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チェコ人に教わる「何もしない」ことを楽しむバカンス【いろどりのチェコ vol.11】

  • 2018.9.4
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チェコの街で見る、夏の風景

 

チェコの人々は7〜8月の2ヶ月のあいだ、好きなタイミングで2週間ほどバカンスを取る。


個人商店はシャッターに休暇の張り紙をし、会社勤めの場合はその間担当の仕事が止まる。夏の間は多少の不便も諦めるしかないというのが共通認識。

 

私の暮らす小さな街は元々のんびりしているが、夏の2ヶ月間はさらにのんびりとした雰囲気が流れる。それぞれの夏休みは短くとも常に誰かが休んでいるので、街には「休暇中と思しき人」と「普段通りの日常を送っている人」が入り乱れているのだ。

 

私の街で見かける 「休暇中と思しき人」は、都会から田舎の森や湖の自然を楽しみにやって来た人。バックパックを背負った若者、キャンピングカーに自転車を乗せた家族連れ。いつもとは道ゆく人も顔ぶれが違う。


この街に休暇で来る人がいるのなら、ここに住んでいる人はどこへ行くのか?


人気の旅行先はイタリアやクロアチア。理由はひとつ。

海があるから!(チェコには海が無い。)

 

チェコから南下すると最初に突き当たる海はイタリアかクロアチア。国外旅行とはいえ陸続きなので隣の県に行くように車で国境を超えられる。7月に入ると南へ向かう高速道路が渋滞するらしい。

 

 

 

宿題が無い!?子どもたちの夏休み

 

子供たちは7月と8月の丸々2ヶ月が夏休み!しかも、なんと宿題は一切無し!
部活という物も存在しないので、思いっきりダラダラしてゲーム三昧の日々を送ろうが(親以外には)誰にも文句は言われない。なんとも羨ましい。

 

とはいえ、子供の夏休み2ヶ月に対して、親の休みは2週間。ずっと子どもの世話をしているわけにもいかないので、実際は毎日グータラというわけにもいかず、地域のクラブ活動や合宿に参加したり、祖父母の家に滞在したりする子が多いらしい。

 

それにしたって、塾や部活で大忙しの日本の子供たちに比べるとなんと自由な夏休みだろうか。9月に始まる新学期に備えて思う存分自分のやりたいことに時間を費やせるのだから。

 

 

 

何もしないという贅沢

子ども達も夏休みの過ごし方も羨ましいが、大人のそれも日本とは根本的に違う。バカンス中は「何もしない」ことが最重要目的。

 

例えば、遥々イタリアやクロアチアへ旅行したとして、現地へ到着しても特に何もしない。ビーチに寝転がって、本を読みながら日焼けを楽しみ(女性でも少し焼けているくらいがかっこいい)、涼しい時間になったら辺りを散歩し、日没時間が遅いため夕暮れ時がずっと続いているかのような夏の夜をシンプルなディナーとワインで過ごす。

 

欧州人のこういうバカンスの過ごし方を聞くと嫉妬してしまう。私だったら、もし2週間の休みがあったらきっと予定を詰め込んでしまうだろうから。
ゆっくり心も体も休めてこそ本当の「休み」だというのは頭では理解できるものの、日本人にとってせっかくの休暇を「何もしないこと」に費やすのはなかなか勇気がいるのではないだろうか。

 

 

 

そして、夏の終わり。

 

我が家はというと、夏休みを利用して日本へ一時帰国をしたので、ビーチで過ごすようなバカンスは無し。その代わりに日本人らしく予定いっぱいで慌ただしくも充実した日々を日本で過ごした。

 

灼熱の日本から戻ってくると、公園がすでに半分黄色く染まっていた。風にはすっかり秋の気配を感じる。


 

文・写真:Noriko Naniwa
Blog:http://www.howtobeczech.com/
Instagram:https://www.instagram.com/nrkn/

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