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モードな植物哲学。-夏バテした体に“効く”プランツを食して。

  • 2018.8.24
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モードな植物哲学。-夏バテした体に“効く”プランツを食して。
2018.08.24 17:15
ここ数年、美容の分野でコスメの成分としてスポットライトが当たることが多い “植物”に着目。モデルのノーマ(NOMA)さんとともにエキスパートを訪ね、植物の知られざるパワーを解明する連載第7回目。


猛暑を超えて酷暑とも言われた今年の夏。室温と外気温の温度さによるだるさや眠りの浅さなど、積もり積もった疲労に悩まされる人も多いのでは? 消化器系の疲れから脳の疲れにも効く最新成分まで、すぐに取り入れたい夏疲れ対策を伝授。ナチュラルクリニック代々木の野本裕子院長に、栄養療法の観点から「食」としての植物について話を聞いた。

体を温め消化器系の疲れも緩和する「ショウガ」。


「夏の終わりは胃腸など消化系の疲れに悩む人が多いですね。そのせいで風邪を引いたり下痢をしたり。あるいは夏バテの原因にもなります」と、ナチュラルクリニック代々木院長の野本裕子先生。そんな内臓からくる夏バテの特効薬となるプランツは、日本人の食卓に馴染みのあるショウガやミョウガ!


「私も夏はショウガをすりおろして、レモンや亜麻仁オイルと混ぜてドレッシングに使うことが多いです」(ノーマさん)


「良いアイディアですね。食事の30分ほど前に、ショウガをスライスしたものにレモンを岩塩をかけて食べるのもおすすめです。消化力が上がります」(野本先生)


消化力に加えて、ショウガといえば体を温める効果で知られている。クーラーなどで冷え切った胃腸を温めるためにも、夏場のショウガは欠かせない。ショウガを温めたり乾燥させるとショウガオールという辛み成分が発生し、体を芯からポカポカに。一方、生だとジンゲロールという辛み成分が発生し、高い殺菌効果が体を温めることが目的なら、乾燥したショウガパウダーを使ったりショウガを加熱していただくのが正解。


「白湯とか水にショウガパウダーを入れてみるなどすると、手軽に取り入れられると思います」と、野本先生のアドバイス。


「胃腸に負担をかけずに体を冷やしてくれるものはありますか?」(ノーマさん)


「コリアンダーです。こちらもショウガと同様に、白湯や水に入れると手軽に楽しめます」(野本先生)


「コリアンダーは一生食べられるくらい大好き!(笑) それからミョウガも夏になると体が欲している気がします。殺菌効果が良く知られていますが、他にどんな効果があるのでしょうか?」(ノーマさん)


「香りで食欲を増進させますし、ミネラルの一種であるマンガンが豊富で抗酸化作用もあります」(野本先生)

免疫力を上げ風邪を予防する「オリーブリーフ」。


夏風邪予防として野本先生が大推薦するのが、オリーブリーフ。


「面白いですね! オリーブオイルやオリーブの実は当たり前にいただいていますが、オリーブリーフを食としていただくのは、あまり聞かない気がします」(ノーマさん)


「確かに日本ではまだあまりポピュラーではないのですが、地中海沿岸では古代より薬として使われてきた歴史があり、天然の抗生剤とも言われています。お茶やサプリメントなどで摂るのがおすすめです」(野本先生)


地中海の国々や南米のチリ、ペルー、オーストラリアなどで主に栽培されているオリーブ。その葉から抽出されたエキスにはオレウロペインというポリフェノールの一種である成分があり、強力な抗酸化作用があるとされている。オリーブリーフが医療に使われ始めたのは古代エジプトの時代で、ミイラを作る際に利用されたとも。


「現在ではAIDSの免疫改善の薬の成分に使われるほど、ウイルス抵抗性に強い効果を発揮します。その他、シミの予防にも、免疫力を上げる薬の成分として効果も。風邪をひいたときや花粉症がひどいときの対策として、インフルエンザの予防にもおすすめです。夏の疲れが溜まっている今は、毎日毎日健康維持のために摂っても良いと思います」(野本先生)


「調子が悪くなくても常用するのは良いのですか?」(ノーマさん)


「はい。ただ元気なら、3ヶ月くらい続けて飲んだら、1〜2週間ほど間をあけてみてください。そのほうが効果がわかりやすいです」(野本先生)

胃腸機能を整え口臭予防にもなる「クマザサ」。


「夏に不足しがちな栄養素についても教えてください」(ノーマさん)


「汗を欠くので鉄やカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルは不足しがちです。意識して摂ったほうがいいですね。その点で私が最近注目しているプランツはクマザサです」(野本先生)


「そういえば貧血の友人がクマザサのサプリメントを飲んでいました」(ノーマさん)


「鉄のサプリメントは胃腸に負担がかかるので使いづらいのですが、クマザサなら胃腸の機能もあわせて整えてくれるので安心。すぐれた抗菌作用で口臭予防にもいいんですよ」(野本先生)


中国・明の時代の『本草網目』という書物にも記載があり、日本でも古くから煎じて飲むなど民間薬として使われてきたクマザサ。鉄などのミネラルに加えて、体の中から余分なものを排出する葉緑素やポリフェノールの一種で抗酸化作用の高いフラボノイドなどが含まれている。防腐作用や殺菌効果も高く、日本では昔、おにぎりが痛まないように包むのにも使われていたことも。

脳の神経系に効果を発揮する「大豆レシチン」。


「最近、周りに胃腸トラブルに苦しむ人が多いです。夏の疲れもあるかもしれませんが、自律神経のバランスが崩れて胃腸が動かなくなるというケースも多いように思います」(ノーマさん)


「胃腸は繊細な臓器だからストレスにすぐに反応します。脳が疲れると腸が疲れてしまうんですよ」(野本先生)


野本先生が脳の神経系に効果を発揮するとして注目しているのが、スーパープランツの大豆に含まれる油の一種、大豆レシチンを低分化したK.リゾレシチン。脳には必要な物質のみを血液中から選択的に通すための「血液脳関門」というものがあるが、K.リゾレシチンはこれを通過して大豆由来の栄養を脳へ届けるのだそう。結果、脳から全身をめぐる神経伝達物質のアセチルコリンを早期に作り出し、自律神経の安定や全身のホルモン調整に働くことが分かっている。K.リゾレシチンはサプリメントで摂取することが可能だ。


「K.リゾレシチンのサプリメントを摂取する際は少し口で溶かして味わいながら飲むのがおすすめです。舌下から脳にいくことで、リラックス効果も高まります」(野本先生)


「私は本当に調子が悪いときはチンキ剤を舌に垂らすのですが、舌下で取ったほうが脳への効果が高まるのでしょうか? 消化器官を通さない分、ダイレクトに脳にいくイメージでしょうか?」(ノーマさん)


「その通りです!」(野本先生)


さらに、低分子化されていない大豆レシチンそのものも、血管に蓄積したコレステロールなどを取り除き、血管内をきれいにして血液をさらさらにする働きがあるとされている。血行が良くなることで細胞へ栄養を届けやすくなり、細胞に溜まった老廃物を排出しやすくなる効果も。また、ひとつひとつの細胞膜を元気にする働きもあるという。


「人間の身体は細胞の膜を通して栄養素を取り入れるので、細胞の膜が元気でないとどんなに栄養素を摂っても利用効率が下がってしまいます。栄養効率を上げるためにも、大豆レシチンはおすすめです」(野本先生)


夏疲れをテーマにいろいろな植物について語った今回のインタビュー。いずれも私たちの食生活に馴染みがあるものばかりで、「ショウガやミョウガを薬味にした冷奴」など、日本の夏の食卓に当たり前に並ぶものを見直すのが大切なのではないか、と思わされた。植物の力を美味しくいただけることにも感謝し、残暑を乗り切ろう!



話を聞いたのは……
 野本裕子先生

ナチュラルクリニック代々木院長、認知症予防改善医療団理事。信州大学医学部卒業。東京医科歯科大学にて臨床研修後、予防医療、美容医療に携わる。薬に頼らず、日常の食生活の改善とサプリメントを中心とした「細胞膜強化栄養療法」での治療を長年行っている。薬に頼らず、日常の食生活の改善とサプリメントを中心とした「細胞膜強化栄養療法」での治療を長年行っている。著書に『医師もびっくり! 認知症が治っている』(素朴社刊) http://www.natural-c.com

インタビュアー
NOMA

モデルとして幅広いジャンルの雑誌や広告、映像等を中心に活躍。日本人の父とシシリア系アメリカ人の母の間に生まれ、佐賀県で自然に囲まれて育つ。2011年にアジア圏やアフリカ諸国など、世界各地を巡った旅を綴ったエッセイ本を執筆。アーティストやアパレルブランドとのコラボ制作やダイニングレストランやカフェのプロデュースも手がける。趣味は植物はじめ自然科学を探求す旅、ポラロイド。 @noma77777

llustrations: MIZUKI Text: Text: Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai

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