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【医師監修】子どもの便秘「良いうんち・悪いうんち」あなたの子どもは大丈夫?

  • 2018.8.25
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テレビなどで活躍中の医学博士・松生恒夫先生が、新刊「子どもの便秘は今すぐなおせ」(主婦の友社)を発売。松生先生は、院長を務める大腸専門のクリニックで子どもの便秘相談が増えていることを受け、子どもの便秘についての本を執筆されました。

本の中では、子どもが便秘ぎみになったとき、ママが生活の中でできる食事療法などを紹介しています。気になる子どもの便秘の解消法について松生先生にうかがいました。

お話をうかがったのは…
松生クリニック院長 松生恒夫(まついけ つねお)先生
医学博士。大腸内視鏡検査や生活習慣病としての大腸疾患等を専門とする。30年間で4万人の腸を見てきた腸のエキスパート。なるべく薬に頼らない便秘解消のための食生活指導などを行っている。新刊に「子どもの便秘は今すぐなおせ」(主婦の友社)がある。

■子どもの便秘が増えている!? 便秘かどうかを簡単チェック

子どもは便秘が習慣化していても、なかなか自分の言葉ではそれを伝えられないもの。それだけに、子どもが小さいうちはママパパがわが子の「うんち事情」をある程度、把握しておく必要がありますね。

そこで、子どもの便秘相談が増えていることを受けて、松生先生は次のような「子どもの便秘チェックシート」を考案。「もしかしたら、うちの子、便秘ぎみ?」と思ったら、以下のチェック項目に当てはまるかどうか考えてみましょう。



チェックした項目が多ければ多いほど、慢性的な便秘である可能性が高まります。便秘は重大な病気が原因である可能性もあるので、1つでもチェックがついたら、危険な便秘かどうか確認する必要があるでしょう。

■赤ちゃんの便秘「離乳食が始まるまでは、親が注意深く観察・発見」

新生児から生後6カ月ごろまで(離乳食を始めるまで)、子どもの排便には100パーセント、親の管理が必要。赤ちゃん自身にいきむ力はなく、うんちは腸の反射的な動きで排出されます。オムツ替えをするときに、うんちの色がおかしくないか、うんちに血がついていないかなどをチェックするといいそうです。

「赤ちゃんのうんちの管理は、正直とても難しい。まだ話せないのでどういう状態かも教えてくれません。『便秘かな?』と思ったら、肛門を綿棒でそっと刺激するのが有効です。またはワセリンを肛門の入り口に塗って『うんちは怖くないよ』と教えるのもいいですね」(松生先生)



もし、4日以上うんちが出ないときは要注意。その場合や血便が出たときなどは自己判断せず、すぐに病院へ連れていきましょう。




■子どもの便秘「3歳までに快便習慣を」毎日の“うんちの記録”がおすすめ

離乳食をスタートすると、腸内環境が変わり、一時的に便秘になる子も。しかし、1歳になると、大脳が発達して「便意」を感じられるようにななり、「ママ、うんち」としたいときを教えてくれる子も多くなってきます。

ただ、大人と同じ食事(普通食)に近づくにつれ、うんちは固くなるもの。排便の痛みによって「うんちはこわい」というネガティブなイメージが子どもにすり込まれてしまうこともあります。



「オムツが取れたとしても、まだまだ大人の手助けが必要な時期。やはり多くの家庭でママは司令塔ですから、便秘にならないためにも、食事に気をつけたり、書籍に収録した『うんち日記』のような記録をつけたりすることが大事です。記録をしておかないと、いざ便秘になったとき、何日前からうんちが出ていないのか、わからないですからね。

私のクリニックには、20歳過ぎてから便秘で困ってかけ込んでくる患者さんが多いんですよ。聞くとたいてい、もの心ついたころから便秘体質だったといいます。便秘にならないため、子どものころに親御さんができることはあると思いますよ」(松生先生)

■子どもの便秘「良いうんちVS悪いうんち」排便で腸内環境を知る

では、子どもの「良いうんち」「悪いうんち」とはどんなものなのでしょうか? 「子どもの便秘は今すぐなおせ」の一部をここで紹介いたします。



理想的なうんちは、においの少ない、黄色いなめらかなうんち。かたすぎず、スルリと出てくるバナナ状の便が望ましいそうです。

逆に要注意のうんちは、においが気になる、黒いカチカチうんち。悪臭がして思わず鼻をつまんでしまうようなうんちや、ウサギのフンのようなコロコロしたかたいうんちはNGです。

子どもが成長するにつれ、ついつい出したうんちはチェックしなくなるものですが、便秘体質にさせないためにも、ママがトイレで確認する習慣をつけましょう。




■猛暑が便秘を引き起こす?「大人も子どもも“大腸が砂漠化”!」



記録的な猛暑日が続くこの夏。松生先生にはぜひ子どもを持つママに警告したいことがあるそうです。それは“大腸の砂漠化”。この暑さのせいで本来、水分が多くあるべき大腸がまるで砂漠のように乾燥してしまっているといいます。

「この7月は、クリニックの外来で例年の1.2倍の薬を処方しました。毎日、気温35度を超えるような暑さですし、10度以上の寒暖差がある日もあって、大腸が温度変化についていけず、便秘や下痢になる人が増えているのです。大人も子どももたいへんですね。

小さいお子さんを持つママ自身も、暑い中、子どもを遊ばせるために屋外へ出て、干からびているのでは。特に便秘で困っている人が増えています」(松生先生)

どうして、大腸内の水分が減ってしまうのでしょうか?

「実は、水や飲料の水分のほとんどは、小腸で吸収されてしまいます。そのため、大腸には水分を多く含む消化物(食べ物)を送り込むことが必要で、その中は泥状の食物残渣(しょくもつざんさ)で多く占められています。

しかし、暑さのせいで食物摂取量や食物繊維摂取量が少なくなったり、発汗量が多くなったりすると、その残渣の量が減少し、大腸内の水分量が減るんです。泥状の残渣は水分が少ないと固形化しやすく、排出しにくくなるわけです。干からびた食物残渣が腸内に蓄積したようなイメージです」(松生先生)

簡単に言えば、大腸が水分不足になるので、うんちが固くなってしまうということ。まさに砂漠化で、その原因としては「発汗量の増加」「食事量の低下」があげられるのです。夏バテで食欲がない子どもも多いですが、それが便秘の原因になっているかも? 夏にはよくあることですが、あまり軽く見ないほうがいいでしょう。

「放置すると、干からびたような薄い食物残渣がひとつに固まらず腸内に貯留するような状況になり、腸の蠕動運動が低下。腹部にガスがたまりやすくなって、腹部膨満感や排便障害、便秘などが起こりやすくなってきます」(松生先生)

暑い時期、子どもが「うんちが出ない」と言ったり、おなかに違和感を覚えている様子があったら「砂漠化」に注意! 病院で診てもらうことを視野に入れ、家庭内でも食事でできる改善策を考えてみましょう。

子どもの便秘が続く場合、要注意のうんちが出た場合などは、まずは食生活から見直してみましょう。次回は、ふだんから便秘予防として実践したい食事法をご紹介します。

参考図書:
「子どもの便秘は今すぐなおせ」
(主婦の友社)
松生 恒夫著 1,200円(税別)

(小田慶子)

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