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山田孝之&菅田将暉「dele」に漂う”怖さ”のウラガワ『“消す”という行為の裏には、蓋をされてしまう“真実”がある』

  • 2018.9.13
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山田孝之と菅田将暉がバディを組み、デジタル遺品にまつわる人間ドラマをひもといていく金曜ナイトドラマ「dele」(毎週金曜夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)。

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第7話の依頼人・笹本隆(西ヶ谷帆澄)が自殺するところから始まった第7話
(C)テレビ朝日

勧善懲悪の色合いが強かった第6話から一転、9月6日放送の第7話は、最後まで真犯人が明かされない展開で、視聴者をざわつかせた。

“消す”ことを生業にする「dele.LIFE」で働きながら“消す”ことへの違和感が大きくなっていく真柴祐太郎(菅田)にもスポットが当たった7話。山田兼司プロデューサー、常廣丈太監督らに作品づくりのウラガワを聞く集中連載の第7回では、作品の底に流れる“消す”というテーマのウラガワに迫る。

不正や不倫、暴力…まん延する“裏の顔”

“消すこと”と“暴くこと”はウラ返しの関係にあるのかもしれない
(C)テレビ朝日

「dele」は、プログラマー・坂上圭司(山田)と何でも屋・真柴祐太郎が、クライアントのデジタル遺品を整理する中で巻き起こる人間ドラマ。

ベストセラー作家・本多孝好氏が原案を担当し、各話ごとに金城一紀氏、渡辺雄介氏など、多くの話題作を手掛けてきた脚本家が名を連ねることでも注目を集めている。

第7話の依頼人・笹本隆(西ヶ谷帆澄)が自殺する。隆の父親は、8年前のジュース毒物混入事件で4人を殺害した罪で死刑が確定している笹本清一死刑囚(塚本晋也)だった。

姉で弁護士の舞(麻生久美子)に促され、圭司はしぶしぶデータを確認。遺されたファイルは、笹本清一の疑いを晴らす可能性のある動画データだった。真相を知るため調査を進めるうち、街に暮らす人々から不正や不倫、暴力、ドラッグなど、犯行動機となり得る“裏の顔”が次々と浮上する…という展開だった。

視聴者からは「今回もすごい終わり方だったな…」「人間の闇がこれでもかと描かれてゾクゾクした」「気持ちいいくらい突き抜けた“気持ち悪さ”があった」といった声が上がっている。

祐太郎(菅田将暉)には命の危機とも言っていい場面が
(C)テレビ朝日

日本の社会状況がモチーフに…ストーリーのウラガワ

そんな7話は、日々起こるさまざまな事件に反映される今の日本の社会状況をモチーフにしているという。

脚本を担当したのは、徳永富彦氏。ドラマ「相棒」シリーズや「刑事7人」、「特捜9」(全てテレビ朝日系)にも名を連ねる実力派で、社会問題を内包した物語展開を得意とする。

山田Pは「『dele』の良さは、いろんな物語を内包できる可能性を持っているところです。その中で一つ、テレビドラマとして制作する上でやっておきたかったことが、今の日本の社会状況をモチーフにしつつ、そこに『dele』ならではの見方を採り入れてエンターテインメントにできないか、ということだったんです」と明かす。

もちろん設定や結末はフィクションだが、“現実にあるかもしれない事件”を描くことで、「誰もが犯人たり得る」というエンディングが説得力を持って迫ってくる。

“消すこと”の怖さに向き合った回

そしてもう一つ、7話のテーマになっているのが“消す”という行為の怖さだ。

「暴き始めれば、いろんなものが壊れていく。だから俺はいつも中を見ずに削除してきた。責任が取れないからだ」という圭司に、祐太郎は「俺だって責任取れない。暴くのは怖いよ。でもさ…消すことだって、同じくらい恐ろしいことなんじゃないの」と応える――。“消すこと”に対する2人の立場は明確だ。

そもそも「dele」とは“消す”を意味する校正用語だという。ドラマそのものの本質に大きく迫った7話について、常廣丈太監督は「見せないようにしていたものが見えてしまった。そのことによって何が生じるか、ということを描いた回です」と語り、山田Pは「彼らが生業にしている“消す”という行為の裏には、ふたをされてしまう“真実”がある。彼らの仕事そのものに内在する本質的な怖さ…そういうものが吹き上がる、そんな回を目指しました」と振り返る。

「dele.LIFE」を立ち上げ、粛々と“消す”作業を続けてきた圭司。一方、祐太郎の中では、真実がふたをされたまま葬り去られることへの違和感が大きくなっていく。

その違和感が、ドラマを前に進める原動力だ。7話でも、祐太郎は毒物混入事件があった街に赴き、次々とウソの身元をかたってフットワーク軽く調査を進めていく。

フットワークの軽さが身上!祐太郎のウラガワ

祐太郎の“なりすまし調査”は、毎回の見どころの一つだ。祐太郎は、全く構えたところのない風貌で、朗らかな人柄だけを武器に相手の懐に入り込んでいく。

そんな祐太郎のビジュアルについて、原作では特に指定はない。映像化するに当たり、ドラマオリジナルで祐太郎ならではの人懐こさを演出する工夫が施された。

まずは、顔。祐太郎にはそばかすがあるが、これはメークで描かれたものだ。常廣監督は「毎回ウソをついて、相手の懐に入っていく。その時に、なるべく警戒させないためにはどうすればいいか、と考えました。例えばそばかすなんかがあった方が、壁が低くなるんじゃないかと。これはメイクの酒井啓介さんの発案です。

やってみたらすごく似合うし、いい人に見えるんですね。ご本人も気に入ってくださっているし、仕上がりも本物にしか見えなくて『菅田くんってメイクを落とすとそばかすがあるんだ』って言っている人もいるくらいです。“その辺のお兄ちゃん”然とした育ち感が出てきて、そばかすはすごく良かったですね」と明かす。

衣装にも、壁を作らない祐太郎らしさが凝らされている。衣装を担当する本田博仁氏はこう話す。「死亡確認を取るということは、依頼者のテリトリーに入っていくことです。

怪しまれないような恰好で行くのが普通だけれど、祐太郎の場合は前もって考えるのではなく、その場で機転を利かせて乗り越えていくような性格の持ち主。なので、洋服も“その場の感覚で着ちゃっている”という感覚でリンクさせていこうと」

そんな方針で、猫のように人懐こいドラマ版「dele」の祐太郎は出来上がっていった。

ちなみに、そんな祐太郎が持つiPhone5は、飼い猫・タマさんの写真でいっぱいだ。猫好きな一面も、相手の懐にするりと入っていく祐太郎のイメージづくりに一役買っている。

第7話エンディングのウラガワ

第7話のラストには、現場でちょっとした変更が加えられたという。

オンエアされたエンディングはこうだ。街の人々の汚い部分を知った祐太郎は「言っていい?…すっげぇ気持ち悪い」と吐き捨て事務所を出ていく。エレベーターに乗り込み、自分と妹、両親が写った家族写真を見て――ドアが閉まる。

常廣監督は明かす。「実は、脚本ではこのとき祐太郎はある一言を言っていたのですが、山田プロデューサーと相談して、これを言うのはやめよう、言わずにただ黙って写真を見て、エレベーターのドアがバンと閉まる、というラストにしようということにしました」

カットされたセリフは、ドラマの核心に関わるものだった。最終話では、言われなかったその“言葉の続き”を1時間かけて描いていく。

山田Pは7話を「最終話に向けてこの2人が動き出す大きな“ジャンプボード”」と表現する。14日に放送される最終話では、祐太郎と圭司の過去も明らかになっていく。

“消すこと”と“暴くこと”はウラ返しの関係にある。正反対の思いを持つ圭司と祐太郎、2人とっての結論は、果たしてどんな形で訪れるのだろうか。(ザテレビジョン)

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