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【医師監修】陣痛はなぜ痛い? 陣痛と出産の仕組みを解説します!【ママ女医HALの子育て日和 第2話】

  • 2018.9.24
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「陣痛」と一口に言いますが、なんのためにあるかご存知ですか? 今回は陣痛についてと出産がどうやって進んでいくかと一緒に考えていきましょう。



■陣痛とは、子宮の筋肉の収縮
陣痛とは、自分ではコントロールできない子宮の筋肉の収縮で、痛みのある陣痛発作と、収縮がおさまる陣痛間欠を繰り返す状態のことです。痛みがずっと続くわけではなく、「あいたたた……」と痛みが波のように押し寄せては、すーっとひいてしばらく平気な時があり、またしばらくすると波のように痛みが押し寄せる、というのを繰り返します。

さてこの陣痛、なんのためにあるのでしょう。
それは、「出産を進めるため」に欠かせないものだからです。

少し詳しく解説していきましょう。

■お産のはじまり~分娩第1期~



さて、いよいよお産が近づいてくると、陣痛が周期的にやってくるようになります。陣痛の周期が10分以内、もしくは1時間に6回以上の陣痛がやってくるようになったらお産の始まりです。
始まりの頃は、まだ痛みもあまり強くなく、陣痛発作も長くありません。下腹や腰が痛いと感じますが、我慢ができる程度です。長さも20〜30秒程度。

しかし、徐々に陣痛発作の時間が長くなり(60秒程度)、陣痛間欠も短く(2分程度)なってきます。
この時期の陣痛の働きで、赤ちゃんが出て来る子宮頸管はしっかりと伸ばされ、子宮口が徐々に開いていきます。赤ちゃんがいよいよ出て来るための準備が進むのです。

ちなみに、私が一番辛かったのがこの第1期の終わり頃。赤ちゃんが下に降りて来る刺激で、勝手にいきみそうになる反射が起きるのです。
「い、いきみたい……!」
このいきみ逃しが本当に辛かったのです。しかし、赤ちゃんの出口になる子宮口がしっかり開かないと、いかにいきんでも赤ちゃんは出てこれません。助産師さんや先生が「いきんでいいよ」と言ってくれるまで、いきむのはできる限り我慢です。
しかし我慢しようにも勝手にいきみそうになるのです……! うう、本当にきつかった……。
この分娩第1期は初産婦さんで12時間程度、経産婦さんで6時間程度です(個人差がありますよ)。

■いきんで赤ちゃんを産むよ~分娩第2期~
さあ、子宮口が全開大したら、分娩台に移動していよいよ赤ちゃんを産みます!(経産婦さんの場合は、もう少し準備をします)
ここまでくると、陣痛もさらに強く長くなります。この子宮収縮はなんのためにあるのでしょうか? それは赤ちゃんを外に出してあげるためです。しかし、陣痛だけでは赤ちゃんは出てきません、お母さんのいきみ(怒責)による「腹圧」も必要になってきます。
最初はどういきんでいいかわからないかもしれません、陣痛の波と一緒にいきみ、力をどちらにかければいいか、助産師さんの声をきいてください。大丈夫、やっているうちにできます。
呼吸法の練習も、ママさん学級などで教わると思いますので、前もって練習してみてくださいね。吐くことに意識を向けてあげてください。
この分娩第2期は、初産婦さんで1〜2時間程度、経産婦さんで30分~1時間程度かかります。
さあ、いよいよ赤ちゃんとご対面です!

■赤ちゃんを産んでも終わりじゃないよ~分娩第3期~
おめでとうございます、赤ちゃんが無事に産まれました!
しかし、まだ終わりではありません。まだ子宮の中には胎盤や臍帯(へそのお)などが残されています。陣痛もまだ終わりません。子宮が収縮する事で、これらの胎盤などを出すのです(とはいえ、分娩2期の陣痛とは比べ物にならない弱い陣痛ですので、余裕のある方も多いと思います)。
後産、という言い方もしますね。これが終われば、お産は終了です。お疲れ様でした…!

分娩第3期は20〜30分程度かかります。

後陣痛の話


出産が終わった後も、不規則に産褥期にお腹の張りや痛みを感じることがあるでしょう。これは後陣痛と呼ばれます。
これは、出産後の出血を止めたり、赤ちゃんを入れるために伸びた子宮を戻すためにあります。一般に、経産婦さんの方が強い傾向があります。


■まとめ



陣痛と一口に言いますが、実は出産のためにとても重要な働きをしていることがおわかりいただけたでしょうか。
痛い、きつい、もういやだ!
どんどん余裕がなくなるかもしれませんが、ちょっと今回の話を思い出してもらえたら、「今このあたりだから、ゴールはあの辺だ……!」と思えるかもしれません。
私も分娩第1期で、分娩室のベッドで一人唸りながら、どれだけ「もう、もう子宮口全開大してるんじゃないの……?! 誰か、内診に来て……!」と念じたことか……。いや、念じるだけじゃなくて、我慢できずにナースコール押しちゃいましたけどね…。

ゴールは必ずあります。
あなたが元気な赤ちゃんと会えることを、心からお祈りしています!

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この記事の著者


■相川晴(HAL)

内科医。研修中にうつ病を発症し、数年間の療養生活を経て復帰。病気の間支えてくれた医師の男性と結婚。某地方都市で夫、4歳の娘と暮らす。自身の出産・育児の日々をもとに、医学的なエビデンスを交えて女性の健康・育児情報などをブログやTwitter、連載コラムで発信中
https://twitter.com/halproject00


◆参考サイト
・杉野 法広. 研修医のための必須知識C.産科疾患の診断・治療・管理16.正常経腟分娩の管理,日本産婦人科学会雑誌, 2004, vol 56, no. 6, p112-118
・杉野 法広. 研修コーナーD.産科疾患の診断・治療・管理 3.分娩の生理・産褥の生理, 日本産婦人科学会雑誌, 2007, vol 59, no. 10,p637-638

(相川晴(HAL))

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