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デイヴィッド・ホックニー81歳。最新作は「iPadで描いた」女王へのオマージュ。

  • 2018.10.4
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デイヴィッド・ホックニー81歳。最新作は「iPadで描いた」女王へのオマージュ。
2018.10.04 12:00
歴代の国王をはじめ、ニュートンやダーウィン、ディケンスなどの偉人たちが眠るウェストミンスター寺院に、イギリスを代表する現代アーティスト、デイヴィッド・ホックニーの最新作が設置された。題して「女王の窓」。ポップなステンドグラスが表現するエリザベス女王の愛とは?

ウィリアム王子キャサリン妃が挙式を挙げたウェストミンスター寺院は、それ自体が、ゴシック建築の代表傑作と評される芸術作品。その寺院内に、新たに注目すべき現代アートが据え付けられた。イギリス教会とエリザベス女王のためにデザインされた、イギリス出身の現代アーティスト、デイヴィッド・ホックニーによるステンドグラスだ。


女王の治世を讃える作品としてホックニーが描いたのは、青や黄色、緑、ピンク、そして赤で彩られた、ホックニーらしさ満載のイギリスの田園風景。面白いのは、本作のためにこの81歳の画家が用いたツールが、「iPadだけ」という事実だ。ステンドグラスの真ん中には、イギリスの田舎を象徴する植物、サンザシの花が描かれている。ホックニーは、イギリスの『The Telegraph』紙の取材に対し、本作のコンセプトをこう語っている。


「作品の目的は、女王を祝すること。だから、イギリスの風景でもっとも祝賀的なモチーフは何かと考えたんだ。その結果、サンザシが花開く瞬間を思いついた。ほら、なんていうか、サンザシが、まるで田園地帯に降り注ぐシャンパンみたいに見えるだろう?」


「女王の窓」と題されたこの作品は、確かに、田舎に対する女王の無類の愛を象徴している。御年92歳にして、暇さえあればウィンザー城で乗馬を楽しみ、バルモラル城の広大な敷地で愛車のレンジローバーを乗り回す女王である。ウェストミンスター寺院のコメントによると、「この“窓”は、カントリーウーマンとしての女王と、田園風景に向けられた女王の悦びと思慕を表現している」そうだ。


どうやら、女王はまだ完成されたステンドグラスとの対面を果たしていないそうだが、制作の過程で、幾度となくホックニーのスケッチをチェックしたそうだ。


「気に入ってもらえるといいけどね。いや、女王はきっと気に入ると思うよ」


ホックニーは、もっとも最近、女王、あるいは、少なくとも女王のオーラを主題に作品を制作したアーティストの一人だ。彼以前には、女王の戴冠式などを撮影した写真家のセシル・ビートンや、90歳の誕生日に際して、女王と愛犬のコーギーのポートレートを撮ったアニー・リーボヴィッツがいる。もっと遡れば、イギリス人画家のルシアン・フロイド、イタリア出身の画家ピエトロ・アンニゴーニが女王のポートレートを描いているし、非公式には、アンディ・ウォーホルやジョージ・コンドなども女王をテーマに作品を創作している。


実のところホックニーは、過去にも女王を描く機会を与えられたが、そのときは丁重に辞退したそうだ。


「当時、僕は猛烈に忙しかったんだ。女王の国、イギリスをテーマに、たくさんの絵を描いていたからね!」


ロンドンに行く機会があれば、ぜひ多くの偉人が眠るウェストミンスター寺院で、稀代の現代アーティストによる最新作を見てみよう。

Text: Elise Taylor

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