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水と緑に恵まれたノルマンディーの、のどかでおいしい時間。

  • 2018.8.15
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ノルマンディーでは海辺の滞在だけでなく、緑に囲まれた土地でのんびりと過ごすのも悪くない。美しい景色、澄んだ空気、そして美味しいノルマンディーの名産!

ノルマンディーはりんごの産地。りんごから生まれるお酒の産地を巡るシードル街道なんて看板も。

1. とびきり可愛い小さな村、ブーヴロン・アン・オージュ

海辺のリゾート地カブールから15kmの距離にある、小さな村ブーヴロン・アン・オージュ。 5分もかからず一周できてしまう広場の周りに、ノルマンディー地方の魅力が凝縮されたレストランやブティックが並んでいる。

ノルマンディー・スタイルの建物が並ぶチャーミングな小さな村。

お腹が空いていたら、ビストロのCafé Forges(カフェ・フォルジュ)に入ってみよう。地元の素材を使っているものの、現代的味わいの料理。バターもクリームもこってりではないのがその秘訣だろう。オーナーは村の星付きレストランのPavé d'Auge(パヴェ・ドージュ)と同じジェローム・バンサールと聞くと、納得かも。内装には古びた木の柱や昔ながらのトメトと呼ばれる赤煉瓦の床などが残されている。ノルマンディー地方の小さな村にいる実感も味わいのうちだ。

カフェ・フォルジュ。

ノルマンディー地方らしくステーキのソースにもクリーム。前菜、メイン、デザートで20ユーロのセットメニューより。

オープンキッチンで肉をグリル。店名のフォルジュは鍛冶屋という意味だ。

Café Forges14430 Beuveron en Augetel:02 31 74 01 78

ビストロの隣には、とてもチャーミングな雑貨屋Epicerie de Beuveron en Auge(エピスリィ・ドゥ・ブーヴロン・アン・オージュ)がある。この村に来たら、素通りのできないブティックといったら、ここ。ノルマンディー地方の木組み建築のブティックの前にはこれでもかというほどバスケットが並べられ、その光景につい引き寄せられる。店内には地方の名産が揃えられていて、お土産探しにはまってしまいそう。

エピスリィ・ドゥ・ブーヴロン・アン・オージュ。村を訪れた誰もがこの外観に惹かれる。

シードル、カルヴァドスといったりんごベースのお酒が入り口スペースに並んでいる。バターやクッキーといった食品、グラス類などの雑貨もセレクション豊富だ。

この村で宿泊するつもりなら、ビストロからも遠くない村外れにある、シャンブル・ドットのLe Pavé d’Hôtes(ル・パヴェ・ドット)はどうだろうか。ノルマンディー地方独特の木組み建築の愛らしい建物。聞けばPavé d’Auge、Café Forgesのシェフ夫妻が経営しているのだそうだ。食事客から村に良い宿はないの?と聞かれることが多いことから、自宅の隣にあった18世紀末に建てられた厩と農家だったという建物を改装して営業を始めた。部屋は5つで価格は100ユーロ前後。マダムのソフィが弾けるような笑顔で迎えてくれる。

通りから奥まったル・パヴェ・ドットで静かな滞在を。

ゲストを迎えるオーナー夫人。入り口の左手には昔のバター製造器が置かれ、ノルマンディーらしさを演出している。

室内はシンプルでどちらかというとモダンにまとめられている。

1789年の建物。上階は農家、地上階は厩だったという建物。朝食込みで1部屋88〜98ユーロ、108〜118ユーロといった料金設定だ。

Le Pavé d’Hôtes14430 Beuveron-en-augetel:02 31 39 39info@pavedhoteswww.pavedauge.com

広場から村はずれまでの途中で、シードル(リンゴ酒)やカルヴァドス(リンゴのブランデー)の産直販売場をみかけたら、試飲に入ってみよう。40kmの道に点在する11の村を結ぶシードル街道のひとつの村がこのブーヴロン・アン・オージュ。ノルマンディー地方の自然の恵みに、ちょっぴりほろ酔いしてしまう旅になるかも。

産直販売所でシードルやカルヴァドスを試飲してみよう。

2. りんごから生まれるシードル、ポモー、カルヴァドス

フランスでりんごを味わう。デザートやカフェでおやつに食べるタルト・タタンもいいけれど、りんごから生まれるお酒も悪くない。ノルマンディー地方で簡単に味わえる3種は、シードルとカルヴァドス、そしてポモーだ。

ノルマンディー地方の景色に不可欠なのはりんごの樹。

ノルマンディー地方ではりんごから生まれるシードル、カルヴァドス、ポモーを味わわなければ。

食前酒には冷やしたポモーを。

シードルはりんごを発酵させて作る軽い発泡性のアルコール飲料。ノルマンディー地方の食卓では、これで乾杯して、そのまま食事中にも……ということがよくあるので、“ノルマンディーのシャンパン”と呼びたくなる。このシードルを蒸留したものが、食後酒にいただくカルヴァドス。「ワインからコニャックが作れるのなら、りんごからも蒸留酒が作れるのでは ?」と、りんご液の発酵について研究していたジル・ドゥ・グーヴェルヴィルが試したことから生まれたのがカルヴァドスで、これは16世紀のことだ。1942年にAOC(原産地呼称統制)認定がされた。AOCカルヴァドス・ドンフロンテ、AOCカルヴァドス・ペイ・ドージュの3種があり、カルヴァドス・ドンフロンテでは最低30パーセントの洋梨、ペイ・ドージュではコニャック同様に二度蒸留し、30パーセント以内の洋梨を含むことが基準といった違いがある。

見学コースのあるシャトー・デュ・ブルイユ。22,000本のりんごの樹が植えられた42ヘクタールの畑から、200~300トンのりんごを収穫し、カルヴァドスのためにまずはシードル作りから始める。右の建物内でりんごジュースを作り、その左のタンク内で最低21日かけて発酵させてシードルを用意する。

銅製の蒸留機を備えたアトリエ。カルヴァドス作りには2回の蒸留が必要で、それによって得られた70~72度のアルコールがオーク材の樽に移される。なおシャトー・デュ・ブルイユのカルヴァドスはAOCペイ・ドージュ産のりんごを使い、シードルには5パーセントの洋梨を使用しているそうだ。

ノルマンディー地方にいるのであれば、カルヴァドスを生産しているシャトーの見学に出かけてみるのはどうだろうか。シャトー・デュ・ブルイユは広大な敷地の中に42ヘクタールのりんご畑を有するというメゾンで、1954年からカルヴァドスを製造している。製造所と貯蔵所のガイド付き見学は有料だが、美しい庭には誰でも無料で入れるので散歩を楽しみにやってくる人も含め、年間3万人が来場するそうだ。それに、ブティックで買い物をすることだけでもOK。ブティック内のバーでは15年もののカルヴァドスとポモーの試飲ができる。ポモーは若いカルヴァドスが3分の1、アップルジュースが3分の2という割合のミックス。冷やして、あるいはオンザロックで、りんご風味のまったりとした食前酒は ノルマンディー地方でとても愛されている。それにホタテ貝や鳥の料理にクリームと一緒にソースに使ったりもできる重宝ものなのだ。ポモーを知っていると、ちょっとしたノルマンディー通と胸がはれるかも。

シャトー・デュ・ブルイユ。奥に見えるのがブティックの建物だ。

蒸留が行われるアトリエ。ビデオを見せながら見学者にカルヴァドスの製造過程を説明する場所だ。

18世紀までは水が建物を囲むお堀があり、右側の本館の前は跳ね橋だった。16~17世紀には英国貴族の一家がここに暮らし、こうして外敵の侵略に備えていたそうだ。左奥のかつて厩舎だった建物が、現在カルヴァドスの貯蔵庫に使われている。

貯蔵庫内。このシャトーでは外から買い入れたりんごも含め、毎年3,000トンのりんごから82万本のカルヴァドスを生産している。70~72度あったアルコールがここで貯蔵されて41度となりボトルに詰められるのだ。

樽はひとつずつナンバリングされ、樽のキャパシティとサイズ、そして貯蔵している中身の年数、そして現在の容量とアルコール度数が記載されいてる。

貯蔵庫見学の最後は、りんごからはじまるカルヴァドスの製造過程を見せるプロジェクション・マッピングだ。寝かせている間に蒸発する分が「天使の分け前」と呼ばれていることから、天使が昇ってゆく姿も……。

カルヴァドスは一般的に飲まれているのはいちばん若い2年もの。シャトーではグループを対象に8年、15年、20年のカルヴァドスの試飲会も有料で開催している。ゴールデンイエロー、アンバー……と年数とともに色が深みを増してゆく。

見学者はブティック内のバーで15年もののカルヴァドスとポモーの試飲ができる。ブティックではミニサイズのカルヴァドス、シードル、ジャムやチョコレートなども販売。

まったりした色のポモー。

Château du Breuil14130 Le Breuil en Augetel:02 31 65 60 00visite@chateau-breuil.fr開)9:00〜18:30(6/1〜9/30)9:00〜12:00、14:00〜18:00(10/1〜5/31)休)12/25、1/1見学料:6ユーロ(ブティックでの試飲は無料)www.chateau-breuil.com

湖畔の宿でロマンティック・ナイト

シャトー・デュ・ブルイユから車で10分くらいの場所に、素敵な湖畔の宿がある。ポン・レヴェックやドーヴィルからも近い。カモの親子が遊ぶ湖に面したレストランで暮れなずむ夜空を眺めながら、ポモーでスタートし、カルヴァドスで締めくくるディナーはノルマンディーの旅の素敵な思い出になるだろう。食事は地元の食材を使った、シンプルな料理だ。ボリュームはなかなか。翌日は早起きして湖の周りを散歩する楽しみが待っている。ジョギングする人、犬と散歩する人……といった地元の人とすれ違って、ボンジュール!1日が爽やかに始まる。

エデン・パークは森の中の50室からなる宿。アクセスは、サン・ラザール駅からトゥルーヴィル・ドーヴィル駅行きの列車でポン・レヴェック駅にて下車。ホテルまでは4kmなのでタクシーを利用する。

レストランは湖に面している。日没時、沈みゆく太陽と湖が作り上げる景色は食事の手が止まってしまうほど美しい。

湖では鴨や白鳥などの姿が見られる。

朝、湖を眺めながらノルマンディーのりんごジュースを。

ホテルの前にどんと置かれているのは、その昔使われていたりんごの圧搾機だろうか。

湖の周辺を散歩。緑の中にこんなシャトーが顔をのぞかせる。

Eden ParkAvenue de la Libération14130 Pont  L’Evèquewww.edenparkhotel.com/fr

3. セーヌ川をクルーズし、川辺のロマンティックなホテルへ。

セーヌ川と船というとパリのバトー・ムーシュ体験のある人もいることだろう。セーヌ川はマスタードで有名なディジョンの近くが上流で、パリを通ってノルマンディー地方を蛇行し、そしてル・アーヴルとオンフルールの中間で海へと注ぐ780kmの長い川なのだ。ノルマンディー地方を流れるセーヌ川を1時間ばかり小さな船でプライベート・クルーズするのも珍しくて面白い経験では?

セーヌ川のプライベート・クルーズを提案する会社は複数ある。写真のLiberté Seineは1〜6名用のクルーザーで、船長はドミニクさん。複数のコースを提案している。www.liberte-seine.fr

途中、白鳥の親子にこんにちは。

パリとは異なるセーヌ川の魅力を発見。

時速12キロでのんびりとセーヌの水上を進むクルーザー。周囲は緑、緑……そんな中を船が前進すると、ぽつんと釣り人の姿、船着き場の奥に家があり、そのテラスでブランチをとる島の住民、水車小屋、昔ながらの藁葺き屋根の家、第二次大戦中にドイツ軍の侵略を防ぐためにフランス軍が橋を落とした名残などが現れては消えてゆく。船が残す波は水に映る周囲の緑を優しく揺らす。そんな光景にも心和ませられる。シードルやチーズなどノルマンディー名産をあれこれ買い込んで乗船すれば、途中、船上ピクニックというお楽しみも。

クルージング中、陸からは見ることのできない、さまざまな光景に出合える楽しみがある。

セーヌ川に浮かぶ小島に建つLe Moulin de Connelles(ル・ムーラン・ドゥ・コネル)は、船着き場のある4つ星ホテルだ。クルーザーの旅を満喫したら、そのままチェックインできる。19世紀のアングロノルマン・スタイルの邸宅だった建物で、内装はとてもクラシック。川にまたがる橋のような感じにレストランがあるので、食事をしながらガラス窓越しにセーヌが眺められ、ロマンティックな時間が約束されている。このホテルのレストランはミシュランもお勧め。今春からの新しいシェフ、エリック・ルジャンドルは地元の食材を取り入れたクリエイティブで味わい深い伝統的な料理を提案する。パリから車を走らせて食事に来る客がいるというのも頷ける繊細な美味しさだ。このホテルで食事をするのなら、シードル、ポモー、黒カシスのオリジナルのアペリティフでスタートしよう。美味しいノルマンディーを発見する食事の素晴らしい幕開けとなるはず。天候に恵まれたら庭で食事をとることもできる。

クルーザーの進行方向に、ル・ムーラン・ドゥ・コネルのホテルが幻想的に姿を現す。左手に船着き場がある。

メゾンのオリジナル・アペリティフで食が進む。

パルメザンのガレットやミニ・クロック・ムッシュなどのアミューズ・ブーシュの美味しさに、次に登場する料理に期待が膨らむ。

セロリの冷製スープ。

フォアグラのクレーム・ブリュレ。上にのせたパン・デピスのかりかりとした食感がフォアグラと、とても良いハーモニー。

ほろほろ鳥。カマンベール、シードル、生クリームのソースが軽い。カラメリゼしたりんご、クリーミーなポレンタを添えて。

シェフのエリック・ルジャンドル。

ハム、ヨーグルト、チーズ、りんごジュース……朝食も厳選された地元の恵みがあれこれ。

ホテルはコネルという耳慣れない地名の町にある。パリから車で1時間、クロード・モネの家と庭で有名なジヴェルニーからは40分。最寄りの駅はジヴェルニー訪問の際に下車するヴェルノン駅で、ここからタクシーを利用することになる。列車で直通という場所ではないので観光客があふれることもなく、秘密の隠れ家のよう。お忍び旅行! 恋の逃避行! といった言葉が何やら似合いそうな場所だ。窓の向こうにセーヌ川の眺め、3ヘクタールの敷地の散歩……このホテルでは時間に余裕のある滞在をしたい。

ホテルのロビー。エレベーターはなく階段で客室へあがる。

川にまたがるように建つホテルなので、窓からは常に川が眺められる。

緑が美しい庭を散歩。ベンチは愛を語らうため?

客室のテラスの下に広がる緑の庭。プールもある。

Le Moulin de Connelles40, route d’Amfreville-sous-les-Monts27430 Connellestel:02 32 59 53 33www.moulin-de-connelles.fr

●協力ノルマンディー地方観光局www.normandy-tourism.orgカルヴァドス県観光局www.calvados.frユール県観光局www.eure-tourisme.frフランス観光開発機構http://jp.france.fr

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