかな状態のなかで、生きるための判断ができるようになる」という自分の芯の部分とつながれる感覚が芽生えると言われています。ヨガでは、それを理知と呼んでいるそうです。

──久しぶりに自分の脈を感じました。自分の体を感じることで、わかることがあるんですね。

大坪先生:日々の生活で、自分が「ここにある」という感覚になるのはなかなか難しいと思うのですが、そういう感覚になるために、ヨガではポーズをとったり瞑想をしたりしますよね。

瞑想すると呼吸がゆっくりになって、自分の心を止めることはできないんですけど、穏やかになる。そうすると、自分が今なすべきこと、なさざるべきことが見えてくると言われています。

そのために脈をとることをご紹介しましたが、それ以外に少し感じにくいところを感じてみる方法もあります。どこにでもあるふつうのタオルを使ってできますよ。



──フェイスタオルを使うんですね。

大坪先生:例えば、背中ってふだん、あまり感じないですよね。ちょっと仰向けになって、肩甲骨のあたりにタオルを入れるんです。肩甲骨の下に入れると胸が広がるので、授乳や日常の作業で前かがみになりがちな方にいいですよ。

ちょっとタオルを置いただけで体の感覚が変わりませんか?



──タオルを置いた部分を意識しますね。そして、なんだか眠くなりました。

大坪先生:あとは、正座をしてみてください。頭の上にタオルを置いてみますね。タオルを置かれると「タオルを落としたくないな」と姿勢が変わりますよね。これだけでも感覚が変わるんです。鼻がだんだん抜けてきて、呼吸が楽になる。腹筋もしゃきっとしますよね。



──タオル一枚で、できるのがいいですね。

大坪先生:妊婦さんにもするんですけれど、足首の下に置いたり、おなかの緊張をとりたい方は膝下に置いてもいいと思います。腱鞘炎になっている方は、ひじの下に入れるとすごく楽になります。

ふだん、よく使っている関節のところに置くのがいいと思います。関節って筋肉がついているところとついていないところの接点なので、重力の影響を受けているところにタオルをあてがってあげるんですね。








■たった5分で忙しい心をリセット



──時間はどのくらいがいいのですか?

大坪先生:3分から5分くらいでも十分ですよ。あまり長くやると昼間は反って眠気が強くなったりするので、10分程度でも十分です。もちろんそのまま夜は寝てしまっても大丈夫ですよ。

赤ちゃんがいる忙しい生活の中で、5分という時間だけでも、リセットできると思います。緊張がとれて気持ちも楽になるという方もいます。

5分間、楽にしたいなというところにタオルをおいていただくだけなので、ぜひ試してみてください。




■寝る前に安らかな気持ちになることも大事

大坪先生:それから、夜はできるだけ安らかな気持ちで眠りにつくことは大事だと思います。

明治生まれの祖母が「夫婦げんかは夜してはだめ。日中に話し合うこと」とよく言っていました。夫婦でいると話し合うことはもちろん必要ですが、いつも気持ちが通じ合うことは難しいかもしれません。

ですが、夜に興奮しすぎてしまうと気持ちが収まりにくくなります。交感神経がたかぶることで眠れなくなりますし、自律神経のバランスを崩してしまいます。寝る前は穏やかな気持ちで寝たほうがいいですよね。

──そのためにはどうしたらいいですか?

大坪先生:パートナーとお互いに寝る前のルール―を決めるというのはどうでしょうか。お互い穏やかな気持ちで眠りにつくために、「けんかをしていても『おやすみなさい』は言おうね」とか、寝る前にパートナーに何かひとつでもいいから褒めてもらうとか、優しく「おやすみ」と言ってもらうだけでもいいと思います。

──あいさつだけでもいいんですね。

大坪先生:「おはようございます」「ありがとう」「おやすみなさい」は魔法の言葉ではないでしょうか。

さまざま出来事があっても、そこで仕切り直しができる言葉です。何か魔法の言葉をひとつ決めておく、もしくはふるまいを決めておくと、これだけは守るというルールになっていいと思います。肩をさするなどスキンシップをして寝るのでもいいですね。

──家族間のコミュニケーションが大切ということですね。

大坪先生:家族という単位で、さまざまなことを乗り越えていかれると思いますが、そこでのストレスを軽減して家族の絆を深めていただきたいです。

そういうストレスは、弱いところに影響が出てしまいがちです。「親しき仲にも礼儀あり」ではないけれど、話し合い折り合いをつけ、相手を思いやって関係性を培っていく働きかけを、お互いが心がけていく。

その中で、子どもとの関係も育っていくのではないでしょうか。元気な朝を迎えるために、眠りにつくときは安らかな気持ちになる儀式をつくるといいですね。

シングルマザーの方も、赤ちゃんと二人きりで頑張りすぎず、家族や友人、地域の支援者とのコミュニケーションをとられることをおすすめしてます。

「子どもを育てるには村が必要」と言われていますが、誰かと気持ちをわかち合うことで、子育てがぐっと楽になると思います。

全3回の取材をさせていただいた中で印象に残ったのは、忙しい中でも自分の気持ちを理解しながら子育てをする大切さでした。そして、自分の気持ちを理解するためには、家族をはじめ、身近な方とのコミュニケーションが大切ということ。

そういえば、忙しい日々の中で自分の気持ちや家族の気持ちが置いてけぼりになってしまうことが、当たり前のようになりがちだな…とそんなことを考えました。もうかなり大きくなった小中学生のわが子への向き合う気持ちも、少しだけ変えようと思えた取材でした。

取材協力:
・NPO法人子育て支援グループamigo
世田谷区松原を拠点に 2001年から「産前産後」に特化して活動、2014年5月より特定非営利活動法人に。“一緒に楽しく子育てしようよ!”を合言葉に、助産師や保育士と連携しながら、生まれてくる子どもたちとその親が、地域の温かい人間関係の中で支えられ、すこやかに成長していくことができるよう、出産・育児を支援。大坪三保子先生のお話やベビーヨガ、ベビーマッサージが掲載されている冊子をホームページで販売。
http://www.kosodate-amigo.com/

(まちとこ出版社)

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