1. トップ
  2. 【GLAMなオトコ】Vol.18『きらきら眼鏡』出演で安藤政信が感じたこと。「体や感情が動く限り、いろんな作品に出会いたい!」

【GLAMなオトコ】Vol.18『きらきら眼鏡』出演で安藤政信が感じたこと。「体や感情が動く限り、いろんな作品に出会いたい!」

  • 2018.9.3
  • 2695 views
安藤政信01

映画『キッズ・リターン』(1996)で俳優デビューして以来、さまざまな作品で映画ファンを魅了してきた安藤政信。イメージにとらわれない多種多様な役柄を演じることで、日本映画界に刺激を与え続けてきました。鮮烈なデビューから20年以上の時が過ぎ、40代になった俳優・安藤政信はさらなる輝きを見せています。

今回のインタビューでは、ドラマ『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~』撮影後に参加した映画『きらきら眼鏡』(9月7日公開)で演じた主人公の恋人・裕二役について、役作りや作品への取り組み方を中心にお話を伺いました。

演技は進化し続けながらも、芯となる部分はいい意味で変わらぬまま。安藤政信がGLAM(魅力的・幸せ、キラキラしている)な存在であり続ける理由にも迫ってみました。

(C)森沢明夫/双葉社 (C)2018「きらきら眼鏡」製作委員会

Q.ドラマ『コード・ブルー』の出演後に本作の撮影に参加されたと伺っています。命を救う側から、救われる側へ役作りをするうえで、特に意識したことや取り組んだことはありますか?

健康的に生きていた医者から末期のガン患者という役にはなったけれど、切り替えというよりは、命に対して向き合う時間がずっと続いているという感覚でした。役を演じるうえで、余命宣告を受けた時の気持ちや様子について、実際に余命宣告された人にお話を伺ったりしました。

痛み苦しむシーンについては、どの程度の痛みなのかを『コード・ブルー』で知り合った医者に訊いたりもしましたね。痛みの様子を聞いたままで表現すると映画としてはどうなのかなど、考えました。観た人に通じない部分があれば、芝居としての表現を考えたり組み立てたりしましたね。

Q.「まさに理想通りの裕二さんだった」と犬童一利監督がおっしゃっていました。監督から裕二を演じるうえで具体的なリクエストはありましたか?

具体的というよりは、「どう撮りたい」「どういう感情の流れを撮りたい」とう感じでしたね。

自分のシーンはベッドの上がほとんどで、その限られたシーンの中で感情のグラデーションを出して、命が消えて行くのかを表現しなければ自分にオファーが来た意味がないと思って。感情の流れを自分がどう汲みとって、監督が欲しいものにしていくかということを意識しました。

Q.今は、日焼けしていてたくましい体つきなので裕二とのギャップがかなりありますが……、次回作の役作りですか? 作品中では、ゲッソリとした姿でしたが、かなり減量もされたのでしょうか?

これは、役作りではなく単なる公園焼けです(笑)。昨日も子供と一日中公園で遊んでいたので。この時期、日焼けは避けられないですよね。

減量は、6キロくらいかな。撮影の2週間前まで『コード・ブルー』だったので、徐々に削いでいって、撮影終了後に一気に食事制限をして、アルコールも絶ってという感じです。鍛えながら減らすことはできない役どころだから、食事制限しかないですよね。

Q.空を見上げるシーンがとても印象的な作品でした。晴れた日、曇りの日、そして夜。裕二も病院の窓から外を見るシーンがありますが、安藤さんの好きな空はどんな空ですか? フォトグラファーとしても活躍されていますが、空の写真を撮ることはありますか?

空って感情的だなって思います。ちょうど娘が生まれたときにも空を撮りました。藍色の空で綺麗だったのをすごく覚えています。名前もそのときの空にちなんでつけました。

人って、何かあるときに空を見て、感情を振り返るんだなと思いましたね。青い空も好きだけど、夕日のグラデーションもすごく好きだし。紫っぽい感じの空の色も好きです。すごい好きだな、空。

Q.フォトグラファー目線ですね。カメラをやる前から、空を見るのは好きでしたか?

小学生の頃は、夕日を見るのが切なかったという思い出があります。両親が働いていたので、弟と二人で留守番をしていたので。

(C)森沢明夫/双葉社 (C)2018「きらきら眼鏡」製作委員会

Q.いろいろな空の思い出があるんですね。素敵なお話、ありがとうございます。本作の中で、「古本は出会い。誰かの大切なものになっていくっていいよね」というあかねのセリフがあります。安藤さんの人生観や考え方に影響を与えた“出会い”について教えてください。

いっぱいあるけれど、やっぱり『キッズ・リターン』での(北野)武さんとの出会いは劇的だったと思います。

Q.私たちにとっても衝撃でした!!

そうですよね。あとは、竹中(直人)さんかな。事務所も入らずになんとなくフラフラしているときに、竹中さんが声をかけてくれて。それがきっかけで、また映画界に帰って来て、今ここにいるというのも、出会いから始まったことだなと。いいタイミングで、いつも人に助けられて何かを与えてもらっている感覚は、この歳になってもしょっちゅうありますね。

Q.安藤さんの魅力が引き寄せのパワーを生み出しているのだと思います。

自分は本当にツイてるなと思います。何かあっても誰かから声をかけてもらうことが多くて。インスタにダイレクトでオファーのメッセージとか来ることもあるし(笑)。いろんな人が紹介などで繋いでくれる感じはありますね。

Q.安藤さんのキャラクターをわかっている方が、 繋いでくださる感じですね。それが、安藤さんが“変わらない”魅力をキープしている要素ではないでしょうか。本人は変わらず、周りが動いてくれるという感じで。変わらないまま、いい歳のとり方をしているなという印象です。

ずっと僕の成長録を見てきて、“思い入れがある”っていう人が多いんです。この前も、CHARAに20年ぶりに会ったのに「相変わらず、可愛い顔してるよね」って言われました。若返ってるともよく言われるけれど、ちゃんと苦労もしているんですよ。苦労しないで、世間知らずのまま生きてきたわけではないので(笑)。

いろいろな感情、環境の変化の中を生きて、ふてくされずにそれを優しさに変えていったんじゃないかな、多分。って、『きらきら眼鏡』っぽくまとまったかな。

Q.あかねの幸せを願いつつも、生きること、そしてあかねへの想いを爆発させる裕二のシーンがあります。もし、裕二のように愛する人を置いて旅立つという現実に直面したら、残された恋人に、どのように生きて欲しいと思いますか?

働き盛りのときに末期宣告をされた人にお話を伺ったのですが、ちょうど子供ができたばかりという状況は、自分とダブってしまいました。「もし、自分がその立場になったら」というのは考えますよね。そういう状況になっていないから、役者ができているわけで、「体が動いて、感情が動き続けるなら、もっといろんな作品に出会ってやろう!」って思いました。

と同時に自分がもし死ぬとわかったら……、恋人には好きな人を探して幸せになって欲しいと思います。ずっと自分を思い続ける必要はないし、その気持ちを相手にもきちんと伝えると思います。

Q.本作は、市民参加型の映画で「地域×映画」の新しいモデルと言われています。病室でのシーンが多かったので、あまり印象がないかもしれませんが、「船橋感」というか「地域が参加している」と感じた部分はありますか。

『コード・ブルー』もずっと千葉で撮影していました。めちゃくちゃ遠い撮影現場で、通うのが大変でしたね。病院だけでなく、バーのシーンも千葉で撮影でしたから。今回の撮影現場は船橋だと聞いて、『スマグラー』(2011)も木更津だったし、縁があるなと思っていました。ベッドの上ではあったけれど、電車が通る様子とかを眺めながら千葉を感じていましたね。

安藤政信02

Q.普段見過ごしてしまうようなものや感謝に気づかせてくれ、世界を輝かせてくれる「きらきら眼鏡」。安藤さんは普段、「きらきら眼鏡」をかけていますか?

そうですね。つけていないという感覚はないですね。ちゃんと人を愛しているし。仕事相手の思いをちゃんと受け入れているし。尊敬、敬意もきちんと示していると思います。

Q.今後演じてみたい役柄などはありますか?

今は、本当に「こういう役柄をやりたい!」というよりは、自分に来た仕事を受け入れて、それをやっていきながら、経験を重ねていきたいと思っています。

Q.安藤さんにとって、“GLAM(魅力的・幸せ、キラキラしている)”な瞬間とはどんなものか教えてください。

家族はもちろんすごく大切です。でも、やっぱり仕事の現場でいろいろな才能に出会って、影響を受けることは、キラキラする瞬間だなと思います。

『コード・ブルー』なら(山下)智久とか。飲みに行って話すこともよくあるけれど、いい刺激になります。あとは、役者としてもずっと尊敬している竹中さんと飲んでいるときには幸せを感じますね。

Q.ありがとうございました。またいろいろな安藤さんを作品で拝見するのを楽しみにしています。すごく期待しています。

「もっと頑張ろう」とか「やる気がある」って言いながら2年とか休んじゃったりするからね(笑)。

【プロフィール】
安藤政信/1975年5月19日生まれ。神奈川県出身。1996年、北野武監督作『キッズ・リターン』で俳優デビュー。日本アカデミー賞をはじめとする同年の映画賞新人賞を総なめにし、一躍注目を浴びる。その後、『バトルロワイヤル』(2000)『サトラレ』(2001)『亡国のイージス』(2005)など、数々の映画・テレビに出演し圧倒的な存在感を放ってきた。活動をアジア圏に移すと、2009年にはチェン・カイコー監督作『花の生涯〜梅蘭芳〜』で海外進出を果たす。近年は、俳優のみならず、フォトグラファーとしても活動。その多才ぶりを発揮している。2018年は本作以外に『スティルライフオブメモリーズ』『劇場版 コード・ブルー ドクターヘリ救急救命』が公開されている。

『きらきら眼鏡』
9月7日(金)TOHOシネマズ ららぽーと船橋先行公開
9月15日(土)有楽町スバル座
9月29日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:犬童一利
脚本:守口悠介
原作:森沢明夫「きらきら眼鏡」(双葉文庫)
出演:金井浩人、池脇千鶴、古畑星夏、杉野遥亮、片山萌美、志田彩良、安藤政信
配給:S・D・P
公式サイト

Photographer/ Masakazu Sugino Writer/ Shinobu Tanaka

元記事で読む
次の記事
の記事をもっとみる