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女優歴18年、20歳のエル・ファニングが今、夢中なこと。

  • 2018.10.19
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女優歴18年、20歳のエル・ファニングが今、夢中なこと。
2018.10.19 15:00
姉で女優のダコタ・ファニングの幼年期の役で、わずか2歳で女優デビューを果たしたエル・ファニング。現在20歳にしてすでに経験豊富なハリウッド女優が今、夢中になっていることとは? キャリア、ファッション、また将来の夢について、今思うことを率直にヴォーグだけのために語ってくれました。

女優として18年のキャリアを持つ、20歳のエルが放つ魅力。


「こっちに来て見てごらんよ、パメラ」。11月号の表紙を飾るエル・ファニングを撮影しながら、フォトグラファーのマートとマーカスは、こう声を掛けた。この呼び名は、あながち言い間違いでもなかったようだ。写真には映画『マレフィセント』(14)、『SUPER 8/スーパーエイト』(11)、『幸せへのキセキ』(11)でおなじみとなった朗らかな少女の姿はなく、代わりにミュウミュウ(MIU MIU)の最新リゾートコレクションに身を包み、若かりし頃のパメラ・アンダーソンやブリジット・バルドーを彷彿とさせるコケティッシュな魅力を漂わせる金髪美女が私たちを見つめ返していた。その姿からは、エルが女性の人生における「過渡期」にあることがうかがえた─無邪気さと完成された女性としての形質とが入り混じり、強いパワーを秘めた存在へと変貌するあの儚いひとときに。 


女優として18年のキャリアを持つ20歳のエルは、新たに手にしたこのパワーをすでに使い始め、最近では映画『ネオン・デーモン』(16)、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(17)、『Galveston』(18)、『Mary Shelley』(17)(『フランケンシュタイン』の作者の半生を描いた映画で、エルにとっては初となるラブシーンがある)をはじめとする大人っぽいテーマの作品に出演している。しかし、本人は、このようなスクリーン上の大きな節目にも一向に動じていないようだ。「通過儀礼みたいなものじゃないかな。年齢が上がる中で、いつかは経験することでしょ。あのシーンを成立させる段取りをこなすので精一杯で、そんなに深く考えなかったわ」


こうしたシーンにも平然と臨めるのは、エルの演技に対するアプローチによるものが大きいのではないだろうか。彼女は、撮影現場ではいつも強い絆で結ばれた家族に囲まれており、迷ったときには、演技のスタイルこそ違うものの、姉のダコタ・ファニング(自らも実力派女優)が正しい方向へと導いてくれた。「仕事の仕方が全然違うって、よく言われる」。エルは、いつか姉と共演したいと願っており、共演できる作品を積極的に探しているそうだ。「お姉ちゃんのやり方はよく知らないけど、私は頭の中で生きるタイプ。いつも本を読んでいて、いっぱい考えてる。それに、シーンを撮影する前の晩まで、台詞を覚えない。頭の中で、台詞が新鮮に感じられるようにしておきたいから」

ミュウミュウのアンバサダーに抜擢された理由。


エルがミュウミュウ(MIU MIU)のアンバサダーにぴったりだと思われるのは、この新鮮味、あるいは現在彼女が前述の過渡期にあることが理由なのかもしれない。彼女は、すでに同ブランドの広告キャンペーンの撮影を終え、パリで開催された2018年秋冬ランウェイショーのオープニングも飾っている。「あれは、緊張したわ。これまでにも、ランウェイを歩くリアルな夢を何度も見たことがあるわ。子どもの頃、よく自宅で家族を観客にして、服をとっかえひっかえしながらウォーキングしていたの。だから、ショーへの出演はすごく楽しみだった。ミセス・プラダが、バックステージでプロのモデルのように私を扱ってくれて、自信をつけてくれたしね」


エルは、実生活でもミュウミュウ(MIU MIU)のファンであり、幾度となくその姿が目撃されてきた。昔から自分を目立たせてくれるファッションが大好きだったと語るエル。「そう言えば、学校でフリー・ドレス・フライデーという日があってね。いつもは制服だけど、金曜日だけ好きな服で登校できるの。すごく変な格好をしたこともあったな」。また、目を引く装いの仕上げにプラットフォームシューズを合わせ、170センチ近い身長をさらに高く見せていたのだとか。

エルが今、夢中になっている演技と別の特技とは。


これまで選んできた興味深い作品への出演を通じて、エルはスクリーン上でも堂々と自信を持って振る舞うことを学びつつある。女性監督の少ない映画界にあって、彼女のフィルモグラフィーにはソフィア・コッポラ、メラニー・ロラン、ハイファ・アル=マンスールをはじめとする業界屈指の名女性監督の名前が並ぶ。「ラッキーだったと思う。私が一方的に彼女たちを選んだわけじゃなくて、相手も私を選んでくれたのだから。私が女優として世間で知られるようになったきっかけは、ソフィアが監督した映画『SOMEWHERE』(10)。彼女には、すごく大きなチャンスをもらったわ。ソフィアが撮影現場ですべてを取り仕切る様子や、皆に敬意をもって接する姿を覚えてる……。ソフィアの現場は独特かつ特別で、いつか私も映画を監督することがあれば、彼女が作り出す環境を見習いたいなって」


監督業についてはいまだ遠い将来の夢にすぎないかもしれないが、現在、エルには意欲的に取り組んでいる別の特技があるようだ。エルは、先頃ティファニー(TIFFANY & CO.)の顔に抜擢された。彼女を起用した初のコマーシャルキャンペーンは、有名な映画『ティファニーで朝食を』(61)のオープニングシーンを現代的に解釈したもので、ティファニー・ブルーのフーディーにダイヤモンドのティアラをまとったエルが登場し、バックには映画を象徴する劇中歌「ムーンリバー」を歌う彼女の優しい歌声が流れる。

女優になってなければ、目指していたのはポップスター。


「撮影中、カメラが回っていないときにあの歌をハミングしていたら、監督のフランシス・ローレンスがやってきて『ちょっと思いついたんだけど、その曲を歌ってみない?』って。女優になっていなかったら、ポップスターを目指していたと思う。だって、歌うのが大好きで、家のあちこちで歌ってるもの!」とエルは振り返る。


ファンにはうれしいことに、恋人と噂されるマックス・ミンゲラと完成させたばかりの新作『Teen Spirit』では、エルの美しい歌声がさらに堪能できる。ミンゲラが脚本および監督を手がけた本作で、エルは崩壊した家族から逃れようとポップスターを夢見るシャイなティーンエイジャーの主人公を演じている。「この映画では、5曲歌っています。私にとって、今年は歌う年。驚く人もいるだろうけれど、家族や親しい友人たちは、喜んでくれているわ」 


牧歌的な田園の邸宅で池を望む橋に腰掛け、アヒルにエサをやるエル。この日、最後となるショットを撮影するエルを見ていると、ラブソングを歌い出す彼女の姿は想像に難くない。その後、クリームカラーのスリップドレスとバレエシューズに着替えると、パメラは消え、そこにはただの若い女性に戻ったエルの姿があった。


ジャケット ¥229,000 タートルネック ¥49,000(ともに予定価格)/ともにMIU MIU(ミュウミュウ クライアントサービス) 問い合わせ先/ミュウミュウ クライアントサービス 0120-45-1993 

Elle Fanning


1998年4月9日生まれ、アメリカ出身。2歳で子役としてデビュー。2011年の映画『SUPER8/スーパーエイト』をきっかけに主役を演じるようになる。主な作品には映画『マレフィセント』(14)や映画『幸せへのキセキ』(11)など。

Photos: Mert Alas and Marcus Piggott Text: Jessica Michault Editor: Saori Masuda

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