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一年間のごみを一つの瓶に。海外で話題の「ごみゼロ生活」とは?

  • 2018.10.23
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Women's Health

一つしかない地球のために、今自分は何ができるだろう。例えば今年、シアトルでは海洋をこれ以上ごみで荒らしてしまわないようにと、プラスチックストローの廃止が施行された。世界各所で「ごみ問題」が取り上げられ、環境保全というトピックはひとごとではなくなっている。スポーツ界では今年アディダスが、海洋プラスチック汚染問題に取り組む組織「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ」と組み、廃プラスチックボトルを「アップサイクル*」したウエアの販売を開始。環境保全に積極的に取り組む企業も少しずつ増えている。

そんな中、私たちにもできる地球に優しくする一つの方法は、「ごみゼロ生活」。これは日々出しているごみをできる限りゼロに近づける試み。

ウィメンズヘルスが話を聞いたのは、「ごみゼロ生活」を実践し、その具体的な方法をまとめた情報サイト「Wasteland Rebel」を運営するシア。彼女の話を2回にわたってお届けする。第1回目の今回は、1年間のごみが一つの瓶に収まってしまうほど「ごみゼロ生活」を徹底している彼女に、ごみゼロ生活を始めた理由と始めた当初の心掛けを教えてもらった。

*元の物の特長を生かして、よりよい物を生み出すことで付加価値を加えること

一年分のごみがこれだけ!? 一体どうやって?

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Women's Health

「Wasteland Rebel」のシア。瓶の中身は燃えるごみと燃えないごみを合わせて、1年分で重さたったの275グラム。どれだけ徹底してもレシートやストロー、切符、そして封筒に使われるプラスチックなどはなかなか避けられないそう。

ドイツに暮らす台湾人のシアがごみゼロ生活を送り始めたのはちょうど4年前のこと。そのときは、ちょうど会社をやめたばかりで、「無駄遣いは控えないと」「必要なものだけ買おう」という考えに傾倒していたそう。

「始める前までは週に数回コンビニに立ち寄っていました。もしくは今日の献立を決めてからスーパーで買い物をしていました」。でも、無駄遣いを控えようと決めたら、効率性をアップさせるためにもまとめ買いをするようになったそう。「『スーパーに行くのは土曜だけ!』と決めて、まとめて買うようになりました。買うのはほとんど生鮮品だけです」

そこで、買い物をする上で心掛けていたことを聞くと、このようなヒントをくれた。「たまに買う油や酢、しょうゆなどはプラスチックではなく、ガラスの容器に入っているものを選ぶことです。プラスチックで包装されていない物や、余計な包装を使っていない物だけを買うよう意識するだけでも変わってくるでしょう。

私たちもそのせいか、豆腐やキムチ、せっけんをハンドメイドで作っているお店に自然と足を向けるようになりました。職人たちはしっかりとこだわりを持って作っていますし、自信と誇りを持って取り組んでいるのには魅力を感じています」

さらにごみゼロ生活を送っていることを伝えれば、容器に詰めてくれる店もあったそう。とは言っても現実には、生産性を上げるために、すでに容器に詰めているところが多かったという。その場合は、できるだけ大きな袋でまとめて買って、出すごみを減らすか、店が容器に詰めてしまう前に、ある程度の量を確保してもらえるよう交渉したりもしたそう。

Wasteland-Rebel---Pantry-Germany
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乾物が入ったシアの棚。乾物は瓶を持ち込んで買うことも多い。

そもそも、ごみゼロ生活とはどういうもの? 始めたきっかけは?

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Women's Health

「サスティナブル(持続可能)に生きる一つの方法だと思っています。“ゼロ”と言いつつも、実はごみを“ゼロ”にするのは現実的に不可能です。ごみゼロ生活が目指しているのは、最もエコフレンドリーである選択肢を毎回選べているかどうか。地球は一つしかないので、やさしくしてあげないといけない、という思いから始めたものです」

「夫と一緒に取り組んでいるのですが、『ごみゼロ生活をしよう!』と思って始めたわけではなくて。ネットで見かけたのがきっかけで、最初のうちは『すごいなぁ』と思うだけで、実際にできるとは思いませんでした。それでもできる範囲でごみは減らしていきたいという思いで、少しずつごみゼロ生活を取り入れ始めました」

物に執着しない生活は、心も体も健やかにしてくれる

Wasteland Rebel - Living Room 1
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シアのリビング。

ごみゼロ生活を始めて、心と体にどのような影響があったのかを聞いてみた。

「要らないものを手放して、日常的に使うものや自分たちが大切にしているものだけに囲まれた生活は開放感があって、とても気持ちいいです。家にあった使い捨てアイテムのほとんどは、再利用ができる長持ちするものと置き換えたので、いちいち消費する度に買いに行く手間も省けました。あとはごみをそもそもあまり出さなくなったので、ごみの嫌な臭いや分別方法に悩まされることがなくなったのも大きかったですね」

「『暇ができたら買い物をする』という習慣がなくなったので、ずっとやりたかったけどできていなかったことに打ち込めるようにもなりました。ここ最近まで住んでいたカナダも、私たちがずっと行きたいと思っていた場所。でも生活を整えることができていなければ、カナダに行くことを計画する時間も余裕もなかったと思います」

「それに、包装されていないものを買うということは、ジャンクフードや加工食品も買わないということ。自炊した方がヘルシーなので健康体になります。私は花粉から食べ物までいろいろなアレルギーを持っていて、春先には必ずぜんそくで発作を起こしていました。ごみゼロ生活を始めてアレルギー反応がゼロまで落ちたとは言えないけれど、ずいぶん楽になったのは確かです」

次回は、明日から実践できるごみを減らすための心掛けをご紹介。

今回話を伺ったのは……シアシアと彼女の夫、ハンノは、2014年に「ごみゼロ生活」を始めた夫婦。当時は「どうにかごみを減らしたい」という想いだけだったものの、今では750ミリリットルの瓶に一年間分のごみが収まるまで「ごみゼロ」を徹底した生活を送っている。現在は、ごみゼロ生活の送り方を紹介するサイト「Wasteland Rebel」を運営する傍ら、ドイツの公共ラジオ放送局「COSMO」で、毎週エコなライフスタイルを紹介する番組を配信中。自身で執筆したごみを減らす方法をまとめた著書「Zero Waste: Simple Life Hacks to Drastically Reduce your Trash(ゼロ・ウエイスト:ごみを劇的に減らすとてもシンプルな方法)」は英語とドイツ語で好評発売中。中国語版も近日発売予定。

公式サイト:https://wastelandrebel.com/en/■インスタグラム:https://www.instagram.com/_wastelandrebel_/

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