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山田孝之&菅田将暉「dele」パターン化しない!企画のウラガワ『多様さを味わってほしい』

  • 2018.8.17
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山田孝之と菅田将暉演じるバディが“デジタル遺品”を整理していくドラマ「dele」(毎週金曜夜11:15-0:15ほか※8月17日[金]は夜11:45-0:45ほか、テレビ朝日系)。作品づくりのウラガワを山田兼司プロデューサーらに聞く集中連載の第3回は、いい意味で作風を固定せず視聴者を飽きさせない「dele」ならではの“企画のウラガワ”を聞いた。

【写真を見る】バラの本数の意味も話題に

「dele」第3話では、圭司の留守中に祐太郎がクライアントから依頼を引き受けてしまう
(C)テレビ朝日

「dele」は、プログラマー・坂上圭司(山田)と“何でも屋”・真柴祐太郎(菅田)が、スマホやPCのデータなどクライアントのデジタル遺品を整理する中で巻き起こる人間ドラマ。原作・脚本をベストセラー作家・本多孝好氏が担当し、各話ごとに金城一紀氏、渡辺雄介氏など、多くの話題作を手掛けてきた脚本家が名を連ねる、という興味深い座組みになっている。

8月10日放送された第3話では、映画「追憶」(2017年)や「あなたへ」(2011年)の脚本家・青島武氏が脚本、「グラスホッパー」(2015年)の映画監督・瀧本智行氏がメガホンを取り、メーンゲストに女優の余貴美子と文学者の高橋源一郎氏が顔をそろえた。圭司の留守中に祐太郎がクライアントから依頼を引き受けてしまう。それも、死後のデータ消去だけではなく、データをコピーしてバラの花束と一緒にある女性に届けるという“オプション”つきで――。

圭司の仕事を祐太郎が手伝うという「dele.LIFE」の日常から一歩踏み込んだ形で走り出した第3話。昭和ノスタルジー漂うムードもあいまって、視聴者からはSNSなどで「1、2話とは少し違う展開」「1本の映画を見ているみたい」といった声が上がった。

圭司(山田孝之)は祐太郎(菅田将暉)と死亡確認に向かうが…
(C)テレビ朝日

始まりは本多氏の「企画」…企画誕生のウラガワ

ストーリーをパターン化したくない、というのは制作側が強く意識しているポイントだという。

山田Pは「毎回パターンを変えていくことで、視聴者の皆様に純粋に多様なストーリーを楽しんでいただきたいという思いがありました。今回は、圭司が留守だったから祐太郎が直接依頼を受けてしまった。その人が直後に自殺したら、結構な衝撃だと思います。祐太郎は祐太郎で傷つくし、圭司はふざけんなって怒るんですが、同時に、傷ついてる祐太郎を見て『ちょっと可哀想』とも思う。そうすると、圭司も動かざるを得ない。そこは、意図的にバリエーションを変えようと思い作った部分でもあります」と狙いを語る。

ストーリーをパターン化しないための「dele」最大の仕掛けが、前述した「複数の脚本家が名を連ねる座組み」だろう。

「そもそも(原案脚本の)本多さんが『連続ドラマに挑戦してみたい』という思いを持たれていて、deleの企画を考えていらっしゃったことが始まりです。詳細はdeleのHP「deleの作り方」にありますが、企画自体が非常に魅力的でしたので、ぜひ連続ドラマにしましょう、ということになりました。“デジタル遺品”というモチーフと圭司・祐太郎のキャラクターが核にあり、連続ドラマの企画としてとても魅力を感じました。あとは、これを連続ドラマにするならどういうエピソードがあり得るのかを、色々なプロット(あらすじ)を本多さんと出しながら考える中でキャラクターを深めていった、という感じでした」と山田Pは企画の成り立ちを明かす。

そこにそれぞれの脚本家のカラーが加わり、「毎回1本の映画を見ているよう」と評されるほど1回1回が際立ったエピソードの集合体が出来上がっていった。

圭司(山田孝之)は依頼人・浦田に思いを馳せる
(C)テレビ朝日

多様さを味わう―“複数脚本家”戦略のウラガワ

ここまで、1話は原案の本多氏自身、2話は渡辺氏、3話は青島氏と毎回異なる書き手が「dele」の世界を作り上げてきた。

「企画の段階で、『dele』という作品の良さは“どんなエピソードでも作れる”ことだと思いました。デジタル遺品のモチーフと、ぶれないキャラクター。せっかくなので、その中で、色々な作家性を持つ脚本家の方にいろんなエピソードに挑戦していただいて、『dele』という作品の多様さを味わってもらえれば面白くなるのではと考えました。それは、難しいですがいつか試してみたい、挑戦してみたい作り方でもありました」(山田P)

1話で出会った圭司と祐太郎。ふたりは回を追うごとに成長し、関係性も少しずつ変わっていく。各エピソードを1つの物語として成立させると同時に、ドラマ全体の流れも作っていかなければならない。そのために必要だったのが、2年という時間だった。

「書く人は異なりますが、圭司と祐太郎はエピソードごとに少しずつ成長していきます。そこに無理が出ないように、1つ1つのエピソードを行ったり来たりしながら『このエピソードをどこに置くべきか』とすごく悩みながら選んでいったという感じでした。信頼できる方々の意見も参考にしながら慎重に考えましたので、1つ1つのエピソードが視聴者の皆様にとって良い流れに感じていただけることを願っています」(山田P)

演じる山田と菅田とも早い段階から各エピソードのプロットを共有し、ディスカッションしながら「dele」は作られていった。

第3話で描かれた昭和ノスタルジー漂うエピソードは、山田Pが「『dele』という題材の中で一つやってみたかった」世界観だという。脚本を担当したのは、映画「あなたへ」で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した青島氏。監督も今回から瀧本氏へバトンタッチされた。

第3話の依頼人・浦田(高橋氏)は、公安筋に雇われて幸子(余)を20数年間ずっと監視していた。それは、幸子が若いころ、過激派爆弾テロ犯の五島という男と恋人関係にあったためだった。幸子を監視するうち、五島は彼女の人生に寄り添い、自分の人生に重ね合わせるようになっていった――。

「青島さんと瀧本さんは『グラスホッパー』という映画を一緒にやってらっしゃる盟友で、3人でどういう話にしようかと相談していました。その中で、1970年代ぐらいからの歴史・時代が感じられる話ができないだろうかという話になりまして。例えば、“指名手配犯”と出続けている写真の人物が、長い逃亡期間を経て急に捕まった、みたいなニュースがありますよね。そういう人がどういう人生を送っていて、その時代をどう生きていたのかっていうことに興味がある、それをやってみてはどうか、という話になりまして。そんなモチーフから青島さんが考えてくださったのがこの物語です」(山田P)

デジタル遺品というアナログとは対極に見えるテーマの中で、圭司と祐太郎は依頼人の身辺を地道にあたり、案外泥くさく依頼人の本心に近づいていく。第3話、圭司がデータを通して浦田の過ごした時間に思いを馳せる点描には、そんなデジタルとアナログの対比が印象的に浮かび上がる。

ある“指名手配犯”が謎を解く鍵に
(C)テレビ朝日

依頼人役に高橋源一郎氏…第3話のウラガワ

今回も、意外なゲストがキャスティングされ、話題を呼んだ。三島由紀夫賞や谷崎潤一郎賞も受賞した文学者・高橋源一郎氏が“依頼人”として登場したのだ。

「20数年間に及ぶある時代感が感じられる物語がひも解かれていく、そんな話にしたいと思いました。だから、ゲストにもそんな年輪が感じられる方をキャスティングしたい。かつ、イメージが固まっていなくてこの浦田というキャラクターにしか見えない、この題材にぴったりな方は誰だろうかと幅広い世界を探しました。そんな中で高橋源一郎さんを思いつき、直接ご本人にお願いさせていただきました」(山田P)

キャスティングは見事に当たり、SNSでは視聴者からの「高橋源一郎さんが出てる!作家さんだよね?」「味のある演技、背中でいろんなことを語る演技、すばらしかった」などと、多いに話題になった。

「このお話はある種のラブストーリーでもありますし、決して俳優ではない高橋源一郎さんの存在を、上手く受けのお芝居で成立させていただける方が必要だと思いました。瀧本監督とも相談し、余貴美子さんが来てくだされば二人の世界観が成立するのではと考えました」という山田P。青島氏・瀧本氏の作る世界観に共鳴した余のゲスト出演も決まり、今回のエピソードは完成した。

そしてもう一人、第3話には“サプライズゲスト”が登場していたことに気づいただろうか。指名手配犯の顔写真を演じたのは、かつて俳優として活躍し、現在はイベントプロデュースなどを手掛ける小橋賢児氏だ。

「これはきちんと狙いがあってオファーしました。かつて革命を標榜し世を揺るがした指名手配犯の存在を軸に話が進んでいくので、どこか見覚えがあって説得力がある方の顔を出したいと思いました。小橋さんはかつて俳優として活躍され、今ではイベントプロデュースなどを中心に手掛けている。今でも視聴者で覚えている方が多く、知名度はありながら、今でも別のフィールドで大活躍され、一つの枠組みにとらわれないやんちゃさが感じられる良いお顔をされていると思い、コンセプトにあうのではと考えました。

『この人どっかで見たことあるなぁ』と視聴者に感じていただくことが、(指名手配犯の)五島という存在が『どっかで見たことあるなぁ』という印象になることと重なるという思いもあります。彼がドラマに出ていることが面白いのではなくて、ドラマの中に引っ掛かりができるというか、その顔って何なんだというコンセプトを表現したく試みました。大切なことはドラマ自体の世界観が深まることだと思うからです。これは山田孝之さんも気づいたときに密かに面白がってくれていました。気づく人は気づく、その出し方も良いですよねと」(山田P)

気づく人は気づく、ウラガワにそんな人知れぬ工夫と苦労を積み重ね、「dele」は作られる。その結果としてオンエアされる各回のエピソードは、一つひとつが粒立った独自の世界を持っている。ウラガワで作る人たちがおもしろがっているからこそ、表が面白くなる――「dele」は、そのことをあらためて私たちに教えてくれている。(ザテレビジョン)

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