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伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡

  • 2018.9.22
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2018年9月21日(金)~24日(月)に、市内100か所以上の会場でクラフトを見る・買う・体験する・食べるイベント「高岡クラフト市場街」が開かれる富山県高岡市。江戸時代からつづく伝統的なものづくりの街から、新たなカルチャーを発信しつづけています。千本格子や蔵づくりの建物が並ぶ街を歩けば、工房、ショップ、カフェとそこかしこに、わくわくするような出会いがいっぱい。クラフトをテーマにそぞろ歩いてみましょう。

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡

高岡を代表する鋳物メーカー「能作」のファクトリーへ

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
実際の鋳造で使われる2500枚の鋳物の木型を展示したロビー。プロジェクションマッピングやカード形式のユニークな観光案内スペースも

鋳物とは、熱して溶かした金属を型に流し込んでつくる金属製品のこと。高岡は国の伝統的工芸品に指定されている「高岡銅器」など、約400年の歴史をもつ鋳物の街でもあるのです。

そんな高岡の旅でまず訪れたいのが、大正時代に創業した鋳物メーカー「能作」の本社です。近年は、伝統の技をベースに純度100パーセントの錫(すず)を使った美しいテーブルウェアを開発したり、社内外のクリエイターとコラボして新たな作品を次々と発表するなど、鋳物の世界を広げている同社。2017年にはものづくりの世界を体感できる新社屋をオープンし、話題を集めています。

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
富山県産を中心に15種類ほどの野菜を盛り込んだサラダをメインに、ベーグルが食べ放題となる「のべーぐる食べ放題セット」1500円(左)、新商品「双円」シリーズのお皿3240円~、地元の老舗菓子店とコラボしたお菓子「T5」5枚864円(右)

館内での最初のお楽しみはファクトリーショップ。「能作」のほぼすべての作品がラインナップされていて、ひとつずつ手にとって眺めることができます。その奥には、カフェ&レストラン、IMONO KITCHENも。ほとんどのメニューに「能作」が手がける錫のテーブルウェアが使われていて、窓の外に広がるガーデンを眺めながらクラフト感いっぱいのランチやスイーツが楽しめます。

ものづくりの世界を楽しむなら、さらなる体験も。こちらでは、迫力ある鋳造の工程など、プロの手しごとを間近で眺められる工場見学も実施中。約1時間、ツアー形式でめぐるもので、事前に予約して無料で楽しむことができます。また、館内にあるNOSAKU LABでは、高岡の伝統である生型鋳造の体験も可能。砂を使って型からつくるもので、錫のぐい呑みやトレーなど、オリジナルの鋳物作品が作れますよ。

見る・食べる・体験するとさまざまな切り口で高岡の伝統クラフトに気軽に親しめる「能作」。時間を少し多めにとって、ゆっくりと過ごしてみたいスポットです。

かわいい生活道具が並ぶ新しいセンスの荒物屋「大菅商店」

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ことりっぷ

次は、千本格子の町家や蔵づくりの商家が並ぶ高岡の中心部へと足を向けてみましょう。江戸時代初期に鋳物工房の開設とともに街づくりが始まった高岡の原点といえるエリアで、味わい深い街並みに今、新しいカフェやショップが生まれています。

その代表的な一軒がこちら。築110年ほどという歴史ある荒物屋さんの建物を丸ごと使って、“現代の荒物屋”をテーマに2016年にオープンしたショップです。販売のほか、地場の新たなプロダクトの提案や、県内外の作り手を紹介する企画展なども行なっているそう。

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写真奥より手編みのかご4104円~、高岡産のアルミボウル1512円~、高岡の伝統クラフトのひとつ越中福岡の菅笠づくりの技術を用いた釜敷き1998円~(左)、大小さまざまなブラシ類も豊富(右)

タイムスリップしたかのような店内に並ぶのは、全国の町工場や職人がつくる少し懐かしい日用品の数々。竹のざる、かご、トタンのちりとりなどのほか、昭和の台所にあったようなキッチンウェアも充実しています。

最高級の工芸品でもなく、大量生産の使い捨て品でもない、その中間にあるような素朴でかわいい生活道具は見ているだけで心がほっとなごむかのよう。インテリアとしてはもちろんですが、温故知新の便利グッズも多いので、スタッフに使い方を聞きながら、のんびりお気に入りを探してみて。

高岡クラフトのお皿を使う「COMMA, COFFEE STAND」

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日替わりのオープンサンドとサラダのランチ1180円(左)、地元養鶏所の新鮮な卵など富山の食材を使って毎朝焼き上げるシュークリーム350円、アイスコーヒー550円(右)

昔も今も高岡のにぎわいの中心、山町筋に建つ古民家カフェ。レトロな街並みと北陸道を眺めながらくつろげる一軒です。

ここでは料理をいただいたら、その器にも注目を。たとえば人気のシュークリームがのるのは、地元の老舗に別注をかけた国の伝統的工芸品「高岡漆器」のお皿。ランチにもアルベキ社の木製丸皿、北辰工業所のアルミ皿と高岡クラフトが用いられていて、クラフトの旅を盛り上げてくれそう。

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
手づくりのテーブルや古い家具が並ぶ店内

風情ある建物は、かつて呉服店があり、その後長く地元で愛されたベーカリーが入っていた歴史あるもの。古きよき時代の面影を残しながらリノベーションした空間は、それ自体がおしゃれで味わい深い作品のよう。

地元出身の女性バリスタが一杯ずつ淹れてくれるコーヒーを目当てに訪れる山町筋界隈のお客さんも多く、なごやかな雰囲気に、ついつい長居してしまいそうになりますよ。

図書室や図工室もあるセレクトショップ「はんぶんこ」

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
高岡の真ちゅうクラフトのひとつバードコール各2700円、「すずテト」1個486円(左)、富山の作家によるガラス器「牛乳瓶」3780円~(右)

山町筋にはクラフトのセレクトショップもあります。明治時代に建てられた金物屋さんの建物を使った「はんぶんこ」です。

店内には、高岡市内の工房でつくられる鋳物や漆器製品のほか、県内外の作家によるガラス器、陶器、和紙製品など、オーナーがよりすぐった品々がいっぱい。真ちゅうでつくられた鳥の形のねじをひねると、キュッキュッとひとつひとつ異なるかわいらしい音が響くバードコールや、お水やお酒に入れると錫の効果で味をまろやかにしてくれる波消しブロック形のオリジナル作品「すずテト」など、ユニークな一品にも出会えますよ。

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
明治時代建築の蔵を使った「図書室」。おさんぽ途中の休憩にも

「はんぶんこ」では、ショップの隣の部屋を「図工室」、奥に建つ蔵部分を有料の「図書室」として開放しています。「図工室」では要予約で高岡鋳物の鋳造体験ができるほか、「図書室」は1ドリンク付きでWi-Fiと電源が使えるので、散策途中に立ち寄ってここでのんびりするのもよさそう。

話題の工房が2018年4月に開いた「Orii gallery 八ノ蔵」

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
プロダクトデザイナーと共同開発した全6色のtoneシリーズから「bucket」8640円~(奥の2つ)、シェラカップ(手前、参考商品)

高岡の新たなシンボルとして2017年にオープンした「山町ヴァレー」。山町筋のメインストリートに面したレトロな洋館と、その奥に広がる中庭に面した6つの蔵に飲食店や雑貨店など8つのショップが集まる複合施設です。

2018年4月にその一角に誕生したのがこちら。金属の着色技法で全国的な評価を集める高岡市内の工房「モメンタムファクトリー・Orii」が初めて開いた直営のギャラリーショップです。

伝統に新しい息吹を吹き込む北陸クラフトの街・高岡
アクセサリーや小物もそろう店内(左)、コースター2枚組3024円、置き時計4104円など(右)

Oriiが手がける着色技法は、金属に米ぬかや大根おろしなど自然の原料を塗って焼成し、表面に変色を施すというもの。深い色合いと、ひとつとして同じものがない柄が特徴です。

その作品はシリーズごとに多彩なアイテムがあり、それぞれ多色展開しているのですが、こちらにはほぼ全てのラインナップがそろっているのもうれしいところ。Oriiブルーと呼ばれるオリジナルの青色の色彩表現や、厚さ1ミリにも満たない薄い金属への加工法など、高い技術から生まれる独特の作品世界に浸ってみましょう。

また、店内では米ぬかを使った銅のコースターやトレーの着色体験も楽しめますよ。

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