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恋人も正規の仕事もない…アラサー女子の奮闘を描いた漫画『にれこスケッチ』

  • 2018.10.27
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鴨居まさねさんの漫画『にれこスケッチ』は、ブラシ職人の主人公が、恋に仕事に奮闘する姿を描いた作品。

画業25周年を迎えた鴨居まさねさん。ストーリーマンガとしては約4年半ぶりとなる本作は、迷える女子の挫折と希望がコミカルに描かれるのだが、100年続くブラシ屋という舞台設定の渋さにまず惹かれる。

「私の作品はマニアックな仕事がよく出てくるのですが、特に狙っているわけではないんです。今回は編集さんから職人の話を読みたいと言われ、興味のあったブラシ屋さんと傘屋さんを取材させてもらいました」

恋人も正規の仕事もない28歳のにれこは、20年来片思いをしている傘職人の清田くん(既婚者)のもとでアルバイトをしていたが、社員に昇格する見込みはないことが判明。そんななか実家のブラシ屋の後継ぎに指名されて、職人修業をスタートさせる。下心もありつつ傘作りを手伝っていたものの、ものづくりは嫌いではないようで、祖母と母という師匠の下で奥深いブラシ製作の世界にゆるゆるとハマっていく。

「清田くんは口うるさくておばちゃんぽいのですが、私の好きなタイプです(笑)。20代の恋愛はこれまでたくさん描いてきましたし、年齢的にもお母さん目線に近かったりするのですが、一応恋愛モノとしては集大成のつもりで描いています」

元彼も登場して、にれこの日常がちょっとだけ色めき立つ一方で、母や祖母、2人の姉などとのさりげないけどリアリティのある会話にも、鴨居さんらしさが光っている。一見、アラサーの崖っぷち物語のようでいて、挫折のなかに好きなことを見つけて、なんだかんだ楽しそうにしているにれこの姿からは、恋も仕事も始めるのに年齢なんて関係ない、と勇気をもらえてしまうのだ。

「結婚はいつでもできるので年齢で焦る必要はないんだよ、と読者の方には言ってあげたいですね。にれこみたいに何かしら楽しめる仕事を持ってほしいし、本当にしんどいときは逃げてもいいと思うんです。私自身も会社員がつらくて辞めたから、マンガ家になることができたので」

危なっかしいにれこの恋と仕事はうまくいくのか。奮闘を見守ろう。

『にれこスケッチ』2 三姉妹の末っ子・にれこのブラシ職人修業の日々。元彼の登場で恋の行方はさらに混迷。清田くんと飲み仲間の母・久子など、脇を固めるキャラクターも魅力的。祥伝社 920円 ©鴨居まさね/祥伝社フィールコミックス

かもい・まさね マンガ家。1993年デビュー。代表作に『SWEETデリバリー』『雲の上のキスケさん』『君の天井は僕の床』など。コミックエッセイ『鴨居家のマルちんは猫です』も人気。

※『anan』2018年10月31日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

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