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ABGが米靴大手カムートを買収 6月の「ナインウエスト」に続き

  • 2018.10.15
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ブランドマネジメント企業オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)は、カムート・グループ(CAMUTO GROUP、以下カムート)の知的財産権の6割を買収する。買収の手続きは11月5日に完了する予定だ。買収後は、2015年に死去した創業者ヴィンス・カムート(Vince Camuto)の一族はビジネスに関与しないという。

カムートにとって、今回の事業売却は2度目の試みとなる。同社は17年8月にアルド・グループ(ALDO GROUP)へのフットウエアおよびアクセサリーの事業譲渡に合意したと発表したが、その後の協議によって、10月に白紙に戻した。買収が実現すれば巨大フットウエア・グループが誕生するはずだった。カムートの17年の売上高は4億3500万ドル(約487億円)と言われており、そのうち75%は「ヴィンス・カムート」を中心とするフットウエア卸し業による。

ABGは今回のカムート買収で米フットウエア小売りのデザイナー・シュー・ウエアハウス(DESIGNER SHOE WAREHOUSE以下、DSW)と提携しており、DSWは知的財産権の4割とデザインインフラを買収。両社は共同でカムートのフットウエア、ハンドバッグ、ジュエリーブランドをライセンス展開する。買収総額は3億7500万ドル(約420億円)だ。

この買収には、「ヴィンス・カムート」「ルイーズ エ シー(LUISE ET CIE)」「ソール ソサエティー(SOLE SOCIETY)」「エンツォ アンジョリーニ(ENZO ANGIOLINI)」などのブランドも含まれる。DSWはカムートのデザイン、ソーシング、製造、卸売部門を傘下に収め、ニュージャージーにある最新鋭の物流センターの運営やジョイントベンチャー企業の経営にも関わる。ABGはブランディングやマーケティングなどビジネス構築に注力する。

カムートが高級デパートなどへの卸売りを得意としている一方、ECについてはABGとDSWがその成長を受け持つ。またABGはカムートの米国外市場進出をサポートする。

アレックス・デル・シエロ(Alex Del Cielo)=カムート最高経営責任者(CEO)は現職にとどまる。同CEOは「DSWとABGの両社と提携することは、当社にとっては計り知れない好機だ。われわれのライフスタイルブランドの販路を広げるチャンスである」と語った。

ジェイミー・ソルター(Jamie Salter)ABG会長兼CEOは「今回の戦略的な提携によって、カムートの事業は確固たる土台を得ることになる。同社は従来の取引先とのビジネスを継続しながら、新たなブランドの設立やビジネスの成長のための安定した環境が整う。当社にとってもフットウエアの資材調達と製造のエキスパートであるDSWと連携することはメリットが大きい。非常に重要な提携だ」と話した。

ABGとDSWは数年来の付き合いで、ジェイ・ショッテンスタイン(Jay Schottenstein)DSW会長は、ABG傘下の「ジュディス・リーバー(JUDITH LEIBER)」「タリン ローズ(TARYN ROSE)」「アドリエンヌヴィッタディーニ(ADRIENNE VITTADINI)」に出資している。

不況の小売業界において、ABGのここ数年の企業買収は目覚ましいものがある。3月にVFコープ(VF CORP.)から米アパレルブランド「ノーティカ(NAUTICA)」を買収し、6月にナイン・ウエスト・ホールディングス(NINE WEST HOLDINGS)からシューズブランド「ナインウエスト」「バンドリーノ(BANDOLINO)」とハンドバッグ事業を買収した。「ジューシー クチュール(JUICY COUTURE)」「エアロポステール(AEROPOSTALE)」「スパイダー(SPYDER)」「エアウォーク(AIRWALK)」なども傘下に持つ。

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